マイクロソフトがTikTokの米国事業買収で中国のByteDanceと協議中
Bloombergの記事によると、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は大人気ソーシャルビデオアプリTikTokのオーナーである中国のByteDance対してに、同社からの売却を命じる計画を立てているようだ。このアプリは親会社が中国の企業であり、米国のセキュリティ上の懸念の対象になっている。
この報道に続いて話題になっているのは、米国などの国々でもユーザー数が多い中国のソーシャルネットワークサービスをMicrosoft(マイクロソフト)が買収する商談を行っているというBloombergやThe NewYork Timesの報道だ。TikTokは中国では利用できず、中国のユーザーは代わりにByteDanceが所有する類似アプリであるDouyinを利用している。
この売却が何を意味しているのか、果たして大統領が関与しているのか、詳細はまだ何もわかっていないが、もし実現すればテクノロジーの世界に巨大な波がやってくるだろう。TikTokは、YouTubeやFacebook(フェイスブック)のような米国を拠点とするソーシャルネットワークにとって、唯一の規模などにおいても無視することができない外部の競争相手だ。
また、売却によってTikTokの米国事業がなんらかの形でスピンアウトするのか、それとも同社の幅広い国際的事業がそのまま残るのかもわからない。
TikTokは、米国におけるトラブルを承知している。米国のテクノロジー企業でさえ規制当局から攻撃される時代である現在、同社は中国の所有権に関する米政府の懸念を払拭しなければならないことを知っている。TikTokは2020年5月に戦略的な動きを見せ、Disney(ディズニー)の役員であったKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏を同社のCEOおよびByteDanceのCOOに迎えた(未訳記事)。
関連記事:Disney streaming exec Kevin Mayer becomes TikTok’s new CEO(未訳記事)
米国のテクノロジー大手がTikTokItを買収するとしたら、今は確かに奇妙なタイミングだ。米国時間7月29日には議会の委員会が、テクノロジー業界の最大の合併と買収を厳しく追及した。ホワイトハウスはTechCrunchに対して、記事へのコメントを拒否している。
7月29日水曜日にはApple(アップル)、Google(グーグル)、フェイスブックそしてAmazon(アマゾン)が4時間あまり議会で締め上げられたが、その中にマイクロソフトの姿はない。マイクロソフトはすでに以前、反トラストの嫌疑で米政府にやられたことがある。またマイクロソフトが消費者よりもエンタープライズにフォーカスしていることも、規制当局が見逃した理由だろう。しかしTikTokの一件は連邦政府からの特例でもないかぎり、議会や政府の新たな注意を招きかねない。
TikTokに対する政府の監視は最近ますます厳しい。ついに大統領までもが(未訳記事)、米国でのTikTokの禁止に関心を示している(The New York Times記事)。今週、Joe Biden(ジョン・バイデン)氏はキャンペーンでスタッフに対して仕事用でも個人用でも、自分のデバイスからTikTokのアプリを削除するよう求めた(The Verge記事)。
米国の一部の企業は、やはりオーナー企業が中国籍である懸念から、社員たちにこのアプリの使用を禁止している。
画像クレジット: Lionel Bonaventure/AFP/Getty Image