対Apple訴訟でEpicは優越的地位の乱用による反トラスト法違反を強く主張

世界的な大人気を誇るゲーム、Fortniteと多くのデベロッパーに利用されているゲームエンジンのベンダー、Epic GamesはAppleに対して訴訟を起こしているが、法廷で反トラスト法に違反する反競争的行為があったと強く主張した。

反トラスト法はリベラル、保守を問わずアメリカでますます注目を集める問題となっている。これはEpicの訴訟にとって有利な環境を作るものだ。

10月に入ってトランプ政権の司法省はGoogleに対して反トラスト法訴訟を起した。一方アメリカ議会は時価総額1兆ドル(105兆円)を超える4大テクノロジー企業の独占的な力を制限するためのロードマップを提示している。4大企業とは、Facebook、Amazon、 Apple、 Alphabet(Googleの親会社)だ。

Epic側弁護士は訴状で同社がアップルと結んだ契約に違反したことを認めている。しかしEpic はこの契約をやむを得ず結んだものであり、契約条項においてAppleが課す制約が違法なものであるとして次のように主張した。

「EpicがiOSデバイス上で消費者が直接支払いができるようにする手段を講じた際、EpicはAppleがiOSアプリのデベロッパーに課した契約上の制限のいくつかを破った。しかし Epicがこうした手段を取ったのはこの契約が違法であるからだ。Epicが直接支払という手段を選んだのはAppleによる独占が存在することを明らかにし、消費者に歓迎され利益をもたらす競争をiOSに導入するためだった。Epicはこの変更を予告なしに実行したがそれは予告をすればアップルがその独占的支配力を利して競争的手法の実現を妨害したはずだからだ」

結局この議論は「Appleは自社のスマートフォン上のマーケットプレイスで行われる商取引に対してAppleを通すことを強制する支配権を持つのか」という点に行き着く。

Epic Gamesのファウンダー、CEOのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は「これはバカげた誤った考え方だ」とツイートしている。

Epicは法廷で「Appleの契約に含まれる制限事項は反競争的であり、デベロッパー、消費者双方の選択自由を否定するものだ」と主張した。

Epicはゲーム内にマーケットプレイスを作りプレイヤーが直接同社に支払いができるようにした理由は「App StoreがiOSエコシステムの不可分の一部ではなく、単にAppleが独占を維持するための道具に過ぎないことを証明するためだった」と主張した。

Epicは訴状に「Appleには契約から生じるものを除いてEpicの労働の成果を横取りする権利はない。消費者はEpicに対し創造性やイノベーションの対価を直接支払うにあたってFortnit内の課金システムを利用すること選んだ」と書いている。

この訴訟は時価総額世界最大級の企業とゲーム業界の期待の星であり圧倒的にユーザーに人気のあるゲームを開発運用している会社の間で争われている。Epic Gamesは8月にFortniteアプリ内でゲームのプレイヤーがデジタルグッズを購入した場合、Appleのアプリ内課金システムを通さず、ゲーム内から直接支払いができるメカニズムを実装した。

Epicは同じ仕組みを Androidアプリにも追加した。Appleに加えてAlphabetも直ちにFortniteをアプリストアから削除した。10月に入ってイヴォンヌ・ヌゴンザレス・ロジャーズ(Yvonne Gonzales Rogers)判事は9月に出されたEpicの申し立てによる暫定差止命令を維持した。このこの命令はAppleがEpicのゲームエンジン、Unreal Engineを削除することを報復として禁止したが、AppleがEpicのFortniteをストアから削除した点については差し止めを認めなかった。

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滑川海彦@Facebook