未来のテスラ車のバッテリーは車体と一体構造で剛性、効率、安全性、コストを改善
Tesla(テスラ)はバッテリーパックの実装方法を根本的に見直し、単なる燃料源ではなく、車両の構造要素に変えようとしている。米国時間9月22日のTeslaバッテリーイベントで、Elon Musk(イーロン・マスク)氏はこれを民間航空機の燃料タンクと比較して話した。かつては翼の中のタンクに燃料を入れていたが、タンクは内部構造にボルトで止められていた。後に、翼自体を燃料タンクにすることで、燃料の搭載量だけでなく、重量や部品使用に関してもずっと効率がよくなることに気がついた。
「現代の飛行機では、燃料タンクというより翼は燃料タンクそのものが翼の形をしているだけだ」とMマスク氏はいう。「これは間違いなく取るべき道だ。燃料タンクは二重構造になっており、もはや貨物ではない。それは飛行機の構造の基本であり、技術の大躍進だった。我々は車で同じことをやる」。
バッテリーセルを車体の構造要素に変えることで、現在存在しているバッテリーセルの構造支柱を取り除いたと想定した机上計算以上の質量を節約できる、とマスク氏は指摘する。それは、バッテリー自体が支柱のかなりの役割を果たすからだ。その結果、直感に反するかもしれないが、車両全体の安全性も高まると同氏はいう。
Teslaは、構造接着剤として働きさらに難燃剤としても機能する充填剤を作ることでこれを実現しようとしている。結果的に「バッテリーセルを車体の上部板と下部板に接着させ、上下の鉄板の間でせん断伝達が可能になる」とマスク氏はいう。
関連記事:Tesla introduces its tabless battery design on the road to 10 terawatt hours of production
「こうすることで驚くべき剛性が生まれ、実質的に二層の鉄板の間にハニカム構造をサンドイッチすることになる。これは超高速なもののあるべき姿だ」と彼はいう。「実際、飛行機よりもうまくいく、なぜなら燃料は液体なのでこうはいかないからだ」。
最終的に、Tesla車をどんな一般車よりも堅牢にできる構造ができ上がる。堅牢な設計は全体的安全面からも優れており、バッテリーはさらに効率的になるとともに、バッテリーセル自体にかかる応力やひずみによる「任意点集中荷重」を避けることができる。
「さらに、バッテリーセルを車体の中央に近づけることができる、なぜならあらゆる支柱の類がなくなるからだ」とマスク氏は語る。「つまり構造的パッケージの体積効率は非構造的パッケージよりもはるかに高い。しかも、バッテリーセルは中央に近づく」。
これで側面衝突の衝撃がバッテリーセルに到達する可能性が低くなり、バッテリー火災の原因になる衝撃を受けにくくなる。加えて、「極慣性モーメントを改善する」とマスク氏はいう。これは、車両の総合的操縦性や運転、操作の感覚が向上することを意味している。
最後に、構造的バッテリー設計では現在のTesla車のバッテリー設計より部品が370個少なくなり、これはコストおよび潜在的故障箇所を大きく減少させる。新方式は、彼が発表した他のバッテリー革新と合わせて、製造面でも大きな節約になるとマスク氏は語った。
関連記事:イーロン・マスク氏がバッテリーの技術革新でテスラの電気自動車が約260万円になると発言
カテゴリー:モビリティ
画像クレジット:Tesla
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi / facebook )