QunaSysが量子コンピューター向け量子計算クラウド「QunaSys Qamuy」プライベートβ提供
量子コンピューターのアプリケーション開発に取り組むQunaSys(キュナシス)は10月20日、量子コンピューター上で量子化学計算を行うためのクラウドサービス「QunaSys Qamuy」のプライベート・ベータ版を提供開始した。プライベート・ベータ版提供を通じて国内外ユーザー企業からのフィードバックを獲得し、研究開発方針に随時反映を行うことで、開発成果の社会実装を加速する。
同社は、令和元年度(2019年度)より内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「光・量子を活用したSociety 5.0実現化技術」(管理法人:量研)の研究テーマのひとつ「次世代アクセラレータ基盤に係る研究開発」に参画。
同研究テーマでは、今後重要な計算資源となる次世代アクセラレーター(イジング型コンピューター、NISQコンピューター、誤り耐性ゲート型コンピューターなど)を対象として、各々の得意・不得意を考慮し、適材適所で最適に活用することでアプリケーション全体を高速化・高度化するプラットフォームの構築を目指している。この研究開発において、QunaSysは、NISQ(Noisy Intermidiate Scale Quantum)コンピューター、誤り耐性ゲート型量子コンピューターのインターフェイス技術の開発を担い、主に量子化学計算を対象としたアルゴリズムエンジンの開発に注力しているという。
今回、開発を進めてきたアルゴリズムエンジンの基幹部分が完成したことから、今後のさらなる機能拡充に向けたフィードバックを得ることを目的として、同エンジンを組み込んだクラウドサービス「QunaSys Qamuy」の試験的な提供を開始したとしている。
同社は、QunaSys Qamuyについて、量子コンピューター向け量子化学計算クラウドサービスとしては世界最高性能・最多機能としている。QunaSys Qamuyを用いることで、古典コンピューター上での量子化学計算との性能比較・各種アルゴリズムの性能比較などの検証が可能となるという。
2020年度は、QunaSys運営の量子コンピューターの応用検討コミュニティ「QPARC」のプログラムにおいて、メンバー企業にプライベート・ベータ版として提供を開始する。また、量子化学計算活用においてすでに豊富な実績を持つ国内外の材料・製薬・エレクトロニクス・自動車領域の先進企業にも、先行的に活用してもらう予定。
2018年2月設立のQunaSysは、世界に先駆けた量子コンピューターの産業応用を目指し、量子化学計算を行うためのアルゴリズムエンジンなどの開発を手がけるスタートアップ企業。量子コンピューターの新しい使い方・アルゴリズムを提案し、それらアルゴリズムを実際の材料開発に活用するソフトウェアの開発などを進行。また、日本の量子コンピュータ業界のエコシステム形成にも取り組んでいる。
- 量子コンピューター向けアルゴリズムの開発(自社単独・共同開発)
- 量子化学計算向けクラウドサービスQunaSys Qamuyの開発
- 量子技術に関するメディア「Qmedia」の運営
- 量子コンピューターの勉強のための無料教材提供サイト「Quantum Native Dojo」運営
- 量子コンピューターの応用検討コミュニティ「QPARC」の運営
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