本格的インタラクティブ音楽アプリケーションの時代 ~ 955 DreamsのThe Hisotry of Jazzは必見

955 Dreamsの共同創立者であるKiran Bellubbiは、アプリケーション開発の要点を次のように述べている。すなわち「ざっと見ただけでも面白く、それでいて洞察に富んだ深いエクスペリエンスをも提供する必要があるのさ」。この発言自体、深い洞察に基づく発言だと言えるだろう。そしてこの理念は実際のアプリケーション制作にあたっても活かされている。955 Dreamsは「The History of Jazz」というアプリケーションをリリースし、評判も売り上げも絶好調という状況にある。

売り上げが絶好調と言うと、また$0.99の価格かと思う人もいるかもしれないが、The Hisotry of Jazzの価格は$9.99に設定されている。アプリケーションが低価格化している中、The History of Jazzは決して安価だとは言えないだろう。しかしこのアプリケーションはiPadのエクスペリエンス提供能力を十分に活用し、この価格でも爆発的に売れているのだ。「$12.99にしても良かったかもしれませんね。セールス期間中だよ、なんてことを言ってますよ」と、Bellubbiの口からはジョークも飛び出す。「何度も楽しめるものに値段をつけるのは難しいよね」とのこと。

このThe History of JazzというiPad用アプリケーションは、Jazzの歴史をビジュアルを使ってインタラクティブに振り返ることができるものだ。たくさんの写真、ビデオ、サウンドクリップが掲載されており、同分野の書籍よりもはるかに多くの感動を受け取ることができる。955 Dreamsも「音楽を体験する」という観点から、Jazzを主題とするのが最適であると判断した。Appleも直ちに注目アプリケーションとして取り上げ、販売がさらに伸びることとなった。

Appleが955 Dreamsのアプリケーションを気に入ったのも当然のことだろうと思える。iPad用のアプリケーションとして、この手のタイプのアプリケーションをずっと期待し続けてきているのだ。「この手のタイプ」とはすなわち、他のメディアでは提供できない豊かな仮想現実体験を提供して、利用者を満足させるようなアプリケーションだ。アプリケーション内でビデオを閲覧したり音楽を聴いたりすることもでき、さらにアプリケーション内に配置されているiTunesのボタンをクリックすることで、簡単に楽曲を購入することもできる。

実は2009年、AppleはiTunes LPというフォーマットを提案している。旧時代のLPにマルチメディアを加えて新たなエクスペリエンスを提供するためのものだ。しかしほとんどの人がiTunes LPには全く魅力を感じなかったようだ。しかしこのAppleが敷いたレールの延長上にThe History of Jazzがあると言って良いかもしれない。

955 Dreamsは現在、他のジャンルや個々のアーティストについてThe History of Jazzと同様の仕組みのアプリケーションを開発しているところだ。ただ、当然のことながら、955 Dreamsのアイデアを使って自前のアプリケーションを開発しようと動いているレコードレーベルもある。「アフィリエイト販売の成功率もすばらしい成績で」、レーベルがこの分野に手を出さないのはむしろ異常な話だとBellubbiは言っている。The History of Jazzに関して言えば、コンバージョンレートは14%-22%にも達しているとのことだ。

音楽関連のアプリケーションで、さまざまな感情に訴えかけるのはとても重要なことです。そうしたアプリケーションを作れば、音楽はまた売れるようになるのです」とBellubbiは主張している。「但し、音楽自体を買うというよりも、音楽を通じて得られるエクスペリエンスを購入するわけです」とのこと。レコード会社がこうした考えを受け入れない時期もあったが、今や積極的に受け入れているようだ。

尚、955 Dreamsは昨年後半のシードラウンドにてMitch KaporおよびDave McClureの500 Startupsから$250,000を調達している。ちなみにThe History of Jazzの1ヵ月の売り上げで調達した金額の半分を稼ぎ出したことになるとのこと。アプリケーションはさらに売り上げは伸ばしているが、入ってくる金は次々に開発資金に投入されているようだ。「今がまさにやるべきときというわけなんですよ」とBellubbiは述べている。

開発に注力しているということは、Android版も間もなく出ると考えて良いのだろうか。そうではないようだ。Bellubbiによれば「Appleのプラットフォームはとてもよくできているのです」とのこと。すぐにAndroid版の開発に乗り出すことはないとのことだ。

また、Appleのプラットフォームについて次のようにも述べている。「多くの人がAppleの(新しく提示されたアプリケーション内販売に対する30%課金)方針について文句を言っているけれど、それはちょっとどうかと思う。アプリケーションの販売に必要な投資と考えるべきなのではなかろうか。しっかりと考えてみて欲しい」とAppleの方針を擁護している。「Walmartで販売しても手数料は取られるんだよ」と述べている。

開発者に対するアドバイスもある。「99セントのアプリケーションを作ろうと考えているなら、もうワンランク上の価格で販売できるアプリケーションについても考えてみてはどうだろう」とのこと。

955 Dreamsからは、すぐにも新しいアプリケーションが出てくることになるだろう。やはり音楽関連のものとなるが、The History of Jazzとは少々異なったものになる予定だそうだ。そちらのアプリケーションも同様の成功を収めることになれば、次々に音楽関連のアプリケーションも登場してくることとなろう。iPad 2も発表され、利用者層のさらなる拡大も見込まれる。

The History of JazzはApp Storeのこちらに登録されている。日本での価格は1,200円ということになっている。

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(翻訳:Maeda, H)