2011年の起業家たちへ:自ら起業した会社から追い出されない8つの方法

編集部注:ゲストライターのChris Yehは独立系エンジェル投資家であり、かつPBworksのマーケティング担当VPである。1995年からインターネット系のスタートアップに関わり続けている。Twitterも利用していて、アカウントは@chrisyehだ。

起業してビジネスを拡大していくと、誰でも自身が創立した企業から追い出されるというリスクを招致することとなる。VCや取締役によって追い出されることもあるし、共同創立者が手を回すというようなこともあり得る。

追い出されてしまうというリスクには、遅かれ早かれ誰もが対処しなければならないこととなる。

個人的にもいくつものスタートアップに投資しており、相談役としても関わっている。そのような私は、少なくとも四半期に一度は「まずいことになった。会社を追い出されそうなんだ」という電話を受け取っている(新たな投資ラウンドの相談や合併ないし売却についても電話がくるが、こうした電話の方がはるかに対応しやすい)。

起業した本人にとっては、投資家や共同創立者に追い出されそうになるというのは青天の霹靂のように感じられるようだ。自ら設立した企業から追い出されることになるなどとは、なかなか想像しにくいことらしい。事業を立ち上げ、何年も孤軍奮闘し、そして自らリクルートして結局のところ自分を追いだそうとする人を雇い入れたということになる。

しかし意外に思えようとも、創業者の追い出しというのは日常茶飯事とも言えることなのだ。

有名なシリコンバレーの企業でも、そうした実例は数多く見ることができる。やめさせられて埋もれたしまったアントレプレナーの数も枚挙にいとまがない。たとえばAppleにもうひとりの創業者がいたことなど誰が記憶しているだろうか。FacebookにもEduardo Saverinという人物がいたが、こちらは映画のおかげで名前が人々の意識にかろうじて上るようにはなった。また、史上もっとも成功したシリコンバレーのCEOであるスティーブ・ジョブズでさえ、Appleから追い出されたこともあったのだ。

ジョブズでさえ自分の企業から追い出されたことがあるわけで、こういう「事件」は誰の身にも振りかかり得るものなわけだ。

しかしそうした「事件」を座して待つ必要はない。もしものとき(可能性は高い)の備えとして、生き残りのチャンスを増やすための8つの方法を記しておこう。

1) 兆候を見逃さないようにしよう。クーデターはいつでも起こり得るものと心がけておきたい。ビジネスがうまくいっていないとき(「新たな人材が必要だ」)でも、うまくいっているとき(「もうあの人は必要ない」)にもあり得ることだ。陰謀を企む側としては、不意打ちを食らわせ、相手がパニックになってしまって最悪の選択をしてしまうことを期待している。前もって裏切りの兆候を掴んでおけば、そうした自体にも冷静に対処できることとなる。

2) 逆襲プランを早くから準備しておこう。反逆者たちの攻撃が顕在化したときには、十分に練られた計画に基づくものであるなら時既に遅しとなってしまうことも多い。取締役メンバーの構成や、コーポレート・ガバナンスを十分に考慮して、もしものときに備えておきたい。反逆を企む際にどのような動きが起こり得るのかを予測しておくだけでも、リスクを最小限に抑えることができるようになる。

3) 口約束に頼らないようにしよう。口約束なんていうものは何の役にも立たないものだと心掛けよう。何百万ドルもの大金が絡んでくることになれば、どうしても人間の醜い側面というのが表に現れてくるものなのだ。人間というのは大金が入るとなると、考えられないような行為も正当化してしまう傾向にある。家族間で互いを金で売ってしまうような振る舞いもみてきたし、また生涯の友を裏切る様子も目にした。また書面に頼らずにパートナーの言質を信頼したがために大金を失ってしまう人もいた。

4) キーパーソンとのコンタクトを絶やさないこと。取締役全員および主要株主とは、個人的にも関係を保っておくことが大事だ。相手の発言や行動をしっかりと見据えることを怠ってはならない。注意しておくことで、表面的には現れない相手の真意を探ることもできるようになる。また、密な関係を維持することで、相手方は陰謀の首謀者よりも自分のことを信頼してくれるようになる可能性もある。

