クラウドソーシングによる災害救助

この記事は、Lukas Biewald(CrowdFlower CEO)およびLeila Janah(Samasource CEO)の二人が執筆した。

2010年7月8日木曜日、武器を持たない22歳の黒人青年オスカー・グラントを過失致死させた罪で、裁判長が警察官のホアン・メーズールを有罪判決を下した後、オークランドの住民たちは街頭に繰り出した。人種絡みの暴動はカリフォルニアでは新しいことではない。しかし今回、抗議に繋がった暴力事件を最初に知ったのは機動隊員ではない ― OscarGrantProtests.comを見ていたオークランド住民たちだった。事件や暴力の起きた地点の近くにいた住民が位置を報告し、他の住民がその情報を見られるウェブサイトだ。数日のうちに作られたOscarGrantProtestsは、オープンソース開発者のUshahidiが作った危機マッピング技術を使用した。Ushahidiは、2008年に起きたケニア大統領選挙後の暴力事件を報告するためにこソフトウェアを作った。

Ushahidiは、被害者になっていたかもしれない人々に通報する手段を与えることによって、災害への対応方法を劇的に変化させた。多人数に影響を与える災害はほぼ例外なく同じ問題を引き起こす。リアルタイム情報なしに、緊急時対応要員はいつどこへ行けばよいかわからない。この問題は、テクノロジーによって安く早く解決できるが、政府や救急機関はめったに利用しない。

いまや通信基盤はいたる所にある ― アフリカのサハラ効外でさえ、成人10人中8人が携帯電話を使っている。世界40億台の携帯電話が膨大な量のデータを生み、それを集約し分類することなどによって意味を持たせるクラウドソーシング技術の需要もまた生み出す。

Mission 4636は、携帯電話のデータを使って、より効果的に救急作業を行う良い事例である。1月にハイチの首都ポルトープランスを襲った地震の後、ハイチ人数百万人に食料、水、避難所が不足した。首都には援助ワーカーが溢れていたが、誰がどこで助けを求めているかの情報が不足していた。ハイチの2大通信キャリアー、VoilaとDigicelは地震直後に基地局を復旧したが、大量の通話によって容量を上回わり、サービス停止を招いた。テキストメンセージが解決への道を開いた ― テキストは通話ほどバンド幅を占有しないため、ネットワーク遅延の影響を受けにくい。

FrontlineSMS、CrowdFlower、Samasourceらの企業が協同で、テキストメッセージ・ホットライン ― Mission 4636 ―を米国国務省の支援を受けて設置した。ハイチ政府はラジオ局と協力してホットラインを周知させ、災害から数日後、ポルトー・プランスの住民は誰でも無料ダイヤルで4636にSMSを送って助けを求めることができた。メッセージは米国沿岸警備隊および現地の国際赤十字に転送された。

最初の1ヵ月、ハイチの人たちは4万通のテキストを4636に送った。しかし、4636はトラブルに見舞われた。メッセージはハイチのクレオール語で書かれていたが、配置された援助ワーカーは英語で返信することが想定されていた。さらに悪いことに、殆どのテキストには、近所の有名なランドマーク等、ポルトー・プランスの地理に明るいハイチ住民にしか理解できない地域情報が含まれていた。リアルタイムで働く翻訳サービスなしに、Mission 4636は地震被災者の役に立つことができない。

従来このような問題を解決するために、政府は業者を雇ってきた ― 大災害の後、救助機関が何百万ドルも費して一時的なコールセンターを設置し、大量の電話に対応することは稀ではなない。翻訳請負業者の数は多いが、24時間体制の翻訳には高額な特別料金がかかる。ハイチでは、クラウドソーシングが答えを出した。私たちは、UshahidiおよびCrowdFlowerの技術をカスタマイズし、国外に住む何十万人ものハイチ人によって、ポルトー・プランスから来るテキストをリアルタイムで翻訳できるようにした。無料で、公共ウェブサイトを通じて。同サイトのニュースは、草の根メディアを通じて私たちの取り組みを知った海外在住のハイチ人コミュニティーにまたたく間に広がった。結果はすぐに出た。第1日、Mission 4636に患者が溢れ燃料がなくなった病院からメッセージが届いた。数分のうちにメッセージは翻訳され、切実に必要とされていた燃料が配備された。

大規模コラボレーションの成果は、クレオール-英語翻訳だけではない ― 世界中の机上の救助機関も協力してハイチの地図や情報を編集して救援ワーカーを支援した。災害から数日後、Wikipediaライクのアマチュア向けマップメーカーであるOpenstreetmap.comには、米国国防省より正確なハイチ地図が出来あがっていた。

おそらく最も決定的だったのは、クラウドソーシングによって、地震の後ハイチ人が最も必要としていた何十万というデータポイントが提供されたことだ。驚くべきことに、直後の需要が満たされた後、4636に送られたテキストメッセージには、食料、水、避難所以外の自発的要求が書かれていた ― 人々がtravay、即ち仕事を求めはじめのだ。短文の翻訳が、ハイチの被災者で溢れる地域で必要とされる仕事を生み出することがはっきりした。Samasourceはハイチの中央台地にある小さな地方コミュニティー、Mirebalaisで50名の人々を訓練し、4636ウェブ上でUshahidiのボランティアたちが優先度に従って分類したメッセージを翻訳した。ネットブック(小型で安価なラップトップ)と発電機と衛星インターネットを使い、彼らワーカーたちはUshahidiのボランティアたちと共に、一種の「バーチャル組み立てライン」を作って何万ものメッセージを翻訳した。

ブロードバンド、ワイヤレス、携帯電話の急速な普及がは、新しいクラウドソース技術とあいまって、災害救済の場面を大きく変えつつある。コンピューターさえ持っていれば、誰でも命運を左右する支援を手を伸ばせる。衛星写真の選別、メッセージの翻訳、地図の更新、殆どの人たちがこれを喜んで無報酬で行う ― 救命活動への貢献が強力な動機付けになっている。Mission 4636の設計、開発、配備にかかった費用はわずか50万ドル。大ていの救援予算の何分の一かの費用で、クラウドソーシングが現場の調整問題を解決する。政府や救援機関は、これを将来の災害対応活働の中心に据えるべきである。

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(翻訳:Nob Takahashi)