モバイルアプリのデベロッパに告ぐ: プッシュ通知の濫用をやめよ

モバイルアプリのデベロッパは、プッシュ通知を濫用している。やめてほしい。重要でもないアップデートのためにユーザをしつこくpingするのは逆効果だ…このことは広く知られているものの、でもアプリのデベロッパたちに、オプトインのプッシュという安易なマーケティング手法を控える気はなさそうだ。ひんぱんなプッシュはそのアプリをユーザの心の上層部に置き、新しいもの見たさでアプリを再ロンチさせ、何かを忘れさせないようにする、などなど、と少なくともデベロッパは期待する。しかし、便利でフレンドリであることと、いつまでも終わらない迷惑なメッセージスパムであることの違いは紙一重だ。
ソーシャルアプリは、プッシュ通知を使って、いかにも人気があるという雰囲気を作り出す。通知のほかに、このような一方的な表示の方法はない。自分の携帯でしょっちゅう通知音が鳴っていると、そのアプリをたくさんの人がチェックしているんだなぁ、という雰囲気になる。でも、それにも、ユーザが耐えられる限度というものがある。
自分の友だちがそのサービスに今サインアップした、コメントを書いた、何かをLike(いいね!)した、自分を何かに加えたりフォローした、などなどはほとんど、重要でない情報であることが多い。つまりそれらは全然、“ニュース”ではない。フォロワーが一人増えたって、人生が大きく変わるわけではない。そんなどうでもいいプッシュ通知に、今ユーザが集中してやっている何かから気を逸らせる権利はない。多くの場合モバイルのユーザは、今自分が集中してやってることのほうが、ずっと重要だ。ユーザによっては、Facebookとか、ごく一部のアプリは、即時の通知が重要かもしれない。でも、インストールしたすべてのアプリから通知で邪魔されてもいい、と思うユーザはいない。
最大の迷惑屋はソーシャルアプリだが、そのほかにもプッシュ通知を濫用するアプリは多い。Urban Airshipは、こんなリストを載せている:
エンタテイメント
- 新しいコンテンツ(アイテムや機能)
- 時間制限のあるイベント
- きまりごと(「今日の名言」など)
パブリシング
- 速報ニュース
- 警報注意報
- 懸賞
- サービスメッセージ
- 無料お試し提供
- 年間購読のお誘い
- 特集のご案内
- 地域限定企画
メディア
- 新コンテンツ(本編、予告編、ボーナス編など)
- リマインダー(放映時間、特別ゲストの登場、ライブのイベントなど)
- アンケート(質問、催促、結果報告)
- ほかのメディアのご案内(モバイルサイト、テレビ番組など)
ショップ
- リビューの催促
- リビューへのコメントやフォローしている製品の案内
- 新製品・新スタイル入荷案内
- 発送確認
- 発送情報の更新
- ショッピングカートの期限切れ告知
- 売り出し・特売
- クーポン
- おすすめ品
- カスタマサービスへのリビュー催促
- 宣伝ビデオなどの案内
- 位置対応のおすすめ(スキー場にいたらスキー用品、など)
ソーシャルネットワーキング
- 投稿されたコンテンツへのレスの催促
- ユーザとの対話のお誘い
- フォローしている人からの新しいコンテンツ
- 機能のアップデート
- ユーザを喜ばせるようなご案内(あなたの記事を大きく紹介しましたよ、コンテストにご招待します、などなど)
B2B
- 新しい記事
- リアルタイムのサポート
- リアルタイムのカスタマサービス
これらの中に、本当に重要なメッセージはいくつあるだろうか? たぶん、片手の指の範囲内だろう。そしてそれらに対しても、回数や時期・時間などでは注文をつけたいだろう。
プッシュ通知の濫用は、無意味なものに邪魔をされるという問題にとどまらない。ユーザは、プッシュ通知そのものに対して、懐疑的になってしまうのだ。今や多くの人が、そんな状態になってると思う。アプリを最初にロンチしたとき、プッシュ通知を送ってくるのは”no”と設定したことのある人は、もはや懐疑派だ。ユーザは、システムを適正に使っていないデベロッパを信頼できなくなり、プッシュ通知を完全にオプトアウトしてしまうのだ。
でも、言うまでもなくプッシュ通知は役に立つことがある。Urban Airshipによると、有益なプッシュ通知のあるアプリは、そうでないアプリに比べてダウンロード後半年間のユーザ保持率が倍大きい。しかも、良質なプッシュ通知は年月とともに、ユーザ定着率を大きくしていく。あるアプリの例では、ダウンロード後1か月の利用率が67%だったが、2か月後には74%、3か月後には81%と利用率が増えている。飽きられて使われなくなる、の正反対だ。
良質なプッシュ通知とは、ユーザとの関連性が明確で、その人のニーズに合っている通知だ。アプリのデベロッパの欲求ではなくて、ユーザのニーズだ。自分のアプリのロンチ回数を気にするデベロッパは多いが、本当にユーザのことを考えてあげれるデベロッパは少ない。Urban AirshipのCMO Brent Hieggelkeの言うには、“ユーザにとって意味がなく、アプリやブランドの目的に奉仕するだけのプッシュ通知は、やればやるほどユーザから嫌われ、‘アプリ離れ’が起きる。プッシュ通知は、ファミリーディナーテスト(family dinner test, 家族の夕食試験)に合格しないとだめだ。夕食のときに来ても嫌われない通知なら、それは価値ある通知なのだ”。
Brentが挙げる良質なプッシュ通知の例は、Burton Snowboardsだ。同社がスノーボードのファンたちに提供する通知は、最新の降雪情報だ。サーファーが良い波を求めているように、スノーボーダーたちはいつも良い雪を探している。商品の売り込みや宣伝のメッセージは、いっさいない。スノーボードのことなら、スノーボーダーのほうがよく知っている。だからしつこい宣伝はむしろ、客離れの原因になる。 Burton Snowboardsは、顧客の役に立つ情報だけをプッシュする。
もちろん、ユーザの真のニーズを知るのは容易ではない。Burton Snowboardsのアプリでは、ユーザはフレッシュな粉雪のある場所を知りたがっている。しかしアプリによっては、ユーザのニーズはもっと多様だ。だからアプリの最初の立ち上げ時に、「あなたは何を知りたいか」というオプションの設定があってもいいだろう。それができない場合には、デベロッパは最初からユーザの心と生活に対して細心の注意を払うこと。ユーザにとっても、アプリの設定画面へたどり着くよりも、ホーム画面でそのうるさいアプリを削除するほうが簡単なのだ。


