音楽スタートアップはこれからも成功する: MOGのCEO David HymanがimeemのDalton Caldwellに反論

このゲスト記事を書いたDavid Hymanは自称音楽ジャンキー(junkie, 中毒者)で、有料の音楽サービスと音楽コンテンツのポータルを提供するMOGのCEO兼ファウンダだ。MOGの前には、世界最大の音楽データベース/音楽同定サービスGracenoteのCEOだったが、それは2008年に$260M(2億6000万ドル)でSonyに売った。さらにその前はMTV Interactiveのマーケティング担当上級副社長、次いでAddictedとNoiseの協同ファウンダだった。後者はマルチメディア音楽報道サイトの先がけで、24時間ぶっ続けで音楽ニュースを流した。2008年にはサンフランシスコに、音楽関連のイノベーターたちの交流の場として、Musica Tecnomicaを作った。

imeemのファウンダで元CEOのDalton Caldwellが最近、Y CombinatorのStartup Schoolでプレゼンテーションを行い、デジタル音楽で成功することの不可能性について述べた。本稿では、彼とは違う見方を提示し、どんなビジネスでも成功のためには、正しいノウハウと苦労と勤勉と情熱が必要であると明言したい。私はAddicted/Noise、Sonicnet、Gracenote、そして今はMOGと、4つの企業の成功に貢献してきたが、どの企業も自力で幾多の難関を切り抜けてきた。だから私はDaltonとは逆に、ネット上の音楽ビジネスにはまだまだ大きなチャンスがあると見ている。

Daltonが経験から得たものは、音楽市場全体がだめだ、という認識のようだが、それはたぶんimeemがうまくいかなかったからだろう。たしかにネット上の音楽ビジネスは、20代前半の若者なら誰もが、一度はやってみたいと思うゲームだ。音楽サイトを作ることは、プログラミングのできる男の子の通過儀礼のようでもある。しかし、流行に左右されることが多く、また新規参入者がつねに大量にいる分野だけに、”勝利は不可能だ”と聞こえてしまうノイズも多い。不可能ではない。勝利は可能なのだ。

そもそも、稼げるミュージシャンや俳優になること自体、たいへんなことである。あるいは科学者でも、メディア人でも、なんでもそうだが、人が成功に達するためには、無我夢中の没入と情熱が必要だ。Malcolm Gladwellの1万時間を実行した人が得る報酬は大きい〔何でも成功するためにはそれに1万時間を投じろ、という説〕。これまでも、成功という報酬を得た企業は決して少なくない。Winamp、Spinner、Last.fm、Pandora、Gracenote、iTunes、MySpace、Facebook、Tumblr、そして数多くの人気ブログプラットホーム、YouTube、VEVO、着メロ企業、歌詞サイト、音楽指向のゲーム(Guitar Hero、Tap Tap Revengeなど)、などなど、もっともっとある。

Daltonは、音楽コンテンツの提供は利幅が小さいと言う。しかし、対象市場は巨大だ。音楽の消費はいつも大きく、テレビに次ぐ世界第二位のレジャー行動だろう。音楽業界は、大きな潮流の中にある。うまくいくモデルを作り得た者は、やがてそれを大きく進化させて巨大な報酬を刈り取る。いわゆる薄利多売で成功している音楽ビジネスは、数え切れないほどある。

たしかに大手レコード会社との契約を獲得するのは、難しい。そもそも彼らのところには、ビジネス開発を正規に担当する部門がない。どこが責任ある部署なのかはっきりしないことも多く、また彼らの量的な対応能力も貧しい。Daltonが言っていることとは逆に、レコード会社は経済的に意味のないネットビジネスとの契約を強いられているのではない。たとえばMOGの場合は、現実的な額の最低保証が課せられていて、それらすべてに対応できている。レコード会社と会う席には、良いアイデア、良い製品やサービス、そして有効なビジネスモデルを持参すべきである。

MOGは、音楽ブロガーたちにツールを提供することからスタートした。それがやがて、急成長する音楽ネットワークに姿を変え、1300ものブログや音楽サイトに広告収入のためのリソースを提供し、月間のユニークビジター数は3500万に達した(comScoreを見よ)。MOGは、急速に成長している、堅固なビジネスである。最近は、クラウドからモバイルへ提供する有料音楽サービスを開始し、それをマスコミやユーザが勝手に宣伝してくれた。これもまた利幅は薄いが、部分的に広告収入にも支えられて、十分に黒字である。そのビジネスモデルには、不可測の変動費というものがない。チームのコスト効率も非常に良くて、近いうちにグローバル展開も可能である。

有料会員制のビジネスは、アクセス範囲の狭さ~限界に妨害されていた。しかし、ここが重要な点だが、オープンプラットホームのスマートフォン、3G(やがてLTE)、デジタルサービスのテレビへの急速な侵入(すべてのテレビがMOG内蔵になるだろう)、そしてとりわけ重要な、車中のIPベースサービス、などなどの時代においては、消費者がすでにキャリア等と結んでいる請求関係の上で、有料サービスを展開できるのだ。それが、音楽の未来だ(無料のラジオもだが)。

議会は今、モバイルの法定レート*を検討しているが、しかし自由市場を妨害するような動きは、究極的に音楽産業の死を招くだろう。そもそも議会が、レコード会社(そしてアーチストの)稼ぎに上限を設けることなど、できるだろうか? そんなことをしたら、レコード会社のタレント発掘活動は停滞し、業界は急速に衰退するだろう。〔*: 知らない間に数千~数万ドルの請求書がキャリアから来る、という’事件’が全米各地で問題になっているため。〕

音楽は巨大なグローバル市場だから、まだまだ新しいビジネスの参入余地は十分にある。Daltonは、市場はすでに飽和しているから近寄れないと言う。彼のほかにも、そう言う人たちがいる。しかし、魅力的な新製品~新サービスの開発余地は、今後もほぼ無限だ。次にヒットするのは、あなたのアイデアかもしれない! 今後の新しい可能性まで含めて考えると、未来の市場はさらに巨大だ。それはもちろん、一晩で自動的にできあがる市場ではないが、しかし、確実にやってくる未来だ。

音楽の好きな人、音楽のない人生は考えられない人、そういう人は、勤勉とがむしゃらな情熱と、没入と、そして常識をもって、ただ単に音楽に生涯を捧げるだけでなく、同時に豊かな報酬も得られる音楽ビジネスを展開できるだろう。おやじはいつも言っていた: “おい、ぼうず、努力せずに得られるものなんかないぞ”と。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))