ヨーロッパ最大の出版社がiPadを見捨ててWePad陣営のリーダー格に
筆者: Markus Goebel(TechCrunch Europe)

[ドイツ発] iPadの競合機種とされるWePadは、ベーパーウェア(vaporware)ではなく実在する。しかもそれは、ドイツの一部の出版社にとっては、神がこの世に遣わした救世主に見えるらしい。
十分な量のメディアコンテンツの確保という点では、今週の発売を控えたiPad/Apple陣営が今なお先頭を走っているが、WePadもすでにヨーロッパ最大の出版社、Gruner + Jahrを自陣営に取り込んだ。
Gruner + JahrのCEO Bernd Buchholzが、先週行われた同社の年次記者会見で、この初めてのドイツ生まれのスレートPCを紹介した。そのときの写真はFacebook上のもの(上の写真)ですら、とても暗いのしかないが、Areamobileなどのサイトではもっとプロフェッショナルな写真を見ることができる(下の写真)。

ヨーロッパ最大の新聞BILDを発行しているAxel Springerも、WePadを使う話を進めている。そんな噂が最近、ドイツの通信社DPAから流れた。
しかしBuchholzは、フライングを犯したようだ。WePadを作ったNeofonieによれば、ハードウェアと提携先メディアに関する公式の発表は4月12日となっているからだ。
それをあえて無視してBuchholzは、ドイツ最大の雑誌Stern(90万部)のWePadバージョンを誇らしげにデモして見せた。そのほかの同社の雑誌、GeoやGalaも準備中だ。お値段は印刷版と同じで、最初のWePad版の発売は数か月後とのこと。印刷版の画像やテキストだけでなく、WePad版にはオーディオ、ビデオ、Flash、それに雑誌のWebサイトとの連係コンテンツも含まれる。
どうやら、WePadによる成功を夢見ているのはGruner + Jahrだけではなさそうだ。NeofonieのCEO Helmut Hoffer von AnkershoffenはWePadのFacebookサイト(ファン数5709)に、“嬉しいことに、数社から大量の予約注文を受けている”と書いている。Gruner + Jahrは、Neofonieが同社のために開発したWePadのeペーパーソフトをほかの出版社にもライセンス提供すると公式に発表している。このWeMagazineと呼ばれるパブリシングソフトはプラットホーム非依存で、iPadや通常のコンピュータなど、複数の製品やUIの上で使えるようだ。
彼らのねらいは明白だ: “弊社は製品とコンテンツの尊厳にこだわる”とBuchholzは火曜日のスピーチで述べた。それは、Appleが11月に、Stern誌のiPhoneアプリケーションをApp Storeからの事前の警告もなく勝手に削除したことを暗に指している。ヌード写真が多すぎたからだ。ドイツの出版社団体Association of German Magazine Publishers(VDZ)は、Appleのこのような干渉は検閲行為に近いと抗議している。
ドイツの出版社はAppleの価格政策にも不満だ。Buchholz曰く、価格決定権は出版社自身が持つべきもの、と。Appleの不条理な価格政策では、ドイツのもっとも重要なニュース誌Der SpiegelのiPhoneバージョンが、印刷版よりも高くなる。最初のうちだけ€2.99だが、その後は€3.99になる。これに対し印刷版は、一部€3.80だ。
そこでGruner + Jahrは、iPadに十分対抗できるプラットホームを作ろう、そのために率先して指揮を取ろうと躍起になっているようだ。Buchholzはスピーチ後の記者会見で、“ドイツの大小ほとんどすべての出版社と話を進めている。弊社の強敵であるSpringerやBurdaも仲間に加えたい”と述べた。
Gruner + Jahrが4月12日の公式発表の前に勇み足をしただけでなく、ハードウェアのスペックもあちこちから漏れている。ガジェットギークたち(ハードウェアおたくたち)も、いろいろとおもしろいリンクをあちこちに投稿している(Windowsが動いているWePadのプロトタイプなど)。WePadを作っているOEMのPegatronは、なんと皮肉なことにiPhoneの生産にも関わっているらしいのだ。
今のところNeofonieは、WePadがサポートするeブックのフォーマットを明らかにしていない。最新のプロダクトシートでは、“iPadはiBookストアのApple独自フォーマット”であるのに対し、WePadは“すべてのオープンフォーマットをサポートする”と述べている。これは前の本誌記事に載った声明とまったく同じで、その後の批判に応えていない。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))



