英国でテック大企業を監視する新部署「DMU」発足、デジタル分野の競争を促進
競争がオンラインを健全なものにし、そしてデジタルサービスを利用する消費者が自身のデータに関してより多くの選択肢とコントロールを持てるようにするために、デジタル部門で最も力を持つ企業を規制するというタスクを担う新しい英国の公的機関が現地時間4月7日、発足した。
デジタルマーケットパワーの集中に関する懸念についての数多くのマーケットレビューと研究を受け、2020年11月発表されていたDigital Markets Unit(DMU)はまだ法的権限を持っていないが、英政府は新たな「競争促進体制」のデザインを2021年協議し、議会が承認し次第、DMUに法的権限を持たせる法律を制定すると述べていた。
アドテック大企業Facebook(フェイスブック)とGoogle(グーグル)のマーケットパワーに関する懸念が規制整備へと駆り立てている主な要因だ。
💻 Our new Digital Markets Unit, launched today, will help make sure tech giants can’t exploit their market dominance to crowd out competition and stifle innovation online.
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— Competition & Markets Authority (@CMAgovUK) April 7, 2021
最初の取り組みとしてDMUは、デジタルプラットフォームと、広告でそうしたプラットフォームに頼っている中小企業のようなサードパーティーの間の関係を管理するのに行動規範が役立つかどうかを、将来のデジタル立法に組み込むために調べる。
強力なオンライン監視者の役割はまた、EUの議員たちのターゲットにもなっている。EUの議員たちは、プラットフォーム大企業とそうしたプラットフォーム企業の規約の下で事業を展開している中小企業の間での取引を確実に公正なものにする規制フレームワークを作成することを目的とする法制化を2020年末に提案した。
英政府は4月7日、DMUがさまざまなデジタルマーケットにわたるプラットフォームの役割を調べるのに、競争を促すという視点でセクター中立のアプローチを取ると述べた。
DMUは、通信監視機関のOfcomと連携するよう求められてきた。2021年制定される予定の法律(現在Online Safety Billと呼ばれている)の下でソーシャルメディアプラットフォームを規制すべく、英政府は2020年Ofcomにその任務を課した。
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間近に迫った法制化は、いじめからヘイトスピーチ、児童の性的虐待、他のスピーチ関連問題(多くの論争、そしてプライバシーとセキュリティに関連する特定の懸念を巻き起こしているもの)に至るまで、消費者に影響を及ぼすかなり広範のオンライン害を規制しようとしている。その一方で、DMUのフォーカスは事業のインパクトと、デジタルマーケットにおける競争に影響を及ぼし得る消費者コントロールだ。
最初に取り組む業務の一環として、法律体系がプラットフォームとメディアのようなコンテンツプロバイダーの間の関係をどのように管理するかを特に調べるために、デジタル国務長官がDMUにOfcomと連携を取るよう求めた、と政府は述べた。「可能な限りプラットフォームとコンテンツプロバイダーの関係が公正で、合理的なものであるようにすることが含まれる」とプレスリリースにはある。
これはDMUがオーストラリアで議会を通過した最近の法案をかなり参考にしていることを示している。この法律では報道機関のコンテンツを再利用するのに料金を支払うための交渉をプラットフォームに義務付けている。
DMUを抱える英国の競争・市場庁(CMA)は2021年初め、テック大企業と報道機関の料金交渉が合意に至らない場合のために強制仲裁という砦を持つというオーストラリアのアプローチは「賢明だ」とBBCに語っている。
DMUはまた、現在数多くのテック大企業の調査を行っているCMAの監視部署と緊密に連携を取る。展開されている調査には、Apple(アップル)とGoogle(グーグル)に対する苦情の検討、そしてFacebook(フェイスブック)のGiphy買収の徹底的な調査が含まれる。
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DMUが緊密に連携をとると政府がいう他の規制当局には、データ保護監視当局(ICO)と金融行動監視機構(FCA)が含まれる。
また、デジタル競争が本質的に自然とグローバルなものになっていることから、DMUは国際パートナーとの調整も取ると政府は述べた。そして、2国間の取り組みを通じて、そしてG7議長国として英国のアプローチをすでに協議していると付け加えた。
「デジタル国務長官は、より良い情報共有、規制と政策のアプローチの協調に関する調整について合意形成を模索していて、デジタルとテックの大臣のミーティングを4月に開催します」とも述べた。
DMUはWill Hayter(ウィル・ハイター)氏が統括する。同氏は、Brexitトランジッション政策に取り組んでいるCabinet Officeでの任務に続き、2021年5月初めに暫定責任者のポストに就任する。規制政策でさまざまな役割を果たしてきた同氏は以前CMUとOfcomでも数年働いていた。
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タグ:イギリス、競争・市場庁、Ofcom、DMU
画像クレジット:Feodora Chiosea / Getty Images
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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi)