Q&AプラットフォームQuoraで専門知識の収益化が可能に
この5月、Yahoo! Answers(ヤフー!アンサーズ)が2005年以来続いたネットQAの歴史の幕を閉じた。だがそれを横目に、当初は質疑応答サイトとして始まり、今ではブログを組み込むように拡張されたQuora(クオーラ)が、そのプラットフォームをクリエイターにとってより魅力的なものにしようとしている。
Quoraは「広告だけでもキャッシュフローがプラスになる軌道に乗っています」と発表しているので、プラットフォームが現在黒字ではないことが示唆されている。しかし、Quoraは、クリエイターの経済に関わりサブスクリプションを活用することを、利益を上げる方法と見なしている。
QuoraのCEOであるAdam D’Angelo(アダム・ダンジェロ)氏は「私たちは、知識の共有をクリエイターにとって、より経済的に持続可能なものにしたいと考えています」と、ブログ投稿に書いている。「いまでも多くの方々に、やる気をもって、ただ知識を共有するためにQuoraでの書き込みに時間を費やして貰えていますが、経済的正当性があればより多くの人たちにより多くの知識を共有して貰えるでしょう」。
Quoraの最初の新製品はQuora+(クオラプラス)だ。サブスクライバーは月額5ドル(約549円)または年額50ドル(約5489円)を支払うことで、 クリエイターが有料と指定したコンテンツにアクセスすることができる。これらは、広告のないMediumが、そのメンバーシッププログラムに対して課金する額と同じだ。
サブスクライバーは、特定の選択したクリエイターに支払うのではなく、Quoraに対して支払う。そして、各サブスクライバーの支払いは「各サブスクライバーがコンテンツを消費している量に比例して、クリエイターに分配されます。またサブスクライバーのフォロー数が多いライターとスペースにはより多く分配が行われます」とのことだ。クリエイターには、Quora+コンテンツに対して動的ペイウォールを有効にするオプションが与えられる。これは、Quoraが有料メンバーシップに転換する可能性が高いと考えた無料ユーザーに対して特定の投稿をアクセス可能にする機能だ。また、それとは別にアルゴリズムを使用して、ケースバイケースで特定のユーザーに対してコンテンツをペイウォールするかどうかを決定する「アダプティブ」ペイウォールオプションも用意される。これは、クリエイターがコンテンツを収益化することと、読者を増やして新しい潜在的なサブスクライバーを見つけることのバランスを取るのに役立つはずだ。
QuoraはTechCrunchに対して、Quora+の実験がまだ続いており、サブスクリプションから何パーセントの手数料を取るかは決定していないと語った。
もう1つのオプションは、Quoraにユーザーが投稿する記事のように、クリエイターがスペースに有料記事を書くことだ。この場合Quoraはサブスクリプション料金のうちの5%を受け取る。料金はクリエイター自身の裁量で決めることができる。これに対して、ライバルである読者直販ブログプラットフォームのSubstack(サブスタック)はライターの売上の10%を受け取っているので、Quoraは良い代替手段となるだろう。Ghost(ゴースト)のような他のプラットフォームは ライターに月額9ドル(約988円)の利用料金を要求するが、ライターの収益はそのまま渡される。もし月額180ドル(約1万9757円)以上を稼ぐ著者なら、GhostはQuoraよりも収益性が高くなる。
「プラットフォームの開発と運用のほとんどに対して必要な資金を広告収入から十分得ることができるので、将来的に料金を引き上げることなく、最小限の料金で持続的に取り組むことができます」とダンジェロ氏は書いている。一方、Substackには広告がない。
Quoraは、2017年に8500万ドル(約93億3000万円)を調達した後18億ドル(約1975億7000万円)の評価額に達した、当時プラットフォームの月間ユーザー数は1億9000万人だった。ダンジェロ氏のブログ投稿によれば、現在毎月3億人以上がQuoraを使用している。こうしたユーザー数の増加にもかかわらず、Quoraは2020年1月にベイエリアとニューヨーク市のオフィスのスタッフの一部を解雇した(人数非公開)。
スペースサブスクリプションは、米国を含む25か国(今回日本は含まれていない、ブログ中には他の国にも順次展開されると書かれている)の英語ユーザー向けに米国時間8月5日より開始される。またQuora+の展開はそれほど迅速には行われない、これはQuoraがプラットフォームをテストし、サブスクライバーとクリエーターにとって最適なやりかたを決定するために、選択したライターの招待を行うためだ。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Quora、クリエイター、収益化、サブスクリプション
画像クレジット:Quora
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(文: Amanda Silberling、翻訳:sako)