Instagramがクリエイターがファンにだけコンテンツを独占公開できる機能「Exclusive Stories」を開発中
Instagram(インスタグラム)は、Twitter(ツイッター)のSuper Follow(スーパーフォロー)の独自バージョンを開発している。オンラインクリエイターが自分たちのファンだけが見られる「独占」コンテンツをInstagram Stories(ストーリー)で公開できるようになる機能だ。利用には何らかのサブスクリプション料金が必要になると思われる。
Instagramは、最近SNSに出回っている新機能のスクリーンショットが、現在開発中でまだ公開テストを行っていない社内プロトタイプのものであることを認めた。同社は計画の詳細については公表せず、このプロジェクトについてまだ話せる段階ではないという。
しかしこのスクリーンショットは、Instagramの考えていることを数多く語っている。そこにはクリエイターが「Exclusive Stories(エクスクルーシブ・ストーリー)」と呼ばれるものをファンに向けて発信する方法が示されており、その対象は別の色(現在は紫色)で表されている。それ以外のInstagramユーザーがExclusive Storiesに遭遇すると「メンバーのみ」がこのコンテンツを見ることができる、というメッセージが表示される。ストーリーはスクリーンショットができなくなっているようで、Highlight(ハイライト)としてシェアすることができる。新しいプロンプトは、クリエイターに「これをあなたのファンにHighlightとして保存」するよう促していて、そうすることで「ファンは参加した時いつでもなにか見るものがある」と説明している。
Exclusive Stories機能を発見したのはリバースエンジニアのAlessandro Paluzzi(アレサンドロ・パルッツィ)氏で、モバイルアプリのコード内の未公開機能をよく見つけている人物だ。先週彼は、発見したものに関する一連のスクリーンショットをTwitterのスレッドで公開した。
Exclusive Storiesは、Instagramがクリエイターの収益化ツールを拡張するもっと大きい計画の一部にすぎない。
同社はこの分野の取り組みに関する詳細を徐々に公開していて、Instagram責任者のAdam Mosseri(アダム・モッセーリ)氏は2021年5月に、同社がサブスクリプションの可能性をNFTなどの新機能とともに「検討中」だったことをThe Informationに話した。
パルッツィ氏は最近、NFT(非代替性トークン)機能であるCollectiblesに関する記載も発見した。そこには、デジタル収集品がクリエイターのInstagramプロフィールの新しいタブに表示される様子が示されている。
Instagramは、今のところ、一連の製品開発状況について公に発表することはせず、サブスクリプションやチップなどの計画について高いレベルで話すことを選んだようだ。
例えば2021年6月初めに行われたInstagram主催のCreator Week(クリエイター・ウィーク)という、この種のアイデアを紹介するのには最適の場で、モッセーリ氏はInstagramが開発を検討しているクリエイターツールについて一般論を語ったが、具体的に何を開発中であるかには言及しなかった。
「長期的にクリエイターにとって最高のプラットフォームになるためには、クリエイターがしたいことをするために使えるものやツールを一式作る必要があります」とモッセーリ氏は言い、Instagramはクリエイティブツールや安全機能に加えて、クリエイターが生活を維持するためのツールにも取り組んでいると説明した。
「さまざまなツールを作ることが非常に大切だと私は考えています。それは、クリエイターにとって何を使うか、何が重要なのかは、アスリートやライターとはまったく異なるかもしれないからです」と彼は言った。
「そして、大きく分けて(クリエイター収益化ツールは)3つのカテゴリーに分けられます。1つ目はeコマースで、ブランド付きコンテンツやアフィリエイトマーケティング、商品販売などをお手伝いします。2番目はユーザーがクリエイターに直接支払う方法で、個人情報と引き換えにアクセスするゲーテッドコンテンツやサブスクリプションやチップ、バッジなどのユーザー支払いタイプのプロダクトです。そこでできることはたくさんあると思っています。私がこれを気に入っているのは、クリエイターがファンと直接関係を構築できるためで、長い目でみて持続的で予測可能だと私は考えます」とモッセーリ氏は言った。
第3のカテゴリーは収益分配で、IGTV(Instagramの長尺動画アプリ)を使った長尺動画やReels(リール)などの短編動画などがある、と同氏は付け加えた。
クリエイターの収益化を推進している大手ソーシャルプラットフォームはInstagramだけではない。
OnlyFans(オンリーファンズ)やPatreon(パトレオン)などのプラットフォームが広めたメンバーシップモデルが、クリエイター経済の確立とともに、いくつかの大手SNSでも採用され始めている。
たとえばTwitter(ツイッター)は、まず独自のクリエイターサブスクリプションを発表し、2月のAnalyst Day(アナリスト・デー)イベントでスーパーフォロー機能の計画を発表した。先週同社は、スーパーフォローとTicketed Spacesのためのアプリケーションを公開した。Ticketed SpacesはClubhouse(クラブハウス)のオーディオ・ソーシャルネットワーキング・ルームの対抗品だ。
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一方、Facebook(フェイスブック)は6月29日に、Substack(サブスタック)のニュースレターに対抗するBulletin(ブレティン)を公開した。クリエイターはプレミアムサブスクリプションの販売や、メンバー専用グループ、ライブ・オーディオルームの利用ができるようになる。Spotify(スポティファイ)さえも、オーディオ・チャットルームとClubhouseのライバル、Greenroom(グリンールーム)をスタートし、ゆくゆくは収益化も計画している。
新しいスクリーンショットの数々は、Instagramのこの分野における製品計画の詳細をもたらすものだが、開発中の機能が公開時にどんな風に見えるのか、最終的にどう振る舞うのかを必ずしも表していないことに注意すべきだ。一般公開を完全に約束するものでもない。もっとも今回のケースは、Instagramが独占のメンバー専用コンテンツの計画を中止することは考えにくい。同社はクリエイターの支援に力をいれており、収益化は会社がクリエイターに提供する最重要部分だからだ。
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Instagram、クリエイター
画像クレジット:Bryce Durbin
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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook )