インタラクティブなライブイベント用プラットフォームの拡大に向けLoopedが8.4億円調達

コロナ禍において、ライブイベントの大多数はバーチャル環境に移行した。チケットを購入し(もしくは単純にリンクをクリックして)、サイトやアプリから画面で繰り広げられるアクションを視聴する。どの座席にも優劣の差はないが、こうしたイベントにはまだ物足りない点が多い。2021年3月初旬、そのギャップを埋めることができる方法を実現するため、視聴者との関わりやインタラクティブ性が高いライブストリーミングのイベントサービス構築に取り組むスタートアップのLooped(ループド)が資金調達を発表した。
音楽コンサート、コメディーショーなどのエンターテインメント向けプラットフォームを提供する同社は、770万ドル(約8億4000万円)の資金調達に成功した。Loopedの共同CEO、Faisel Durrani(ファイセル・デュラニ)氏はインタビューで、資金は同社のテクノロジースタックを構築し続けるために使用すると述べた。同社がこれまでに調達した資金は、合計で880万ドル(約9億6000万円)に上る。
今回は成功を収めた1年を終えた直後の資金調達である。2019年10月の創業以来、1000名ほどのクリエーターが同社のプラットフォームで開催するイベントに参加するため、およそ30万人がバーチャルチケットを購入している。イベントを行ったアーティストにはBillie Eilish(ビリー・アイリッシュ)、Shawn Mendes(ショーン・メンデス)、BTS、Kevin Durant(ケビン・デュラント)、Aaron Rodgers(アーロン・ロジャース)、Russell Wilson(ラッセル・ウィルソン)、Lamar Jackson(ラマー・ジャクソン)、Baker Mayfield(ベイカー・メイフィールド)、Lin-Manuel Miranda(リン-マニュエル・ミランダ)、Usher(アッシャー)、Sam Smith(サム・スミス)、Charlie Puth(チャーリー・プース)、Khalid(カリード)、Dua Lipa(デュア・リパ)、「Hamilton(ハミルトン)」のオリジナルキャストといったスターが名を連ねる。
こうしたクリエーターはLoopedを使用してコンサートをセットアップして配信し(クリエーターは、Looped独自のツールを使うか、自分が使いたい制作ツールを統合できる)、チケットやグッズを販売したり「バックステージパス」ルームを作ったりできる。また少数や大勢と会話をすることや、グループが一緒に視聴できる「共同ビューイング」スイートを作ることもできる。
Loopedでできることの例として、「Hamilton」のキャストは「Ham4Change」というチャリティイベントを開催し、人種問題に取り組む9つの非営利団体のための資金を集めた。このイベントは、キャストがオーディエンスに向けてトークや歌のパフォーマンスを行うもので、110万ドル(約1億2000万円)以上を集めた。1万5500枚以上のライブストリームチケットを販売し、バーチャルで行う35名のキャストとのミート&グリートのチケットは1000以上売れた(イベントのスクリーンショットをここに掲載する)。

今回の資金調達が注目に値する理由は次のとおりだ。
まず、Loopedは今日の市場で注目を集めている多数のストリーミングスタートアップとバーチャルイベントサービスの1つである。Zoom(ズーム)といった明らかに最大級の企業に加え(Zoomは今や飛ぶ鳥を落とす勢いであり、イベント事業にも進出し始めている)、Hopin(ホーピン)やBizzabo(ビザーボ)などの大きなスタートアップ、そしてより小規模なGrip(グリップ)、Welcome(ウェルカム)、Hubilo(ハビロ)、Touchcast(タッチキャスト)など、バーチャルイベントの運営におけるさまざまな領域や側面でシェアを取り合っている新しいテック企業がいる。
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Google(グーグル)のYouTube(ユーチューブ)などの大手テックプラットフォームは、ライブストリーミングの大型イベントにおいて安定したビジネスをすでに確立しており、Pinterest(ピンタレスト)やSpotify(スポティファイ)などその他のオンラインメディア企業も、バーチャルイベントにおけるユーザーの関心の動向をうかがっている。
