BlackBerryは面白かった。時代をともに走ったRIMへのレクイエム

dodo楽観主義者でありたいと思うことは多い。たとえばMatt Burnsを羨ましくも思う。嫌味ではなく、本当にそう思う。というのはBlackBerryの製造販売元で知られるResearch In Motion(RIM)の話だ。Burnsをはじめ、「RIMが復活するのではないか」という希望的観測を述べる人がいる。私はRIMと同じくオンタリオ州ウォータールーで生まれ育った。以前CEOも務めたMike Lazaridis同様、私もウォータールー大学(University of Waterloo)で電子工学を学んだ。RIMは何年にもわたってホームタウンであるウォータールーに貢献もしてきた。新しい公園、建物を寄贈し、大学への寄付も行った。独立の研究機関であるPerimeter Institute for Theoretical Physicsの設立も行った。そうした貢献を思い浮かべてみても、RIMが現在の苦境をなんとか生き延びてくれればとは思う。しかしそうはならないだろうと思うのだ。

楽観論の裏付けとなる事実がないというわけではない。たとえば、成長の軌道にのったのちに四半期ベースで損失を計上したのは今回が初めてのことだ。リストラがうまくいけば、ダウンを喫したもののロッキーのように再度立ち上がって戦い続けられるのではないかという主張もある。しかしPaul Grahamも最近指摘しているように、テック系ビジネスにおいて、物事が売上げに反映するのは最終段階なのだ。RIM規模のテック企業で、かつもっともホットな業界に身を置きながら、年間で25%の売上高減を招くというのは大事だ。これは既に「後退」や「躓き」といったレベルではなく、「カタストロフ」というべきものだと思う。

現実的にどういった未来があり得るだろうか。

  1. Appleのような奇跡的カムバックを遂げる
  2. 5%ないし10%程度のシェアを維持してなんとかやっていく
  3. 買収される。少なくとも一部資産について買収を受ける
  4. 徐々に存在感を失い消え去る

考えられる未来はこの中のいずれかではないだろうか。

そしてまず、第一の可能性は真っ先に排除できると思う。「Appleは成し遂げたぞ」という人はいる。しかしAppleの復活劇はまさに例外的なものであった。RIMのBB10が、AppleにおけるOS Xのような位置づけだということはあるかもしれない。しかしそれだけでRIMがAppleと同じ経路をたどるなどということはあり得ない。Appleを勝者の地位におしあげたのはOS Xの存在だけではないのだ。Appleは全く新しいメガヒットプロダクトを1ではなく、そして2つでもなく、3つ生み出すことで自らの地位を高めたのだ。その3つとは言うまでもなくiPod、iPhone、そしてiPadだ。RIMについて言えば、驚きを持って迎えられる製品をひとつでも出し得るか疑問に思う。もちろん可能性が皆無というわけではない。しかし個人的には、その可能性に賭けようとは全く思わない。

5%ほどのシェアで持って生き残っていくという可能性についてはどうだろう。RIMは既にApple、Googleに継ぐ第三の選択肢ですらなくなってしまっている。その地位はWindows Phoneに奪われてしまっている。RIMの唯一の希望は新興マーケットにあると言えるかもしれない。いずれのマーケットもさほど時間をかけずに安価なAndroid端末に席巻されていくだろう。しかし極秘裏での動きが必要となるとき、BlackBerryの独自セキュリティネットワークに重きをおくという考えがあり得る。ネットワークの信頼性を犠牲にしても、セキュリティが重要であると考える人もいるだろう。

しかしいくらセキュアなEメールを売りにしても、また、その仕組みが実際に世界一セキュアなものであるにしても、それのみで戦っていくということはできないだろう。マーケットで戦っていくには、他にも独自の魅力が必要となる。RIMの一番の問題は技術面での弱さだ。RIMがPlayBookをリリースした当時のことをご記憶だろうか。私がTechCrunchに書いた最初の記事がPlayBookについてのものだった。PlayBookの失敗を予測した記事で、残念ながらその予測は完璧にあたることとなった。David Pogueはニューヨーク・タイムズに次のようなレビューを書いていた。

どういうことなのかおわかりだろうか。RIMがメールの打てないBlackBerry端末をリリースした。ランボーの詩のようにわかりにくい話ではなかろうか(RIMは夏にはアプリケーションで対応すると言っている)。

このレビューが書かれたのは2011年4月のことだった。記されている「夏にはアプリケーションで対応」が結局いつになったかご存知だろうか。なんと、2012年2月になってからだった。サードパーティーアプリケーションの問題に触れる必要はあるまい。RIM自身のプロダクトもまともなリリースプランに乗っていないように見える。たとえばCOLTというBB10デバイスも、このくらいの時期にリリースするとされていた。しかしそれもキャンセルされてしまったりとばたついている。

結局BB10ベースのデバイスが登場するのはいつになるのだろう。どうやら今年後半ということになりそうだ。iPhone 5やGalaxy SIIIと同時期ということになる。個人所有のデバイスを職場に持ち込むという動きは加速しており、AndroidおよびiOSの企業向けソリューションもますます進化しているのが現状だ。リリースの遅れがすなわちRIMの死期を早めることになってしまっているように思われる。

マネジメント層や戦略が変わればRIMは生き残ることができるだろうと言う人もいる。しかし製品の魅力の低さや、毎度毎度のスケジュール遅延などはすなわち、RIMの技術能力ではAppleやGoogleに太刀打ちできないということを示しているのだと思う。これは指揮系統やフォーカスの問題ではなく、組織としての能力の問題なのだ。これはCEOが交代したからといって解決できる問題ではない。CEOのHeinsは「BlackBerryは万人向けの万能デバイスというわけではないのです」と言っている。しかし実際のところは「誰にとっても何の役にも立たないデバイス」になりつつあるのかもしれない。

このような中、RIMがAppleのような復活を遂げるということはあり得ない。また第三の選択肢としてマーケット内で生き残るということもありそうにない。RIMの動きが不安定で、集中力を欠いて、弱体化する中、企業相手の販売戦略でRIMに一歩ないし二歩先行するマイクロソフトがRIMが獲得しようとしていた地位を獲得しつつある。そうしたわけで、生き残りを目指すのなら3番目の選択肢しかないということになる。買収してもらうという道だ。しかし買収などあり得るだろうか。特許に価値があるのは疑いのないところだろう。しかし企業としての運用能力には魅力がない。HPのWebOSの件もあったあとで、企業価値を失いつつあるRIMの買収に何十億ドルも出そうという相手があるだろうか。Samsungも興味を示したものの交渉の場から立ち去ったようだ。他に興味を持ちそうな企業があるだろうか。私はひとつも思いつくことができない。

となると残された道は第四の選択肢のみだということになる。ゆっくりと、静かに消え去っていくという道だ。死体は細切れになり、そしてシデムシに貪られて姿を消す。本当に残念なことではあるが、もはやこの道しか残されていないように思う。RIMはこれまでよく健闘したと思う。良い仕事もたくさん見せてくれた。残念ながら、未来はない。

Image credit: Dodo bird, by mwanasimba, on Flickr.

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(翻訳:Maeda, H)