メルセデス・ベンツとNVIDIAのタッグが「ソフトウェアを中心に据えた」自動車を2024年に市場投入
2020年版メルセデス・ベンツ(もしくはほぼすべての最新の高級車)の中身を詳しく見てみよう。そこには何十個という電子制御ユニット(ECU)が登場する。従来の自動車メーカーは、これまでも多くの技術の追加にともなって、ECUを追加してきた。これは限界があるだけではく、複雑さとコストをもたらしてきた(こうした問題をテスラのような新しいライバルたちはうまく回避している)。
米国時間6月23日、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)とNVIDIA(エヌビディア)は、新世代車両のパフォーマンスと自動運転機能を向上させながら、複雑さの解消を目的としたパートナーシップを組むことを発表した。
その成果が、NVIDIAのDrive AGX Orin SoC(システムオンチップ)に基いた、ソフトウェアを中心としたコンピューティングアーキテクチャである。Daimler AG(ダイムラーAG)の会長でメルセデス・ベンツAGの社長でもあるOla Källenius(オラ・ケレニウス)氏は発表のライブストリーミングの中で、この基礎アーキテクチャーは2024年末までに発売されるメルセデスの次世代車両の標準となる予定だと語った。
NVIDIAのOrin SoCは、最近発表されたNVIDIA Ampere(アンペア)スーパーコンピューティングアーキテクチャに基いている。NVIDIA Driveプラットフォームには、自動運転AIアプリケーション用に設計された完全なソフトウェアスタックが含まれる予定だ。両社は共同で、レベル2並び3のドライバー支援機能を持つAIと自動運転車アプリケーションを開発する。同様に最高レベル4に達する自動駐車機能も開発する予定だ。ちなみに、自動車技術者協会(SAE)は自動化に5つのレベルを指定している。レベル2システムは、2つの主要な機能が自動化されていることを意味するが、依然として常に人間の運転手が運転に関与する。またレベル4は車両が特定の条件下で、人間の介入なしに運転のすべての局面を処理できることを意味する。
ケレニウス氏は米国時間6月23日に、この新しいコンピューティングプラットフォームへの移行は、自社のビジネスモデルにとって重要であると述べている。
「多くの人が現在の自動車、最新の自動車のことを、車輪付きのスマートフォンのようなものだと話しています。もしそのアプローチを採用したい場合には、全体的な観点からソフトウェアアーキテクチャの根底を見直す必要があります」と彼は述べている。「ここで最も重要なドメインの1つは、ドライバーアシスタントドメインです。それは、私たちがソフトウェア駆動型アーキテクチャと呼んでいるものにうまく組み込まれ、(高い計算能力で)顧客のユースケースを追加できるようになっている必要があります。この場合は、自動運転に向けたドライバー支援という意味です」。
ケレニウス氏は、このことはビジネスに継続的な収入源を加える役に立つ、と付け加えた。この新しい車載コンピューティングプラットフォームは、メルセデスの車両をソフトウェアアプリベースのシステムへと移行させる。これにより、理論的にはメルセデスがサードパーティのアプリを車両に導入できるようになる。ケレニウス氏が新しい収入源について言及したときに意識していたものがこれである可能性が高い。ソフトウェアベースのアプリシステムを使うことで、車のユーザーは、車両の利用を続ける中で、機能やソフトウェアアプリケーションそしてサブスクリプションサービスを無線ソフトウェアアップデートを使って、購入し追加するこができる。
これは、1回限りものでも単なる試行でもない。このソフトウェア中心のコンピューティングシステムは、メルセデスの次世代車両全体の標準となる。そして、もしメルセデスがMBUXと呼ばれる次世代インフォテインメントシステムと同じ戦略に従うとするなら、最初にこのアーキテクチャが採用されるのは、フラッグシップのSクラスではなく、Aクラスになるだろう。
画像クレジット:Mercedes-Benz
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(翻訳:sako)