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デュラニ氏は「多くの人々がこの市場に参入していますが、これは良いニュースです。なぜなら、これは未来なのですから」と語る。同氏は、長年エンターテインメント / 音楽業界でエグゼクティブを務めている。「勝者となるのは最も革新的な人です。問題は『さらなるエンゲージメントを実現するための新製品をどのように作るか』ということです」。
Loopedの資金調達が注目に値すべきもう1つの理由は、その支援者にある。同社は、プラットフォームを利用するクリエーターのリストを拡大しようとしており、スタートアップの戦略的ネットワークパートナーである100人以上のシンジケートからの支援を受けている。
資金調達はWill Ventures(ウィルベンチャーズ)が先導し、Rocketship VC(ロケットシップVC)、Alpaca VC(アルパカVC)、Forefront Venture Partners(フォアフットベンチャーパートナーズ)、HOF Capital(HOFキャピタル)、Toy Ventures(トイベンチャーズ)、Intuition Capital(イントゥイションキャピタル)、Predictive VC(プレディクティブVC)、Ketch Ventures(ケッチベンチャーズ)が参加している。またこの他にも、90以上の戦略的なエンジェル投資家が名を連ねている。
誤報のリスクがあるので、同社から直接いただいた完全リストをコピーする。エンジェル投資家には、Bunim / Murray Productions(ブニム / マレープロダクションズ)の元CEOでエミー賞を受賞したテレビプロデューサーのGil Goldschein(ジル・ゴールドシャイン)氏、Live Nation Urban & Maverick Management Partner(ライブネーションアーバン&マーベリックマネジメントパートナー)社長のShawn Gee(ショーン・ギー)氏、Blueprint Group(ブループリントグループ)共同CEOおよびMaverick Management Partners(マーベリックマネジメントパートナーズ)のGee Roberson(ギー・ロバートソン)氏とCortez “Tez” Bryant(コルテス・“テス”・ブライアント)氏、グラミー賞を受賞したシンガーソングライターJill Scott(ジル・スコット)氏、カリフォルニア州フィルムコミッショナー、元アメリカ大使でエミー賞にノミネートされたことがあるテレビプロデューサーColleen Bell(コリーン・ベル)氏、Uber(ウーバー)元CFOおよびMicrosoft(マイクロソフト)およびGoogle(グーグル)元役員Brent Callinicos(ブレント・カリニコス)氏、RealNetworks(リアルネットワークス)創業者のRob Glaser(ロブ・グレイサー)氏、Arcot Systems & Acalvio Technologies(アルコットシステムズ&アカルビオテクノロジーズ)創業者のRam Varadarajan(ラム・バラダラジャン)氏、消費者メディア&テクノロジーのパイオニアでHelloTech(ハローテック)創業者のRichard Wolpert(リチャード・ウォルパート)氏、Goodreads(グッドリーズ)創業者のElizabeth Khuri Chandler(エリザベス・クーリ・チャンドラー)氏とOtis Chandler(オーティス・チャンドラー)氏、著名なエンジェル投資家でポッドキャストホストのJames Beshara(ジェームズ・ベシャラ)氏、Turner(ターナー)元CCMOのLauren Hurvitz(ローレン・ハーウィッツ)氏、Multi-Platinum(マルチプラチナ)バンドおよびレコードレーベル創業者のLaurie Marvald(ローリー・マルバルド)氏、LA Lakers Partnerships(LAレイカーズパートナーシップス)役員のErika Singal(エリカ・シンガル)氏、Immortals Gaming Club(インモータルズゲーミングクラブ)の創業者Noah Whinston(ノア・ウィンストン)氏、Gen Z VCのPatrick Finnegan(パトリック・フィネガン)氏がいる。
