フォードが電動化への投資を3.3兆円に引き上げ自社バッテリー研究開発を加速、30年までにEV比率40%に
Ford(フォード)は、2023年までに220億ドル(約2兆4000億円)を予定していた車両電動化への投資額を、2025年までに300億ドル(約3兆3000億円)に引き上げた。同社は米国時間5月25日の投資家向け説明会で「Ford+」と呼ばれる電気自動車(EV)とEV用バッテリーの開発戦略に新たな資金を投入することを発表した。
フォードは、2030年までに世界での販売台数に占める完全電気自動車の比率が40%になると予想しているという。同社は第1四半期に米国で6614台のMustang Mach-E(マスタング・マッハE)を販売し、先週F-150 Lightning(F-150 ライトニング)を発表して以来、すでに7万件の購入予約を受け付けたとのこと。
Ford+の計画は、自動車メーカー各社がEVの未来に対応するために必要な新しい道筋を示している。歴史的には、中国、日本、韓国が世界の電池製造の大部分を担ってきたが、大手OEMメーカーがEVの製造を開始すると、需要が供給をはるかに上回り、自動車メーカーは自社のリソースを開発に投入せざるを得なくなる。General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)はLGと共同でオハイオ州に電池工場を建設中であり、BMWはフォードと共同で固体電池スタートアップのSolid Power(ソリッドパワー)に出資した。
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今回の投資は「生産可能な固体電池がこの10年の終わりまでに実現する範囲にあるという当社の信念を裏づけるものです」と、フォードの最高製品プラットフォームおよびオペレーション責任者であるHau Thai-Tang(ハウ・タイ・タン)氏は投資家説明会で述べた。「Solid Powerの硫化物ベースの固体電解質とシリコンベースの負極化学は、航続距離の増加、コスト削減、車内スペースの拡大、そしてお客様にとっての価値と安全性の向上など、バッテリーのパフォーマンスを大きく向上させます」とも。
固体電池の製造プロセスは、既存のリチウムイオン電池の製造プロセスとあまり変わらないため、フォードは製造ラインや設備投資の約70%を再利用できるとタイ・タン氏は述べている。
フォードがミシガン州に建設中のバッテリー研究開発センター「Ion Park」では、150人の専門家が集まり、次世代のリチウムイオン化学物質と同社の新しいエネルギー密度の高いバッテリー技術「Ion Boost +」の研究、そして戦略的プランの作成を行っている。
「当社の最終的な目標は、サービスを含む総合的なエコシステムを提供し、BEV(バッテリー式電動自動車)でICE(内燃エンジン)車よりも高い収益性を実現することです」とタイ・タン氏は語った。
「Ion Boost +」のユニークなセルパウチ形式は、フォードの大型車に最適なだけでなく、2020年代半ばまでにバッテリーコストを40%削減することができるという。
「このセルのタイプと、高精度なセンシング技術を用いたフォード独自のバッテリー制御アルゴリズムの組み合わせにより、お客様により高い効率と航続距離を提供します」とタイ・タン氏は述べている。
また、フォードは商用車向けにリン酸リチウムイオンを用いたバッテリーセルを開発しており「Ion Boost Pro」と呼んでいる。そちらはより安価で、より少ない航続距離を必要とするデューティサイクルに適しているとのこと。
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カテゴリー:モビリティ
タグ:Ford、電気自動車、バッテリー
画像クレジット:Ford
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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Aya Nakazato)