Chromeに漏洩パスワードを自動的に修正する新機能、グーグルのAIテクノロジー「Duplex」を利用
Google(グーグル)は米国時間5月18日、Chromeブラウザの新機能を発表した。同社の「Duplex」技術を利用したこの機能は、パスワードが漏洩した際に警告を発し、自動的にパスワードを変更することをサポートする。
この新機能は、Chromeのパスワード同期機能を使用していることを前提に、米国では間もなくAndroidのChromeユーザーから徐々にロールアウトされる予定だ(他の国でも順次提供される予定)。
ただし今のところ、すべてのサイトに対応しているわけではないので注意が必要だ。Googleの広報担当者によると「この機能は当初、Twitter(ツイッター)を含む少数のアプリやウェブサイトで動作しますが、将来的にはさらに多くのサイトに拡大する予定です」とのこと。
さて、Duplexといえば、美容院の予約や店舗の営業時間の確認のために、あなたに代わってビジネスに電話をかけることができる、少々物議を醸したサービスとして覚えている方もいるだろう。Googleは2018年のI/O開発者カンファレンスでDuplexを紹介し、2019年にはより幅広いオーディエンスに提供を開始した。それ以来、チームはDuplexをより多くのタスクに対応させるためにコツコツ取り組み続け、ウェブにも導入した。それが今度はChromeに登場し、脆弱なパスワードをあなたに代わって変更してくれるというわけだ。
「『Duplex on the Web』を搭載したAssistant(アシスタント)は、スクロール、クリック、フォームへの入力といったウェブ閲覧の面倒な作業を代行し、ユーザーが大切なことに集中できるようにします。また、この機能をさらに拡張し、認証情報がネット上に流出したとChromeが判断した場合、特定のサイトやアプリ用に強力なパスワードをすばやく作成できるようになりました」と、ChromeのシニアプロダクトマネージャーであるPatrick Nepper(パトリック・ネッパー)氏は5月18日の発表で説明している。
実際には、Chromeが漏洩したパスワードを検出した場合「パスワードを変更」ボタンをタップするだけで、Duplexがパスワード変更のプロセスを代行してくれる。Googleによると、まだすべてのサイトに対応しているわけではないが「まだ対応していないサイトでも、Chromeのパスワードマネージャーを使えば、さまざまなアカウント用に強力でユニークなパスワードを作成することができます」とのこと。
これが現実世界でどのように機能するかは興味深いところだ。サイトごとにパスワードの管理方法は少しずつ異なるため、ブラウザがこのプロセスを実行する際に使用できる基本的なルールを作成するのは難しいと思われる。GoogleがここでDuplexを使っているのはそのためだろう。すべてのサイトは少しずつ異なっているため、パスワード変更ページのコンテキストを少し踏み込んで理解できるシステムでないと、うまくナビゲートできないのだ。
Googleは、この機能の追加に加え、サードパーティのパスワードマネージャーから重要なパスワードを取得するための新しいツール、ChromeとAndroidのより深い統合、パスワードが侵害された際の自動パスワード警告など、パスワードマネージャーのアップデートを行った。
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カテゴリー:セキュリティ
タグ:Google、Google I/O 2021、Chrome、パスワード、データ漏洩、Duplex
画像クレジット:Thomas Trutschel/Photothek / Getty Images
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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)