ブニム / マレープロダクションズ元CEOジル・ゴールドシャイン氏は「私は常にイノベーションに駆り立てられてきました。Loopedのチームは、基盤となるテクノロジーとオーディエンスの相互作用性を組み合わせ、本当にすばらしいメディアプラットフォームを作りました。この種のメディアとテクノロジーの交わりは、未来のあり方です」と語っている。
他には、グラミー賞を受賞したミュージシャン兼起業家のAhmir “Questlove” Thompson(アーミア・“クエストラブ”・トンプソン)氏、ミュージシャン兼起業家で、グラミー賞を受賞したバックストリートボーイズのメンバーAJ McLean(AJ・マクリーン)氏、俳優でグラミー賞を受賞したヒップホップグループであるThe Roots(ザ・ルーツ)のMC Tariq “Black Thought” Trotter(タリク・“ブラックソート”・トロッター)氏、第55回スーパーボウルチャンピオン、NFLオールプロディフェンシブタックルでHouse of Spears Management(ハウスオブスピアーズマネジメント)パートナーのNdamukong Suh(エンダムカン・スー)氏がいる。
AJ・マクリーン氏は「Loopedは本当に大きな変革をもたらしています。ツアーをしていないときにファンとつながったり、ツアー中に新しいハイブリッドな体験を届けたりできる新しい機会をアーティストに提供しています。このプラットフォームはこの先何年にもわたり、ファンとのつながりを築く定番の方法になるでしょう」と述べた。
こうした投資家のネットワークとは少々騒々しく聞こえるかもしれない。また熱心な支持者やアドバイザーがいない中、多くの投資家が資金を出し合い一緒に投資を行うパーティーラウンドが会社を見つける方法に脚光が当てられるかもしれないが、デュラニ氏は、ネットワークを向上させる目的で意図的に行っていると語っている。
バーチャルイベントは、典型的なツアーで行うパフォーマンス活動の規模には遠く及ばず「今でも最大のハードルは導入例を増やすことです」と語る。実際、多くのアーティストは現在の状況においてほぼ完全にパフォーマンスから離れている。彼らもまた「Zoom疲れ」に直面しており、今の時点で市場を氾濫させすぎることにもためらっている。
「この市場はまだ新しく、私たちはみなパンデミック中つらい思いをし、画面を見ることに疲れています。つまりこれは多くの人が、新しい世界を受け入れるよりも昔のやり方に戻りたがっているということです」。
「将来的にはバーチャルイベントビジネスがポートフォリオの一部になると私は信じていますが、今はまだその変わり目にいるに過ぎないのです」と述べた。同氏は最近のGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)による消費者調査で消費者の74%がパンデミック後もバーチャルでコンテンツを消費すると答えていることを付け加えた。これは、Loopedや他のプラットフォームにとって励みになる数字であろう。
名がより知れているVC投資家は、Touchcastが企業イベントに特化しているように、Loopedはエンターテインメントに特化しているために突出した企業だと認識している。
「競合の多いバーチャルイベント市場において、他に比べLoopedが飛び抜けているのは明らかです。同社は製品のイノベーションを最も重視しており、業界をリードする才能、パートナー、牽引力を確立することができました。彼らの製品は、アクセスを増やし、確かなつながりを促すことで、クリエーターとファンが関わる方法を変えるでしょう。私たちは世界中でクリエーターがファンとより密接につながれるようにするというLoopedのミッションをサポートします」とウィルベンチャーズのマネージングパートナーBrian Reilly(ブライアン・レイリー)氏は述べている。
Apple(アップル)、スポティファイ、グーグルといった最大手テック企業は引き続きこの市場に注目し、アーティストとクリエーターへの独自のサービスとコネクションを構築できるリーダーをスタートアップの中から見つけようとしているため、今後の市場は注目に値するだろう。
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Looped、音楽、資金調達、バーチャルイベント
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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)


