アップルが教育者向けにSwiftとXcodeが学べる無料のプログラミング教材を拡充

米国時間7月9日、Apple(アップル)は、あらゆるスキルレベルの教育者がSwift(スイフト)とXcode(エックスコード)の両方を教えることができるようにするための、新しい無料教材の計画を発表した(Appleリリース)。米国時間7月13日には、アップルは「Develop in Swift(Swiftで開発)」カリキュラムの入門編として役立つ無料のオンライントレーニングを、教育者に提供し始める。

アップルによれば、このカリキュラムは学生の学習スタイルに合うように、ユーザーのフィードバックに基いて完全に再設計されたものだという。

この結果、新しいシリーズには「Develop in Swift Explorations」(探究)「Develop in Swift AP CS Principles」(上級コース)および「Develop in Swift Fundamentals」(基礎)という3つのコースが含まれることになり、いずれもすぐに利用可能となる。また4冊目の本「Develop in Swift Data Collections」(データコレクション)は、今秋後半に発行される予定だ。すべてApple Booksから入手できる。

カリキュラムは高校および高等教育の学生を対象としており、アップルが設計したオープンソースのプログラミング言語Swiftに焦点を当て、Mac上でXcodeを使用して行う。

画像クレジット:Apple

4年生から8年生(日本の中学2年生に相当)の若い学習者向けには、アップルのEveryone Can Code(誰でもプログラミングができる)カリキュラムが用意されていて、そこではSwift Playgroundsアプリを通じて、パズルとゲームを使いSwiftのブロック式コーディングが教えられている。このコースも、現在拡張されている最中だ。

「Everyone Can Code Puzzles」本をすでに完了している学生は、新しい本「Everyone Can Code Adventures」に進むことができる。この本は、学生が重要なプログラミングの概念について学びながら、Swiftでの開発を練習できる、より高度なアクティビティを含んでいる。

同社は、新しく拡張されたコースの意図を、しばしば必要とされる米国でのコンピューターサイエンス教師たちのニーズを補足することだという。

アップルはComputer Science Teachers Association(CSTA、米国コンピューターサイエンスティーチャーズアソシエーション)が、今日コンピューターサイエンスのクラスを提供している高校は全体の半分にも満たず、多くの大学生が教師不足のために卒業に必要なコンピューターサイエンスコースに参加できないと主張している点に着目している。

さらに、これらのコースは保護者にも提供されている。多くの保護者は現在、新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックの中で、自宅スクールで教師の役割を果たしている。

またアップルは自宅学習者の保護者向けに、iPadまたはMac上での10のコーディング課題を含む「A Quick Start to Code」などの、10歳以上向けの新しいリモート学習リソースセットを加えた。さらに、今春にローンチしたアップルの Learning from Home(リモート学習)ウェブサイトにも、リソースが置かれている。このサイトには、オンデマンドビデオやリモート学習に関する仮想会議、および無料の1対1の仮想コーチングセッションをスケジュールするオプションが含まれており、アップルの教育者によってホストされる。

アップルによって推し進められているコーディング教育の強化の長期的な影響は、まだわからない。例えば「Everyone Can Code」は2016年に開始されたばかりで「Develop in Swift」カリキュラムは2019年に始まったばかりだ。合計すると、現在それらのプログラムは、世界中で9000を数える高等教育機関で採用されている。

「誰もが」コードを学ぶことができ、そして学ぶべきであるという考えは、まだ議論の余地がある。多くの人がコーディングの基礎を学ぶことはできるかもしれないが、誰もがコーディングを楽しんだり、それに優れているわけではない。さらに、人はしばしば間違った理由でコーディングに目を向けたり(Bloomberg記事)、わずか2、3週間のトレーニングで簡単に年収数千万円を手にすることができると煽るブートキャンプに騙されたりしている。

その一方で、より多くの子供たちをコーディングの概念を教えることで、見過ごされていた可能性のある、潜在的な才能とプログラミングへの関心を発見できる可能性もある。そうした関心は、子供が成長する中で、将来のコースや教育によって育むことができる。

「アップルは40年の間、教育者の方々と協力してきました。特にDevelop in SwiftとEveryone Can Codeが、教師と生徒のみなさんがコミュニティに影響を与えるお手伝いをできたことを誇りに思います」と、アップルのマーケット、アプリ、ならびにサービス担当副社長であるSusan Prescott(スーザン・プレスコット)氏は声明で語った。「私たちは、コミュニティカレッジの学生がキャンパス向けの食品安全アプリを作成したり、中学校の先生たちが夏休みに仮想コーディングクラブを主催したりするのを見ました。コンピューターサイエンス教育への関与を拡大する取り組みの一環として、これまでの経験に関係なくより多くの教育者がコーディングを学び、次世代の開発者やデザイナーに教える機会を提供できるようする新しい専門学習コースを追加できることを、うれしく思っています」と彼女は付け加えている。

画像クレジット:Apple

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(翻訳:sako)