CoastermaticはInstagram写真を砂岩のコースターにプリントしてくれる〔ハードボイルド仕立て〕

クララはオレの事務所に6時半に入ってきた。いつも6時で閉めるのだが、ドアマンをうまくいいくるめてきたに違いない。エスキモーに氷だって売りつけられるような女だ。
強い酒を二杯注いだ。一杯をオレが取り、もう一杯をクララが取った。
「うまくいったんだと思うけど? 私の夫とその女の写真は?」とクララが尋ねた。
「思う? 思っただけでは役に立たないな。思い込みは危険だ。ああ、浮気相手の女は見つけた。しかしリディアじゃなかった」
「じゃ、誰なの?」
クララの頬に血が上った。夏のさくらんぼを思わせるような唇を引き締めてスリムなタバコに火を点けた。
「妹だよ」
「ジョイス?」
「他に誰かいたか?」
私はずらりとコースターを並べてみせた。この4枚を作らせるのにオレはCoastermatic社に大枚25ドルと送料をはたいた。砂岩でできた上等なコースターだ。それぞれにクララの下院議員の夫とクララの妹の写真がプリントされていた。もちろん上品にトリミングしておいたが。Instagramで撮った写真にドラマチックな効果を狙ってケルビン・フィルターをかけてあった。
クララは写真を見ないですむようにコースターの上に飲み物を置いた。オレもそうした。
「わざわざこんなコースターを作るのにいくらかかったの?」
「4枚がセットで25ドル。送料が6ドルだ。アメリカ国外だと17ドルかかるそうだが。請求書の経費に入れておく」
「いいわ。 なぜ私っていつもダメな男ばかり選んでしまうのかしら、探偵さん?」
「クニッシュでも食いにいかないか。世の中、ダメな男ばかりじゃないぜ」
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)


