飲食店の空席を有効活用、コロナ禍を乗り越えるための新たなワークスペースサービスとは?
コロナ禍に臨時休業したまま事業を撤退し、閉店を余儀なくされる飲食店が増えている。帝国データバンクの調査(2020年10月公開)によると、2020年度上半期における飲食店事業者の倒産は392件発生。このままのペースで倒産が発生すると、2020年度の年間倒産件数は過去最多を更新する可能性があるという。
10月1日から飲食業界を支援する「GoToイート」キャンペーンが始まったものの、店側は予約サイトに登録する際に手数料を負担する必要があるため、参加を見送る飲食店も。飲食業界が苦境に立たされる中、助け舟となる新たなワークスペースビジネスが誕生している。
1分6円から飲食店・カラオケボックスをワークスペース化する「サブスペ」
動画で組織実行力を高めるマネジメント支援サービス「ClipLine」(クリップライン)を提供するClipLineは2020年9月14日、ワークスペースを貸し出す「サブスぺ」を開始した。サービス開始時の対象地域は1都3県で、240拠点以上から選べる(拡大予定)。
同サービスは、飲食店やカラオケボックスといった「スペースを提供する店舗」(ホスト)が、空席をワークスペースとして提供するというもの。「リモートワークを推進する企業」(サポーター)が法人契約を行うと、「サポーター企業所属の従業員」(ゲスト)がホストの空席をワークスペースとして利用できるようになる。またゲスト5名から申し込み可能。
- ホスト:空席を提供する店舗。貸し出す場所・席数・日時・時間を自由に設定可能。初期費用、月額費用不要。飲食代金は店舗の売上
- サポーター:リモートワークを推進する企業。(従業員の)家が狭い、ビデオ会議がしにくいなど在宅勤務の課題を解決。税抜210円/最低利用時間35分+1分間あたり税抜6円の従量課金プランで、上限は税抜5000円
- ゲスト:サポーター企業の従業員。個室・オープンスペースなどニーズに合わせて利用できる。利用料金は会社に請求。経費精算は不要
利用方法は、まずゲストがサブスぺのサービスサイトで店舗を検索し選択する。選んだ店舗の空いている座席の詳細を確認し、チェックイン。来店後にその席をワークスペースとして使うことができる。ホスト側は初期費用や月額費用がかからないため、空席を収益化することが可能。
すべてのユーザー(サポーター)が税抜210円/最低利用時間35分+1分間あたり税抜6円の従量課金制でスタートし、月額5000円を超えた場合は自動的に税抜5000円の定額制プランに移行される。最低5名のゲストから登録でき、利用開始までは課金されない仕組みになっている。
- 対象地域:1都3県(サービス開始時)。240拠点以上から選択可能(拡大予定)
- 従量課金制:税抜210円/35分、35分以降税抜1分6円。最低利用時間は35分(35分以内に退店しても210円が課金)。初回利用の翌月からゲスト1名あたり税抜100円/月の基本料金が発生
- 定額制:ゲスト1名あたり税抜5000円/月。利用回数、利用時間とも無制限。基本料金はなし
三井物産グループ「Moon Creative Lab」提供、飲食店を活用したテレワークプレイス提供サービス「Suup」
三井物産グループのMoon Creative Labは10月13日、飲食店をワークプレイスとして提供するSuupのiOSアプリをローンチした。
同サービスでは、アプリ上に表示された飲食店の充電席をテレワークプレイスとして検索・予約し、時間単位で利用できる。利用料は一律90分税抜600円。以降30分ごとに税抜200円がワーカーに課金される仕組みだ。7月にβ版の提供を開始してから約4ヵ月で、都内を中心に100店舗以上が導入している。
提携する飲食店にはすべて直接足を運び、席の間隔や椅子の座り心地、雑音などを確認し、「働く場所に適しているか」を重要視して選んだそうだ。ユーザーからは「自宅ではどうしても集中できないので、気分転換を兼ねてカフェやレストランで働けるのはありがたい」「外出先でウェブ会議ができる場所はなかなかないので、可能なお店を一目で探せて便利」という声が寄せられている。
11月からは法人向けプラン「Suup for Business」も開始。年内までに400店舗の導入を目指し提携店舗を拡大しており、主要ターミナルや駅周辺のみならず、住宅エリアでも利用できるテレワークプレイスの提供を目指す。
- 対象地域:都内中心に100店舗以上(年内400店舗の導入目指し拡大)
- 最初の90分:税抜600円(ドリンク1杯付き)
- 以後30分ごと:税抜200円
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