引っ越し業界とそのユーザ消費者の両方にwin winの革新をもたらすMoveInsure

あなたは信じないかもしれないが、アメリカでは年間に3700万の人が(世帯数では1600万世帯が)、引っ越しをしている…つまり家財道具の荷造りと移動をしている。中には、3年に一度引っ越しをする人もいる。だから引っ越しも、人生の喜怒哀楽の重要な一部だ。そして当然ながら、運送業、倉庫業など引っ越しを支える各種のサービスは引っ越し産業と呼ばれる巨大な業界を形成している。その年間売上の総額は、165億ドルにも達する。
引っ越しの途中で事故が起き、大事な品物が損壊することがある。だから、引っ越しには保険が必要だ。引っ越し屋さんは、全米で企業としては8100社、事業所としては17000箇所以上ある。これだけあれば当然、業者が提供する保険の多くが古くてユーザのニーズにフィットせず、しかも内容や料金等がまちまちになる。
引っ越し屋さんの料金に保険は含まれているが〔日本でもそう〕、その保証範囲は会社によって違う。荷物重量1ポンドあたり60セントという制限を設けているところが多いが、一世帯の平均荷物重量は7000ポンドあまり、0.6ドル×7000=4200ドルとなり、本当に価値ある品物はカバーできない。しかも保険による弁償額は業者が勝手に決める場合が多いので、いざというときに業者と喧嘩になることもある。自分の過失の代価を自分で決めるのは、おかしいと思うけどね。
だから引っ越し産業もまた、われわれのテクノロジによってディスラプトされる(革新がもたらされる)べき業界ではないか? という次第でこの業界に詳しい人たちがチームを組み、昨年の終わりにMoveInsureというスタートアップを創業した。この業界における、レガシーシステムの多さ、そしてスタンダードを欠いたばらばら状態、それを踏まえてチームは、業界の風通し(==コミュニケーション)を良くし、引っ越しという業務に効率と自動化をもたらすことを目標に掲げた。
MoveInsureがそのネットサービスを一般公開したのは、ごく最近だ。その第一の仕事は、引っ越しをする世帯に対する保険の手当てを完全に自動化することだ…保険の購入から支払い請求までのすべてを。保険の内容〜料金を決め、万一のときには支払いを請求する、この一連の厄介な事務が、これからはカウチに寝そべってテレビを見るぐらいの気楽さでできる。
引っ越し保険は、ユーザ、保険会社、査定人、引っ越し屋さんなど、関係者の数が多い。しかも伝統的に、これらの関係者間にはコミュニケーションというものがなく、それぞれ孤立している。そこでMoveInsureは、各関係者が個々の保険案件の全貌と細部を辿れるためのインタフェイスを、Web上に作った。
MoveInsureのCEO Boaz Ravivによれば、保険業界や査定業界などの大手と提携し、最初から最後までの全プロセスを自動化することによって、同社は単にユーザに使いやすさを提供するだけでなく、保険料やその保証範囲、支払い請求処理などを大幅に改善できた。
同社のもう一つの価値命題は、上述のような、査定まで重量ベースで引っ越し屋さん自身がやってしまう保険の方式が、保険関連法の対象の埒外(==無法地帯)にあることと、関連している。MoveInsureが提携している保険企業はもちろん適法企業で、保険省(Department of Insurance)の規制・監視下にあるから、消費者は不正や欺瞞から守られ、支払い請求事務も、あなたの42インチのプラズマテレビを壊してしまった人たちではなく、その道のプロが執り行う。
従来は、スタンダードのないばらばらの業界で、保険も最低限のものが料金に含まれているだけだから、往々にして消費者が割を食うことになる。そこでMoveInsureは、さまざまな保証範囲のメニューを作り、それらをGold、Silver、Pair & Sets(ペア品、セット品)、Storage Extension(一時預かりあり*)などと名付けた。また海外引っ越し等のための複数保険会社制も、同社は扱う。〔*: 大量の本、食器など。〕
保険のもう一つの大きな問題が、査定〜支払い処理がのろのろと遅いこと。業界平均が2〜3か月のところをMoveInsureは、請求の95%を30日以内に終わらせる。
これは、引っ越し屋さんにとってもメリットだ。支払い請求という面倒な事務から解放される。MoveInsureの良いところは、中間介在者がいないのでトラブルが起きないこと、しかも、引っ越し屋さんの料金に保険が曖昧不明瞭な形で含まれない。一方、引っ越し屋さんはMoveInsureのアフィリエイトになるから、結局win winの関係が形成維持される。
チームは、サービスの準備に1年半をかけた。ステルスの立ち上げが今年の1月だったが、その翌月にはソフトロンチにこぎ着けた。Ravivによれば、同社のミッションを一言で言うなら、自動車保険に対してEsuranceがやったことを、引っ越し業界に対して行うことだ。そこで同社は最近、Esuranceの協同ファウンダChuck Wallaceを取締役として招聘した。
これまでのMoveInsureの資金調達は、小額のエンジェル資金に限られていたが、一般公開を果たした今は、成長のための本格的な資金調達ラウンドを目指している。
MoveInsureの詳細は、同社のホームページで。



