NianticがポケモンGOなどを室内プレイができるように
人気ARゲーム「ポケモンGOや」「ハリーポッター:魔法同盟」の開発で知られるNiantic(ナイアンティック)は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを受けて自社タイトルを自宅でもプレイできるようにアップデートする。通常Nianticのゲームは人々が屋外に出て、プレイを通じてゲームの世界を探検しながらリアル世界の人たちとつながるようにしてきた。しかし、政府による都市封鎖と自宅隔離が実施された今、これらのゲームを当初意図したようにプレイすることはもはや安全ではなくなった。
同社は現在、ARタイトルを室内や自宅周辺でプレイできるように改訂することを優先すると言っている。
例えばNianticのAdventure Sync機能(「いつでも冒険モード」)は、ランニングマシンで走ったり、部屋を掃除するといった室内の動作や活動でも歩数を記録するようになる。ゲームのソーシャル機能も拡張して、友達とバーチャルに繋がれるようにする他、近々、家にいながらにしてレイドバトルに参加できるようになる。
Nianticは過去に、室内でのバーチャル動作を抑止していたが、今後プレイヤーはお気に入りのリアル世界の場所をバーチャルに訪ねて思い出を話したりできるようになる。そしてこの夏、Nianticはライブイベントの構想を練り直し、プレイヤーが自宅を離れずに参加できるようにするつもりだ。
一連の変更は、この危機状況下におけるプレイヤーのニーズだけを考えたものではなく、Nianticがパンデミックの最中も、そしてその後でも運用を続けられるために必要な変更だ。
Nianticのライブイベントは、主催する都市に大きなビジネスを推進させてきた。2019年の観光収入は2.5億ドル(約271億円)近くに上るともいわれ、Niantic自身の売上を増やし、プレイヤーを維持していく仕組みとしても機能している。計画は期待通りに進んだ。ポケモンGOはスタート時の世界的流行現象ではなくなったものの成長を続けている。2019年は歴代最高収益を上げ、Sensor Towerの 報告によると、2019年にプレイヤーが使った金額は9億ドル(約976億円)近かった。売上のほとんどは、ゲームの大きなアップデートとリアル世界イベントのおかげだと報告書には書かれている。
今回のアップデートは、Nianticの新型コロナ流行拡大に対する初めての変更ではない。同社はすでにポケモンGOのゲームプレイを変更してユーザーが室内でプレイすることを促進し、例えば室内でポケモンを捕まえたプレイヤーにも報酬を与えるようにしている。また、GOバトルリーグという新しいゲームプレイ形式も公開し、室内でプレイできるだけでなく、例えばポケモンを捕獲するために長い距離を歩かなくてもすむようにした。
「ハリーポッター:魔法同盟」では、マップ上のプレイヤー近くのコンテンツの量を増やして、遠くに出かけなくてもゲームを進められるようにした。魔法薬も自宅でプレイする人に合わせて調整されている。
そしてどちらのタイトルでも、ギフトは1日中いつでも役に立つコンテンツが多くなるように調整された。
Nianticの最初のゲームである「Ingress(イングレス)」にもいくつか変更が加えられた。Ingressポータルは、室内プレイを推進するように調整され、複数のポータルをアクセスする必要が減った。他にも、あまり歩き回らなくてもプレイしやすくする変更があった。
しかしNianticは、ゲームプレイに屋外歩行を一切不要にするところまではやっていない。実際には今も外へ出ることを推奨している。ただし行き先は地域の自治体が散歩を許可している場所だ。
Nianticは以前にも新型コロナに対応してゲームに変更を加えたが、今回の発表 は、同社ビジネスのより正式な戦略を表明するものだ。Nianticが描いているロードマップの詳細も示した。新機能はすべて公開されてはいない。Nianticは「近日中に」展開する予定だと語り、正確な時間軸は約束しなかった。
「Nianticは人々を外へ誘い、運動や世界を冒険することを通じて人々のつながりを作りたい、という思いのもと創業しました。そして世界中のたくさんのプレイヤーの皆さまにサービスをお楽しみいただくことができました」とNianticのファウンダーであるCEOのJohn Hanke(ジョン・ハンケ)氏はブログに書いた。
「Nianticは、常に我々が創造するプロダクトの『野外で楽しむ』『探索する』そして『運動をする』というDNAを、屋内でのプレイにも導入することができると考えてきました。我々は今こそが、まさにその思いを具現化するときなのだと考えています。外出してプレイしたときに感じたワクワク感を、屋内でのプレイにも取り入れていく、そんな革新的なゲーム体験を創造して行きたいと考えています」とハンケ氏は付け加えた。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )