ネット上のスキャンダル暴露や中傷に打つ手なし―寛容の精神が広まることを願おう

オンライン上での評判をコントロールすることはおろかきちんと整理することさえ日増しに困難になっている。近くメジャー音楽レーベルの違法な海賊版に対する戦いと同様、努力するだけ無駄ということになるに違いない。負けるに決まっている小さい戦いは諦めて、自他の愚行にもっと寛容になるしか道はないと思う。今や骸骨は戸棚から出て〔外聞をはばかる秘密が暴露されて〕しまっただけでなく、玄関の前のポーチに座り込んでいるありさまだ。〔略〕

インターネットはあなたが昔Facebookにアップした大学の寮の部屋で誰かとべちゃっとキスしている写真、オリンピックで金メダルを取った後で水キセルでマリファナをキめている写真、近所のライバルのレストランのオーナーによるあなたのレストランを中傷するレビュー、車のナンバープレートの写真付きであなたを「クソ下手ドライバー」と罵倒するTwitterメッセージ、といった情報で溢れている。

しかも状況はさらに悪化しそうだ。来週、あるスタートアップが、簡単にいえば店舗の代わりに人間を対象にしたYelpのようなレビューサービス( 数日中に紹介記事を公開できると思う)を始めようとしている。名誉毀損等で訴えられる危険性を最小限にして、誰でもあなたについて簡単に褒めたり悪口を言ったりできるというサイトだ。

似たようなサービスはRapleafとかiKarmaなど過去にもいくつかあった。しかしいずれも大きな欠陥を抱えていた。Rapleafは集めたデータを金を取って売るサービスになってしまったし、iKarmaは単にオンライン上にそういう場所を提供しているだけだ。もう一つGorbというサービスもあったが、こちらは完全に消滅してしまった。

しかし来週ローンチするサービス、あるいはそれと類似のサービスは成功するのではないかという予感がなぜかする。われわれはTwitter、Yelp、Facebookオンラインで人物や物事に対してさまざまな意見を言う経験をすでに十分積んでいる。それならそうしたレビューを集約して一目で閲覧できるようなサービスが出来ても不思議ではない。中央集権的に組織化された匿名での誹謗中傷のツールになるのではなかって? おそろしいことだが、イェスだ。残念ながらそのようなサービスが出現するのを止める方法はない。

この問題については私はずっと前から頭を悩ませていた。人間の心の本質はここ数千年でさして進化していない。しかし今やふとした思いつきの悪口も光の速度でインターネット全体に拡散し、未来永劫検索可能となってしまう。われわれはゴシップというのは狭い範囲で密かに比較的ゆっくりと広がっていくものだと考えている。しかし今の世界ではゴシップは完全に公開情報であり、ゴシップを広める人間にはほとんど何の危険もない。そして後から簡単に検索できる。ターゲットにされた人間は陸に上がった魚同様、完全にお手上げだ。

もちろん誹謗中傷に対しては名誉毀損罪や損害賠償請求権といった法律的手段が用意されている。しかしこうした法律的メカニズムは印刷メディアと、せいぜいラジオ、テレビに対しては有効に機能したものの、インターネットの世界では海賊行為h対する著作権法同様に無力だ。

一方でオンライン上での誹謗中傷から被害者を守ろうとするReputation Defenderのようなサービスもローンチされている。ターゲットの名前がマスコミに出る前ならこうしたサービスもある程度有効だ。マスコミに出てしまえば打つ手はあまりない。マスコミはいったん公表した記事をめったなことでは削除したり訂正したりしない。一般の個人相手なら、恐ろしげな法律用語を散りばめた「法的手段に訴えるぞ」というメールでTwitterの投稿やFacebookの写真を取り下げさせることも不可能ではない。

しかしそうしたインターネット上での情報を収集して表示するサービスから情報を削除させるのはずっと難しい。店や会社はYelpで悪評を立てられるのを恐れているが、それを止める有効な手段はこれといってない。あなたの名前を検索してみるとトップに来るのがあなたを知っている人間が匿名であなたのことを批評しているサイトだったらどんな気持ちがするか想像がつくだろう。

もちろん、こうした批評の多くは好意的なものだろう。しかし仕事で誰かをやっつけると、いずれあなたは非倫理的な仕事をしているなどという中傷がポップアップすることになる。そしてその情報は孫末代にいたるまでインターネット上に残るのだ。

ではこれからどういうことが起きるのか?

結局、われわれの社会はこうした変化に適応していく他ないだろう。やがてわれわれは互いの小さな過ちにもっと寛容になるだろうと確信している。雇用者も身上調査で大学時代にぐでんぐでんに酔っ払っているところの写真を発見してもあまり気にしなくなるだろう。

誰にせ会社で出世して上に行けば行くほど悪口を言う人間が増えてくるものだ。悪口のタネはインターネットを検索すれば簡単に見付かる。誰かがあなたを―一時的にせよ―嫌ったら、曖昧な言い方で、しかしあなたにとっては打撃になるようなコメントを匿名で投稿できる。よほど露骨な脅迫や誹謗でないかぎり、弁護士を頼んでも削除要求は出せないだろう―いや、そもそもほとんどの場合、投稿者の身元開示要求も出せないだろう。

われわれはほんとうに重大な悪事を働いたという動かぬ証拠以外は無視することにしていくしかない。刑事裁判が起こされることになるような証拠だ。指摘者が身元を明らかした上で明確に証拠立てた悪事―たとえば暴力的な犯行の現場写真などだ。

今ネット上で暴露されて大騒ぎになっているもろもろの小さな不品行の類については数年後にはあまり問題にされなくだろうと私は思う。就職希望者も採用担当者も全員が大学時代にマリファナを吸っている写真がインターネット上にアップされ、発見されるようになれば、そんなことをいちいち大騒ぎしても仕方がない。

現在なら会社での失脚を招きかねないキャンダルと見なされるような情報の暴露も、やがて真剣に仕事をする過程でやむなく誰かを怒らせた証拠として勲章扱いされるようになるに違いない。

少なくとも、私はそういう方向に社会が動くよう望んでいる。私自身、高校や大学時代のイヤな写真をインターネットから削除�
�ようと長年努力してきたが、最近はそれにもいささか疲れた。くだらないものはさっさと公開するならして、あとは忘れるのが一番だと思う。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦/namekawa01)