グーグルがモバイル用動画ショッピングプラットフォーム「Shoploop」をローンチ
Google(グーグル)の最も新しい試みは、90秒以内の動画で新製品を消費者に紹介できる動画ショッピングプラットフォームだ。米国時間7月16日に同社は、Shoploop(ショップループ)をローンチした。これは、新しいアイデアを一般のユーザーベースでテストするグーグルの社内研究開発部門Area 120(エリア・ワントゥエンティー)で生まれたプロジェクトだ。
Shoploopの創設者であるLax Poojary(ラックス・プジャリ)氏は、以前、これもまたArea 120から生まれたオンライン旅行プランナーTouring Bird(ツアリング・バード)に勤務していた。昨年、Touring Birdは、Area 120を卒業してGoogle自身に統合された(Googleブログ記事)数少ないプロジェクトの仲間入りを果たした。
プジャリ氏によれば、この新しいインタラクティブな買い物方法のアイデアは、今の消費者が商品の購入を検討する際に、ソーシャルメディアと電子商取引サイトを併用していることにヒントを得たという。例えば、ユーザーはInstagram(インスタグラム)などのソーシャルメディア・アプリの中を飛び回り、次にYouTube(ユーチューブ)でチュートリアルやデモを見て、その後(気に入れば)実際に購入するといった具合だ。
もちろん、動画でショッピングというアイデアは斬新というわけではない。いくつものスタートアップや、大企業までもが、すでに動画と商品販売とを結び付けている。
例を挙げると、Amazon(アマゾン)はその販売サイトでライブストリーミング配信プラットフォームAmazon Live(アマゾン・ライブ)を運営(未訳記事)している。YouTubeも、新しい購入可能な広告フォーマットを導入した。動画の下で商品の購入ができる仕組みだ。Facebook(フェイスブック)でもライブショッピングが可能になった。Facebookは2019年にこの分野の企業を買収(Bloomberg記事)している。Instagram(インスタグラム)も、独自のショッピング機能を導入している。
動画を取り入れたモバイルショッピングのスタートアップも数多く存在する。昨年1200万ドル(約13億円)を調達したDote(未訳記事)。1月に300万ドル(約3億2000万円)を調達したPopshop Live(未訳記事)。NTWRKはショッピングとライブイベントを合体(未訳記事)させている。Depop(ディーポップ)はInstagramのように写真と動画の両方を使って販売を行っている。
ほかにも、Yeay(未訳記事)やSpinといったアプリがいくつもある。また、ブランドに技術を提供してこの分野への参入を手助けしているスタートアップもある(Pymnts記事)。ほんの一部の名前を挙げるならば、Bambuser、MikMak、Buywithなどだ。
言ってしまえば、Shoploopは手つかずの新しいトレンドを掘り当てたわけではなく、単に参入しただけのことだ。Shoploopの買い物はインタラクティブだ。ユーザーは画像や文章をスクロールするだけでなく、ネイルステッカーやヘアケア製品やコスメなどの商品を紹介する動画が見られる。同社によれば、最初は、化粧品、スキンケア、ヘアケア、ネイルといったカテゴリーの商品を対象に、クリエイター、パブリシャー、その市場の店舗オーナーと共同してコンテンツを制作するという。
現在、クリエイターが契約したブランドの商品紹介のための動画コンテンツ制作に勤しんでいる。Shoploopの製品そのものは、収益化されない。
このエクスペリエンスはYouTubeでチュートリアル動画を見るのに似ているが、一番の見せ所に凝縮されており、その意味ではTikTokのほうが近い。デモ動画は、消費者にブランドと商品を現実的な形で感じとってもらえるよう、信頼性の高さを旨とする。ユーザーがその商品を気に入れば、その動画を保存してもいいし、クリックして商品のウェブサイトに移動して購入することもできる。またこのアプリでは、好きなShoploopクリエイターのフォローや、友だちや家族に動画をシェアすることも可能だ。
こうした製品は、大きく注目を集めることができれば、ショッピングに関連するグーグルの大きな使命にとって重要な存在となり得る。同社は最近、ショッピング・バーティカル(未訳記事)のデザイン変更(未訳記事)を行い、ほとんどの無料の商品リスティングを加える方向に切り替えた(未訳記事)。これはAmazonの広告事業が拡大していることへの対応だ。オンラインで顧客とつながる新しい手段を増やせば、このインターネットの巨大企業の収益は上がる。そして、動画とインフルエンサーによって強化されるショッピング・エクスペリエンスは、特に若い顧客層を引きつけることになるだろう。
Shoploopは本日、モバイル用にローンチされ、デスクトップ版も現在準備中だ。
画像クレジット:TechCrunch
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(翻訳:金井哲夫)