AngelList、スタートアップ向けに資金調達ラウンドクロージング用ドキュメントの自動生成ツールを提供開始
AngelListが企業投資の世界に非常にパワフルな(かつdisruptiveな)プラットフォームをもたらしたのは間違いない。ソーシャルネットワークとクラウドソーシングを融合したプラットフォームで、スタートアップはここで投資家を探すことができる。また投資家の方も投資効率を上げるための情報を集めたり、あるいは他の投資家と連携していくようなことができるようになっている。但し、投資家とスタートアップに出会いの場を提供するプラットフォームとしては機能していたが、実際の投資作業をオンラインで行うような仕組みは用意していなかった。この度、AngelListが用意したプロダクトは、実際の作業段階にも役立つものだ。シードステージにあるスタートアップが、ほぼそのままで利用することのできる契約書類を扱うDocsというサービスの提供を開始したのだ。基本的なタームシートが用意されており、自動的に契約書類を作成することができる。電子署名関連、金銭授受管理ツール、PDF書類の生成機能などが用意されているのだ。
CEO兼共同ファウンダーのNaval Ravikantによると、数年前に共同ファウンダーのBabak NiviとVentureHacksを設立した時から、目標とするのはタームシートのまとめ方をベンチャー企業に伝授することだったのだそうだ。AngelListはこの目的を追求するために生まれ、スタートアップと投資家の間を取り持ってきた。そして次のステップとして、実際の契約業務をサポートするサービスの提供を開始したというわけだ。Ravikantによれば、契約時に必要となる金額が、ベンチャーの行動を制約することになってしまっているとのことだ。
たとえばシードラウンドについても、法律関係を扱うための費用は数万ドルにものぼることになる。これは自己資金で運営しているスタートアップにはなかなか手が出ない金額だ。Docsでは、必要な情報を入力して半自動でタームシートを生成することで、かかる費用を抑制しようと考えているわけだ。
投資家情報、投資金額、増資する金額の全体、ヴェスティングスケジュールなどを入力して資料を作成することになる。こうして入力した情報に基いてタームシートと契約書類が自動的に出来上がってくる。AngelListは現在、エクイティ(Fenwick and WestのTed Wangの助力による)と転換社債(Perkins Coieがサポートしたもの)関連の書類ならば、書面に記載する補足記述により正式なものとして活用できるクオリティの書類を生成することができる。Ravikantによると、タームシートおよびクロージングドキュメントなどは、業界標準のSeries Seedドキュメントに基づくものとなっているのだとのこと。結果的に若干の修正ないしは全く修正なしに通用させることが可能なものになっているのだそうだ。AngelListは、文書の有効性についてはローファームのWilson Sonsiniと共同で確認を行なっている。
もちろん、こうしたサービスを利用しても最終的には弁護士に書類を確認してもらいたいという企業もあるだろう。この場合も既に標準化ドキュメントを作成しているわけなので、かかる費用を最低限におさえることができるようになる(通常の場合数万ドルのところが、数千ドルで済む)。まずWilson Sonsiniのクライアントとなっておけば、クロージング作業はリーガルフィー無料で行なってくれる。Docsにより作成した書類を元にして、クロージング作業を他の法律事務所に依頼することもできる。
スタートアップのLookmarkおよびCucumbertownは、Docsの初期バージョンを用いてシードラウンドのクロージング作業を行なった。また多くのスタートアップが現在、Docs生成のドキュメントを利用してクロージング作業を行なっているところだ。また数百の企業がDocsに登録されている書類を利用して各ラウンドのクロージング作業を行なってきているのだそうだ。
LookmarkのCEOであるDave Zohrobは、Docsの機能のおかげで資金調達を迅速かつ簡単に完了することができたと述べている。このLookmarkは7桁資金の調達を行ったが、前回のシードラウンド時と比較して、法手続き費用は数万ドル下がって2万ドルで済んだのだとのこと。。
ちなみに、現在のところDocsは制限付きリリースとなっていて、利用には事前の申し込みが必要となっている。但し、このDocsは無料で利用することができ、また将来的には申し込みなども不必要にしたいと考えている。
Ravikantによると、これまでもAngelListに対しては、標準的なクロージングドキュメントの用意はないのかという問い合わせが数えきれないほとにあったのだそうだ。これに応える中で、単に標準的形式をPDFで示すのではなく、インタラクティブなシステムを構築することにした。おかげで必要な部分に個別条件などを入力していけば自動で自社向けのドキュメントが生成され、そのまま具体的なクロージング作業に利用できるようになったのだ(このおかげで法手続き費用が激減することとなる)。
AngelListにとっては、Docsは「ネットワークプロダクト」への大進化となるものだ。これまで1,500以上の企業に投資家と出会うチャンスを与え、AngelList経由での調達額は10億ドルにも達している。しかし今回のDocsのリリースにより、実際の投資作業をオンラインでサポートすることができるようになり、AngelListはこれまで以上に多くのデータを収集できるようになったわけだ。
Ravikantも「これからは企業と投資家の出会った件数だけでなく、実際にどのような投資活動が行われているのかを知ることができるようになるわけです」と述べている。
ところで、AngelListにとって、このDocsがスタートアップを具体的に支援するための最初のプロダクトというわけではない。今年初めには、よりインタラクティブに売り込み資料を作成できるプロダクトをリリースしている。
資金調達を狙うスタートアップにとっては、従来よりも多くのリソースを活用することができる時代となりつつある。VCの間でも情報開示が新たなトレンドとなりつつあり、TheFundedなどが新たな資金調達方法(Convertible Equity)などを普及させようとしている。こうした中でAngelListのネットワーク機能の充実により、スタートアップはより多くの情報を集めて資金調達活動を簡単に行うことができるようになりつつあるということができよう。
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(翻訳:Maeda, H)





