TikTokのライバルとなる60秒以内の動画サービス「YouTubeショート」が米国に上陸
米国時間3月18日、YouTube(ユーチューブ)のショート動画サービスでありTikTokのライバルとなる、YouTube Shorts(ショート)が米国で提供開始される。クリエイターが60秒以内のショート動画コンテンツを記録、編集、共有し、オプションで人気の楽曲を設定する機能がある。サービス開始時点で、YouTubeと取引があるのはUniversal Music Group、Sony Music Entertainment、Warner Music Group、Warner Chappell Music、Believe、Merlin、300 Entertainment、Kobalt、Beggars、CD Baby、Empire、Peer、Reservoir、OneRPMなどとなる。
YouTubeはYouTubeショート製品の使用について世界の250を超えるパブリッシャーやレーベルと契約を結んだという。
YouTubeショートの製品自体は2020年9月に初めて導入され、インドで数カ月にわたってベータテストが行われた。その間利用数は3倍に増加した。
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YouTubeのホームページですでにYouTubeショートの「シェルフ」を目にしたことがあったかもしれないが、YouTubeショートの動画作成機能は本日までは米国では有効ではなかった。
YouTubeショートのコンテンツ撮影はTikTokと非常に似ている。
クリエイターはTikTokでするのと同様、タップでショート動画のセグメントの記録を開始・終了するツールにアクセスできる。動画のバックグラウンドミュージックやサウンドを選択し、いくつかのアプリ内編集機能を活用することもできる。サービス開始時点でオーディオを低速化または高速化する速度制御、カウントダウンタイマー、一定の時間にテキストを画面に表示させるテキストタイミング機能が含まれ、サービス提供後すぐに色調整フィルターが追加された。
しかしYouTubeショートには動画で使用したい楽曲の一部を選択できる賢いツールがある。その一方でTikTokが提供している、初心者でも非常に使いやすいインテリジェントな自動のサウンド同期機能はない。また、このYouTube製品にはTikTokのAR機能やグリーンスクリーンオプションのような特殊効果が少ない。その代わりYouTubeショートの当面の目標は、Instagramのリールのように、既存のソーシャルプラットフォームでショート動画コンテンツを作成し投稿したいユーザーが参入するためのハードルを下げることである。
視聴者側から見て、TikTokとの違いはより明確である。
現在、一部のマーケットではすでにYouTubeのホームページにあるYouTubeショートのシェルフからサービスを起動できる。まもなくYouTubeのモバイルアプリにあるショート専用タブからもアクセスできるようになる。
起動したらよく目にするフルスクリーンの縦向き動画になり、ダブルタップして動画にいいねをしたり、コメントを入力したり、動画を他者と共有したりすることができる。また、興味を持ったコンテンツがあればYouTubeショートからクリエイターのYouTubeチャンネルをサブスクライブすることも可能。
YouTubeショートのハッシュタグをタップすると、同じハッシュタグが付けられた他の動画のページに移動できる(ちなみにこれは最近発表された、長時間の動画とショート動画コンテンツの両方をホストするもう1つのYouTubeのハッシュタグページからは分離されている)。
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またTikTokのように、YouTubeショートでは四角形の楽曲アイコン(TikTokでは回転するレコードのアイコンに相当)をタップすると、同じサウンドを使用しているページに移動できる。ここでは、そのサウンドを使用している他のすべてのYouTubeショート動画を見つけることができ、同じようにその楽曲を使用するよう設定するオプションがある。
この「サウンド」は、人気の楽曲のクリップであることもあれば、オリジナルのオーディオ、YouTubeが「リミックス」と呼ぶコンテンツであることもある。リミックスとは、YouTubeショートのクリエイターが他のYouTubeショートの動画を手本に自身のサウンドを作ったものである。そしてあと数カ月で、YouTubeはこのリミックス機能をYouTubeの何十億本もの長時間動画に拡大する。YouTubeのクリエイターはオリジナルオーディオをYouTubeショートのクリップ用にリミックスされないようにすることもできるが、そうすると新たなオーディエンスを見つけにくくなるかもしれない。
YouTubeはクリエイターが動画をリミックスして、自身がお気に入りのジョークに反応したり、ユーチューバーのレシピに挑戦したり、コントを真似したりする様子を見せることを提案する。
インドでのサービス提供以降、YouTubeショートは世界中で1日に65億回の再生回数を記録した。しかし、YouTubeは何人のクリエイターがYouTubeショートを採用したか、何本のYouTubeショートの動画が生成されたかを伝えていない。しかしインドのマーケットの現状から、米国におけるYouTubeショートの今後を占うことはできないだろう。インドは2020年TikTokを禁止したために、結果的に他のショート動画アプリの興隆につながっているからだ。
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YouTubeがTikTokを模倣する初のソーシャルプラットフォームというわけではない。InstagramではReels、Snapchatではスポットライトがこれに相当する。しかしTikTokが最多ダウンロードを記録したモバイルアプリとなり、モバイル端末で動画コンテンツを観る時に好まれるツールの1つになったことを考えると、YouTubeが動画市場で主流の立場を守るには、ショート動画のサポートを提供することがさらに重要になっている。
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「YouTubeショートとショート動画は、YouTubeの自然な成長のように感じられます」とYouTubeのYouTubeショートプロダクトリーダー、Todd Sherman(トッド・シャーマン)氏はいう。「当社は初のユーザー作成動画のプラットフォームです。これまではデスクトップ、デジタルカメラ、デスクトップコンピュータ、動画編集ソフトで作成される動画を基にサービスを提供してきました。そして現在、当社はこのスマートフォンを使った新しい動画の世界で歩を進めることに大いに乗り気です」。さらに「クリエイターとパートナーシップを構築することがとても大切だと考えています。また広い意味では、同じことが視聴者や音楽業界の当社パートナーに対しても言えます」と付け加えた。
YouTubeショートの製品はまだベータ版とされている。YouTubeはYouTubeショートをしばらくの間ユーザーに使ってもらいながらフィードバックを集め、新機能の開発に適用しようとしているからだ。
長期的に、YouTubeは大規模なYouTubeプラットフォームとのつながりにより、YouTubeショートがマーケットの他のサービスとは一線を画すと信じている。
「ここには当社がショート動画のエコシステムを構築している『行き来できるドア』があります」。シャーマン氏は説明する。「YouTubeやYouTube Musicの利用から始め、その後YouTubeからYouTubeショート用の作成を始めることもできます。そのエコシステム内での橋渡し、それが重要な部分だと思います」と付け加える。
しかし今のところ、TikTokのライバルたちはクリエイター達がTikTok、リール、スポットライトそれぞれにオリジナルコンテンツを作成するのではなく、TikTokで作成した動画を他のプラットフォームに再掲載するのをよく目にしている。
YouTubeは、YouTubeショートの動画作成ツールを米国時間3月18日から米国のユーザーに提供開始し、今後数週間で米国全土に拡大するとしている。
カテゴリー:ネットサービス
タグ:YouTube、TikTok、ショートビデオ
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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)