ハッカー高校、GameDeskの目標は、〈メーカー〉世代の創出

Facebookはその1000億ドルの帝国を、「ハッカー・カルチャー」の上に作り上げた。大胆な実験と共同作業の楽しみを奨励する社風だ。今AT&Tは、GameDeskなる学校が、生徒たちを近代的職場の制御されたカオスに備えさせてくれることに、380万ドルを賭けようとしている。

GameDeskでは、英語から代数まであらゆる科目が、現実世界の問題に取り組む学際的研究であり、カリキュラムでは、ビデオ、ゲーム、英語、アートなどの制作を通じて理解を深める。CEO Lucien Vattelが本誌に語ったところによると、生徒が自分バージョンの「Angry Birds」を作るためには、円弧や放物線の数学的原理をモデル化する必要がある。有り余る好奇心と物理的に新製品を作るスキルを身に付けることによって、卒業生たちは近代的職場で働く準備をいっそう整えることができる。

AT&Tによる相当額の支援はロサンゼルスの教員向け公共学習施設や研究所、GameDeskやウェブ上の対話型カリキュラムを集約するオンラインハブなどの設立に向けられる。

「さまざまな新しいテクノロジーやゲームが、若者たちの心を掴む様子には実に素晴らしいものがある」とVattelは言った。「あの感動が本物の学習へと繋がるところを、私はどうしても見たい」。

GameDeskを特徴付ける原理は、学習と楽しみは互いに排他ではないということだ。生徒は各クラスでどのテーマが一番自分の好奇心をかき立てるかを見つけるために、十分な余裕を与えられる。「このバッタが自然な跳び方をするようにしたかったのです」と生徒の一人、Edward Solisが、彼のデザインした数学に基づくゲームを説明する。「二次方程式を使えば最高到達点と跳ぶ角度をきめられます」

生涯学習へのゆるぎない愛を浸透させるGameDeskのアプローチは、深刻な退学率の高さに歯止めをかけるのに役立つだろう。特に、エンジニアに関して。

以前から教育科学者の間では、金銭やメダルなどのインセンティブが生産的好奇心を損なうことが知られている(わかりやすい説明のために、ダニエル・ピンクによるイラストを使った人気のビデオを下に貼った)。

メーカー・ムーブメント

GameDeskでは、生徒全員がいじり回して、プログラムして、作ることを学習する。ビデオゲームでも映画でもブログを始める時でも同じだ。20世紀末以来、メーカー・ムーブメント、あるいは消費者製造と呼ばれるものがブームになった。消費者が自分の製品をデザインあるいは変更するようになってきている、とMITのエリック・フォン・ヒッペルが『民主化するイノベーションの時代』に書いている。

その結果、学校は外国語の代わりにコンピュータープログラミングを教えるようになった。GameDeskはその先を行き、プログラミングに加えてデザインとエンジニアリングを取り入れ、卒業生にメーカー(作り手)として必要な道具立てをしてやっている。

しかし、公教育システムはまだ、iPadアプリを作れる生徒の価値を定量化していない。だからもしGameDeskが、他の学校にもハッカー教義を広めるというそのミッションを達成したいのなら、ゲームデザインが標準テストの点数を上げることを証明する必要がある。南カリフォルニア大学の予備実験結果によると、実は、遊びが学力向上に繋がりうることが示されている。

おそらく一番重要なのは、GameDeskが恵まれない子供たちの支援を決意していることだ。「当校の生徒の多くはエンジニアが何をするかさえ理解していない」とVattelは説明する。従来高価なテクノロジーや高度な資格をもつ教員は、裕福な生徒たちに向けられることが多かった。

今オンラインアクセスの拡大と、教師がカリキュラムを学ぶためのオープンスペースを得て、GameDeskはメーカーをエリート階層だけでなく、世代全体にわたって生み出していく力になることができるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi)