オープンソースのデータプラットフォームCube.js開発のCube Devが約6.5億円を調達、商用製品化を目指す
オープンソース企業のCube Devは米国時間9月29日、Bain Capital Venturesが率いるシードラウンドで620万ドル(約6億5400万円)を調達したことを発表した。既存投資家であるEniac VenturesとBetaworks、Innovation Endeavors、そしてSlack Fundも参加し、これに新規投資家としてUncorrelated VenturesとOvertime.vcが加わった。Cube Devは、開発者が社内や外部のユーザー用に分析アプリケーションを書くときのデータプラットフォームを構築するためのCube.jsツールを提供している。
Artyom Keydunov(アルチョム・キーデュノフ)氏とPavel Tiunov(パベル・ティウノフ)氏の二人の創業者は、いま成功しているCube.jsのコアを実は彼らが2016年に創業した別の企業であるStatsbotのために作った。Statsbotは、エンタープライズのレポートやダッシュボードの作成を支援するBI(ビジネスインテリジェンス)のプラットフォームで、Slackのボットを用意されていた。
キーデュノフ氏は「Statsbotを作っているとき、このアプリケーションを動かすためにいまのCube.jsを作りました。しかしユーザーがStatsbotを使うにつれて、この技術を『分析のための社内アプリケーションや顧客用のアプリケーションで使いたい』という要望を聞くようになったのです。Cube.jsのスタンドアロンの技術としての概念実証を数社の協力の下で実施し、それに関してとてもポジティブなフィードバックを得ました」と語る。
Cube.jsの基本的な目的は、データソースに接続して視覚化するとき、バックエンドのインフラストラクチャを構築する際の大量の雑務を軽減することだ。このオープンソースのツールは、基本的にはミドルウェアのレイヤーであり、データベースとフロントエンドの間に入って、SQLの生成やキャッシング、セキュリティ、オーケストレーションなどを扱う。これにより、開発者は自分のアプリケーションの開発に集中できる。また、そのキャッシング技術により、大量のパフォーマンス関連の問題を開発者に代わって解決する。
キーデュノフ氏が言うように、現在のデータアナリストやデータエンジニアにとって、市場にすでにたくさんのツールがあり、必要なことは何でもやってくれる。しかし、開発者はカスタムアプリケーションを作ることが多いので、互いに接続性のない、さまざまライブラリをツギハギで使うことになる。「分析系の特定のタイプのアプリを作るために使えるソリューションは、どこにもない」と同氏。
Bain Capital VenturesのパートナーであるStefan Cohen(ステファン・コーエン)氏は「Bain Capital Venturesはオープンソース企業に頻繁に投資しています。そんな中で非常に気になっているのが、大量の多様なデータソースに接続するアプリケーションを作るという難題です。パブリッククラウドの到来と急激なペースで開発者やエンジニアが消費している不均一なデータソースが日常化する中で、それらを統一して視覚的に魅力的で役に立つエンタープライズのためのアプリケーションを提示することが非常に困難になっているのです」と語る。
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それでもエンタープライズがCube.jsのようなアプリケーションを求めるのは、新たな収益機会が開かれ、彼らのワークフローを合理化できるからだ。Cube Devは現在、このトレンドの真っ只中にいる。
多くのオープンソース企業がそうであるように、Cube Devのチームもエンタープライズに商用のクラウドとSaaSのサービスを提供することを目的にしている。もちろんそこには、セキュリティの強化とサインイン機能などの、通常のエンタープライズ機能の実装も伴う。
キーデュノフ氏は「チームはイベントやミーティングなどを通じてCube Dev関連のオープンソースのコミュニティを年内に作りたい」そうだ。コミュニティ作りは当然ながらいまは難しい時期だが、それでもCube Devは、見込みのある顧客やコミュニティのメンバーにできる限り話を持ちかけている。
コーエン氏はさらに「オープンソースから商用製品への飛躍は、大きなチャレンジであり重要な収益機会でもある。いま多くの開発者や企業がCube.jsをオープンソースで利用していることは素晴らしい光景ですが、でも私たちが本当に必要とするのは機能が完全にそろったクラウドプロダクトを提供し、その利用を促進することです。また、必ずしもそれ自身で収益化を図るのではなく、私たちのエンタープライズ機能が市場にとって正しく、重要な問題を解決していることを理解してもらえるだけでもいい。そしてその認識が正しく普及すれば、世界は私たちの思うままになります。でもとにかく、そんなプロダクトを作ることと、初期の利用を広めることが先決なのです」と語った、
当然ながら、チームがこの新たな資金でやろうとしていることも、商用化への第一歩を踏み出すことだ。
画像クレジット: Cube.js
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)