オンライン有料会員制サービスの請求業務を完全に代行するSaaSy

零細企業のオーナーは、経営のために必要なありとあらゆることを、全部自分一人でやらなければならないことが多い。ビジネスモデルの管理と執行だけでも十分にたいへんなのに、ソフトウェア、インフラ、トラッキング、コンプライアンス、カスタマサービスなどなど、やることは山ほどある。

最近は収益化のために有料会員制を導入するWebビジネスが増えているので、その経営や運営を助けるサービスもいくつか登場している。しかし、eコマース*のインフラのさまざまな可動部品を開発しメンテすることは、依然として相当な時間と費用を要する。〔*: e-commerce,ここでは物販だけでなく広義の商行為サイト。〕

そこに目を付けたのがSaaSyだ。今週立ち上がった同社は、有料会員制をベースとする商用サイトが、本来のサービスの運営と開発とマーケティング(そのサイトの本質部分)だけに集中できるように、eコマースシステムの構築と管理と今後の改良を…その手間と苦労を…一手に引き受ける。

SaaSyは、有料会員制タイプのeコマースサービスの運用に必要な一から十までのすべてを、文字どおりSaaS(software-as-a-service)として提供する。SaaSyが想定するユーザは、たとえば、ソフトウェアやゲームやeブックなどのデジタル商品を有料でダウンロードさせる、あるいはサービスとして提供するWeb企業だ(後者はSaaSサイト)。有料会員制のサービスをもっと簡単に構築したい、しかも使いやすいユーザインタフェイスにしたいし、細かいアクセス分析もやりたい、と考えている起業家は、今とても多い。たとえばすぐに思い出すのは、Recurly、Chargify、Spreedlyといったサイトだ。

SaaSyと類似サービスの大きな違いは、従来の請求ゲートウェイサービス、たとえばAuthorize.Netなどでは、ユーザ自身が自分の商業者口座を持たなければならないことだ。しかしSaaSyは、支払い処理サービスを2005年から提供しているFastSpringの姉妹会社なので、いわばそれ自身が、本格的なeコマースプラットホームの上に建っている、といえる。ちなみに、FastSpringのユーザ企業は1000社を超えている。

したがって、SaaSy自身が(FastSpringを介して)、正規に登記された商業者であるため、購買(〜仕入れ)、デリバリ、ライセンシング、アクティベーションといった商業サイトとしてのあらゆる側面を自分で処理でき、買い手の満足と支払いベースのカスタマサポートを管理できる。それだけでなく、商業者口座、支払い処理、そしてゲートウェイ料金が、SaaSyの利用料に含まれている。だからユーザは、自分の手間と費用で商業者口座を立ち上げる必要がなく、商業者としての登録や認可といったことに時間を取られずにすむ。面倒なことを、SaaSyがすべて引き受ける。ゲートウェイがダウンした、サードパーティに怠慢された、支払い処理のバックアップを毎日取らなければならない、等々の雑務からもユーザは解放される。

SaaSyはメジャーなクレジットカードを各種扱えるので、ユーザ企業はサービスのグローバル展開ができる。各国語版の注文ページも、SaaSyが提供する(自分のサイトに合うようにカスタマイズ可能)。これらの注文ページでは、注文の結果等が各国の言葉で表示されるだけでなく、金額もその国の通貨で表示される。とても、便利だ。

SaaSy自身がsoftware-as-a-service企業なので、大量の顧客を抱えたソフトウェアサービスをWeb上で展開することに伴う課題や問題をよく知っている。SaaSyのUIとeコマースプラットホームSpringBoard(上の画像)は、使いやすさに重点を置いて設計され、タスクベースの分かりやすいレイアウト、シンプルなナビゲーション、それに文脈的ヘルプ(ユーザのそのときの状況に応じたヘルプ)を実装している。

SaaSyのCEO Dan Engelは曰く、良質なsoftware-as-a-service企業であるためには、シンプルなソフトウェアを提供すること、機能がしっかりしてて信頼されること、そしてユーザのニーズに合わせてカスタマイズできることが重要だ。また、とくにeコマースサービスを提供するSaaS企業は、その実装から支払い処理までのあらゆることに関する、エンドユーザからの質問、心配、苦情等々にも対応しなければならない(上述したように、買い手の満足もSaaSyの責任範囲)。だから、サポートの提供の仕方がとても重要だ、とEngelは言う。曰く、迅速で良質で適切なカスタマサービスは、成功する企業の基盤だ。Zapposが、その好例だろう。

というわけでSaaSyは、1年365日毎週7日のカスタマサービスを提供する。そしてEngelによれば、一人の顧客への対応に要する時間は1ないし2時間だそうだ。カスタマサービスを自力でやるというユーザ企業をSaaSyは“Dedicated Account Manager”として認定し、“eコマースのベストプラクティスや、ページコンバージョン(そのページ上の見物客の実客化)の最適化、注文単価の最大化など、ありとあらゆる助言と支援を行う”。

FastSpringとSaaSyのCEOになる前のEngelは、Googleのマーケティングマネージャだった。Google時代の彼は、オンライン広告システムAdSenseとAdWordsの展開を指揮した。さらにその前の彼はPicasaの市場開発担当VPとして、オンラインマーケティング、営業、各種の事業開発などに携わった。彼はこのように、末端顧客対応の経験が長いため、良質なカスタマサービスと技術サポートの重要性を身にしみて知っている。彼と、ソフトウェア開発担当SVPのRyan Dewellは、声を揃えて、カスタマサービスに真剣に取り組まない企業はすぐダメになる、と力説する。企業経営にはいろんな側面があるが、その中でカスタマサービスは、企業の盛衰に直接影響する点で、きわめて特殊である、と。彼らのカスタマサービス論はとても話が長いので、途中で眠くなったほどだが、でも、とても感銘を受けた。彼らは、カスタマサービスに対してものすごく真剣だ。

なお、SaaSyは登録もセットアップもいっさい無料だが、利用料はお安くない。1売上あたり、「5.9% + 95セント」または「定率8.9%」だ。それ以外に月額料金等はないが、かなりの客数のあるサイトでないと、SaaSyのユーザになるのは無理かもしれない。ただしSaaSy自身は、スタートアップを直接顧客にするだけでなく、SaaSy自身とは違う(もっと小企業向けの)料金体系を持つ請求サービスが、そのバックエンドとしてSaaSyを使ってもよい、と考えている。

FastSpring自身が儲かっているので、SaaSyには財務的なクッションがある。ファウンダたちは3万ドルの自己資金で2500年にFastSpringを創業し、今ではそれを年商4500万ドルの企業に育て上げた。VCからの投資は、いっさいない。すばらしい業績だが、Engelによれば、VCに関心がないわけではないが、今のところは現状に納得している、ということだ。

というわけで、eコマースのソリューションをビジネスにしている読者は、ぜひSaaSyをチェックしてみよう。SaaSyの全機能/サービスのリストは、ここにある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))