フェイスブックがClubhouseクローンのライブ音声SNS機能を開発中
2021年2月に入ってNew York Timesは「FacebookがClubhouseのライバルを準備している」と報じた。しかしそのプロダクトがどのようなものになるのか、具体的な機能といった詳細は不明だったが、Alessandro Paluzzi(アレッサンドロ・パルッツィ)氏が開発中のFacebookのオーディオSNSのものと思われるスクリーンショットをTwitterで公開した。印象としてはスタンドアロンのアプリというより既存のMessenger Roomsの強化、拡大版のように見える。ライブでの音声ストリーミングと思われる機能も写っていた。
FacebookはTechCrunchに対し、この画像が同社の「音声配信サービス分野での実験的な取り組み」のものであることを確認したが、同時に「現時点では現実のプロダクトにはなっていない」と注意した。
同社では「この画像からプロダクトの機能の詳細を導き出そうとしても不正確になる」と述べた。もちろん、実際のプロダクトが開発中のものと大きく異なるものとなることはよくある。今後の正式リリースまでにどんな変化もあり得る。
しかし、この画像はFacebookがライブオーディオについてどのように考えているかをある程度明らかにする。また同社のソーシャル体験のどの部分に配置されるかを示しており、詳しく検討する価値がある。
リバースエンジニアリングは、コードを詳しく調べてさまざまな開発段階にある未発表のプロダクトを発見する。この写真を公開したパルッツィ氏はモバイルアプリ開発者で、リバースエンジニアリングの専門家だ。FacebookのAndroidアプリのコードを解析していてライブオーディオ機能やそのユーザーインターフェイスが実験されているのを見つけた。これまでパルッツィ氏が発見したコードの中には、廃棄されて日の目を見なかったものもあれば、最終的に配信されたものもある。
今回共有された画像にはZoomのライバルとなるべく2020年5月にスタートしたFacebook Roomsのライブオーディオ機能も写っている。当時人々はビデオチャット機能を熱烈に求めていた。しかしパンデミックとともにZoomビデオが隅々まで浸透するにつれ、我々は「Zoom疲れ」を起こしてしまった。現在、人々は動画スクリーンを消して音声のみのClubhouseに熱中し始めている。
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現在、FacebookユーザーはMessengerまたはFacebook本体からMessenger Roomsを作成できるが、これは簡単にいえばグループビデオチャットだ。つまり友人、家族がリモートで時間を共有したり、Facebookの動画を共同視聴したりできる。しかしFacebook Roomの参加者は最大50人という制限があり、YouTubeライブのような大規模なストリーミングプロジェクトはできない。
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新しいスクリーンショットではRoomsの機能が拡張されている。Roomsには3つの異なるタイプがあり、現在と同様のプライベートビデオルーム、パブリックビデオルーム、プライベートオーディオルームのいずれかを選択できる。プライベートオーディオルームは友人グループとボイスチャットをするための場所であり、ライブオーディオルームは、大勢のリスナーに向けていわばラジオ放送を公開することができる。
ライブオーディオルームには専用のリンクが与えられ、参加者はMessenger、Facebookタイムライン、Facebookグループなど、Facebookのあらゆるソーシャルメディアやウェブにリンクを貼って宣伝することができる。
一方、ライブオーディオルーム(パルッツィ氏はザッカーバーグ氏の顔写真をダミーに使ってUIのモックアップを作った)はとてもClubhouseに似ている。発言者はルームの上部に、大きな丸いプロフィール写真で表示される。ルームのリスナーはその下に表示されます。また「スピーカーによってフォローされている」という セクションがオーディエンスセクションの先頭に表示されるが、これもClubhouseと同様だ。
パルッツィ氏によれば、現在開発中のライブオーディオルームでは、Facebook上の登録者なら誰でも参加できるルームを作ることができるようになるはずだという。ルームにはFacebook本体からアクセスできる。フルスクリーンに展開されない状態ではもルームのタイトル、スピーカーの数、リスナーの総数が表示されルームの人気度を知ることができる。
いうまでもなくパルッツィ氏が目にしたは最終製品ではない。プログラム中に隠された単なるユーザーインターフェイスのダミーに過ぎず、バックエンドは何も実装されていない。Facebookは、前述のように、この画像は単なる実験だと強調している。
しかし、この画像自体は現実にFacebookのエンジニアが開発したものであり同社がどういった方向を目指しているかを示している。Facebookの否定にもかかわらず重要性を無視することはできない。
Facebookの広報担当はパルッツィ氏の画像について「Facebookはこれまで長年にわたって、オーディオとビデオで人々を密接に繋いできた。今後もこうしたテクノロジーを進歩させていく」とコメントしている。
FacebookのファウンダーでCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が音声SNSに強い期待を寄せていることはよく知られている。実際、ザッカーバーグ氏はすでに何度かClubhouseにに登場しており、最近では、TechCrunchの元ライターで現在はSignalFireの投資家であるJosh Consttin(ジョシュ・コンスティン)氏がホストを務めた先週のClubhouse Roomではソーシャルオーディオに大きな可能性があると強調した。その際、ザッカーバーグ氏は会議を多数主催してきた経験から、オーディオには他のフォーマットにはない利点が多数あることを強調してこう述べた。
(メリットの1つは)念入りな準備の必要がないことです。ポッドキャストやClubhouseなどの音声の場合はスタート前に身だしなみを整える必要がなくて済みます。話ながら自由に歩き回れますし、ディスプレイを見なくても、他のことをしながらでも参加でできます
ザッカーバーグ氏はClubhouseを賞賛して「ライブオーディオというフォーマットは将来のSNSにおいて欠かせないモデルとなるでしょう」と述べた。
つまり、FacebookはClubhouseを「コピー可能な機能の1つ」と考えているようだ。ザッカーバーグ氏は過去にもSnapchatのStoriesのコンセプトをInstagramに借用したし、最近ではTikTokをInstagram Reelsに再現している。Clubhouseというライバルがいかに手強くてもFacebookは新しいアプリを立ち上げる必要はない。人々はすでにFacebookの上にいるのでオーディオを利用できる場所を立ち上げればよい。そしてClubhouseに登場してClubhouseを賞賛すると同時にエンジニアにデッドコピーを構築させていると示唆してた。ザッカーバーグ氏はこう述べている。
Facebookでは音声に関するユーザーの多様なニーズを考慮し、それら網羅するような方法で音声が活用できるよう、さまざなツールを構築中です。私はリリースをとても楽しみにしています。
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タグ:Facebook、Clubhouse、音声ソーシャルネットワーク
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(文:Sarah Perez、翻訳:滑川海彦@Facebook)