Google支援、みんなのコードが小中学校教員・生徒・保護者対象に「プログラミング教育実態調査」実施し報告書を公開
特定非営利活動法人みんなのコードは12月2日、Google支援の下、全国の学校教育における「プログラミング教育実態調査」を実施し、報告書を公開した。この調査では小学校児童の7割以上が、「プログラミングは楽しかった」と回答している。その一方で、教える側の問題も明らかになった。
・報告書
・小学校教員の意識調査の単純集計結果
・中学校教員の意識調査の単純集計結果
・子どもと保護者の意識調査の単純集計結果
これは、全国の小学校教員1037人、中学校教員1362人、小学校・中学校・高校の児童生徒とその保護者3000組を対象に行った定量調査と定性調査。中学校技術分野教員向けアンケート調査は、全日本中学校技術・家庭科研究会との共同で行われた。同時に、今後の日本の取り組みの参考にすべく、イングランド、オーストラリア、韓国、ケニアでのプログラミング教育の取り組みについても文献調査を行った。
たとえば、こんな結果が出た。プログラミングのプロではなく、学校の先生が教えることで、児童・生徒にプログラミングへの苦手意識が芽生えるのではないかと心配する声があるものの、同調査では、小学生の73.8%が「プログラミングは楽しかった」と回答した。また、プログラミングを経験した児童生徒は、未経験の者と比較して、「将来プログラミングに関する仕事に就くか?」との質問に、小学生では2倍、高校生では3倍、前向きな回答をしていることもわかった。
子どもたちには、おおむね良好な結果となったが、その一方で教える側の問題も見えてきた。小学校では、7時間以上の研修を受けた教師による授業は、1時間未満の研修や、研修を受けていない教師によるものに対して、児童の関心度に大きな差が出た。ところが、校務や部活動などに大幅に時間をとられ、授業の準備時間がなかなかとれない(小学校教員、中学校技術分野教員で8割以上)という。
おもな調査結果を要約すると、以下のようになる。
小学校
- GIGAスクール構想(全国の児童生徒1人に1台のコンピューターと高速回線を整備する文科省の取り組み)の対応でプログラミング教育が後手になる
- 研修時間が長いほど手応えを感じる
- プログラミング教育の実施状況は半数弱、今後実施予定が3割
- 児童のITやプログラミングへの関心が高まったと教員の7割が回答
- 専門知識や指導事例が不足している
中学校
- 授業の準備時間を十分に確保できない教員が9割弱
- 積極的な教員ほど生徒の反応がよい
- D情報の技術の実施状況は、2と3は4時間以上、1は3時間以下
- D2に対する課題意識が強い
- 生徒の考え方の変化や進路選択のきっかけになった
子どもと保護者
- 保護者のITリテラシーが大きく影響
- 保護者のITの関心度が学校外のプログラミング教育の機会に影響