アリババ支援のAutoXとフィアット・クライスラーが中国でロボタクシーを運用へ
アリババが支援する自動運転車のスタートアップであるAutoX(オートエックス)は米国時間1月7日、Fiat Chrysler Automobiles(FCA、フィアット・クライスラー・オートモービルズ)と提携して、中国をはじめとするアジアの国々で大量のロボタクシーを展開すると発表した。
AutoXによれば、このクライスラーのミニバンであるPacifica(パシフィカ)を使ったロボタクシーの一般向けサービスを、2020年前半に中国で開始するとのこと。利用者はWeChat(ウィチャット)のミニアプリや、その他の中国で人気のアプリを使ってロボタクシーを呼べる。
今回の提携は、自動運転のフルスタック開発を行うAutoXにとっては大変に重要な一歩となる。AutoXは、カリフォルニアと中国でロボタクシーの試験運用を行っているが、その真の狙いは、自社でロボタクシーを運用したい企業に技術をライセンスすることにある。
FCAにとっては、この提携はそれほど重要ではないかも知れないが、FCAは中国でのロボタクシー事業を展開したいと思えば、理論的にはそれが可能になる。
香港とカリフォルニア州サンノゼに拠点を置くAutoXは、すでにカリフォルニアと中国で試験を行っている。2019年の初めには、深圳の繁華街で一般向けのサービスを開始し、9月には上海市と提携して100台のロボタクシーを使った運用試験を上海で行っている。
AutoXのCEO肖健雄(シャオ・ジアンシャオ)氏は、次なるステップは安全のためのドライバーを必要としない、完全な無人運用だと話す。「そのゴールのためには、ハードウエアを完成させることが不可欠です」と彼は言う。同社によれば、FCAとの提携はその助けになるとのことだ。
「完全な無人運用を実現するためには、完全な冗長性を備えたドライブ・バイ・ワイヤー・システムによる信頼性の高い車両プラットフォームが必要になります」と肖氏。「このレベルの冗長性は、自動車業界ではまだ新しく希少なものです。その点、クライスラーのPacificaプラットフォームは、無人運用での信頼性が実証されています」。
AutoXは、CES 2020でクライスラーのPacificaを展示する予定だ。この車両には一連のセンサー群が装備されている。現在このハイブリッドカーに搭載されているのは、360度の半導体ライダーセンサー、何台もの高解像度カメラ、死角ライダーセンサー、レーダーセンサーだ。AutoXは、RoboSence(ロボセンス)とドローンメーカーDJIのライダーセンサーを採用している。
さらにこの車両には、AutoXが開発したXCUという車両制御ユニットも装備されている。XCUは、ライダーやレーダーなどのセンサーを含む自動運転スタックを制御し、車両に統合する。XCUの高速処理能力と高度な演算能力で、中国の市街地に見られる複雑なシナリオに最適に対応できるとAutoXは話している。
「街は自動車、歩行者、自転車、スクーター、その他の動くものにあふれていて、その多くが交通ルールを無視しています」とCOOの卓李(ズオ・リー)氏は声明の中で述べていた。「急速な発展を遂げる中国では、建設工事や改修工事が夜通し行われています。朝と昼と夜とでは、街の様子はまったく異なります。そのため私たちのシステムは、各オブジェクトの認識と追跡を、高速に、非常に正確に処理するよう求められています」。
一方、FCAの自動運転戦略は、自動運転車開発企業との提携に重心を置いている。2016年5月、Waymo(ウェイモ)とFCAは、Waymoの自動運転システムを組み込んだPacificaを100台ほど共同で開発すると発表した。そして去年、FCAは商用自動運車の開発でAurora(オーロラ)と提携した。
昨年AutoXは、スウェーデンの持ち株会社で電気自動車のメーカーでもあるNEVS(ナショナル・エレクトリック・ビーグル・スウェーデン)と提携し、2020年末までにヨーロッパでロボタクシーの試験サービスを展開すると発表した。同社はカリフォルニア規制当局からロボタクシーでの乗客の輸送の認可も得た(安全のため人間のドライバーを乗せるのが条件)。AutoXでは、カリフォルニアのロボタクシーサービスを「xTaxi」と呼んでいる。
画像クレジット:AutoX
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(翻訳:金井哲夫)