5) 自身が唯一絶対の存在でないことを意識しよう。多くのアントレプレナーは自分が起業したのだとの自負から、自らを欠くべからず存在であると誤解してしまう傾向にある。しかし投資家にとっては、過去の実績など何の意味を持たないことを理解しておきたい。彼らが注目するのは、将来に渡って企業(および株価向上)のために何ができるかということなのだ。自身の価値を増す努力を怠れば、そこで企業にとっては無価値な人材となってしまう。

知人の話だが、有能な人材を何人も雇っている人物がいた。最近になって調子はどうだと尋ねると「みんなやめてもらったよ」とのことだった。「価値を生まなくなってしまったので、メールで募集した3ダースの人材と代わってもらうことにした。新しい連中は来週到着する予定だ」と話していた。

外部の人間に、生産的な人材であると評価され続けることが重要なのだ。

6) 緻密な防御は最善の攻撃となり得る。もしだれかがクーデターを企んでいることを察知したら、その行動を座視していてはいけない。戦いに備えて武器と同盟者を集める必要がある。自体が切迫しているのなら、相手の最初の動きを見逃さないよう最新の注意を注いでおこう。そして勝敗いずれの場合にも対応できるプランを立てておくことも必要だ。

7) 怒涛の動きの中で、あわてて意思決定を行わないこと。相手側の企みがうまくいきそうに見えてもパニックに陥ってはいけない。何をするにしても軽率な動きをしないことが大切だ。陰謀には多くの場合ブラフ(虚勢)が伴うものだ。プレッシャーをかけることで、手ひどいミスをしてしまうことが相手の狙いであることも多い。

かつてハーバード・ビジネススクールで机を並べていた友人は、海千山千の投資家により自らの立ち上げた企業からの退任を迫られていた。ここで彼は「少し考えさせてくれ」と言うべきだったのだ。そうしておいて現状と敵味方の様子を把握して、より慎重な対応をすることができたはずだ。しかし彼はプレッシャーに負け、私としても同情する以外にはできることはなかった。

8) 反撃。最も効果的な反撃の手段は、取締役の過半数および投資家を味方につけることだ。自身の価値を上げ、企業にとって欠くべからず人材となることも次善の策だ。いずれも叶わぬ場合には、とにかく最大の投資家を味方に付けることだ。

これらいずれもが不可能な場合、まだひとつだけ破壊的なオプションが残されている。それはすなわち話を訴訟の場に持ち込むことだ。しかしこの集団に訴える前に、いくつか理解しておいて欲しいことがある。

  • 提訴してもおそらくは勝てない。もし勝ったとしても、訴訟によって得られる利益というのはほとんどないことが多い。
  • 訴訟というものは勝たなくても良い。全員(弁護士を除く)が負けという状況でも、相手側に失うものがより多いのであれば、それもある種の勝利だ。投資家も訴訟合戦を繰り広げる企業に投資はしないものだし、混乱の中にある企業を買収しようという人もいないのだ。
  • 訴訟によって実権を取り戻そうなどということは考えない方が良い。せいぜい辞めるときに和解金が支払われるようになる程度のことだ。つまるところ、こうした後対応を講じるよりも、クーデターを未然に防ぐことが大事なのだ。

上に記したことすべてに気を配っていても、なおかつ退任に追い込まれることはある。絶対確実な方法と言えば、議決権を手元から離さず、外部資本を入れないことだ。そうした考えから、起業の際には資本を可能なかぎり自己資金で賄うことを勧めている。

但し、ときにはクーデターを企む側の方が正しいこともあることを意識しておくべきだろう。受け入れ難いことかもしれないが、クーデターを受け入れる方が、企業(およびあなた自身の利益)にとってプラスとなることもある。たとえばSequoia CapitalのDon Valentineが、Cisco Systemsの創業者であるSandy LernerとLen Bosackを追い出したのは有名な話だ。当時、Cisco Systemsの企業価値は10億ドル以下と考えられていた。それが今日では1120億ドルの価値があるとされている。

Cisco Systemsが外部資金を注入していなければ、SandyとLenが会社を追い出されることもなかったはずだ。しかしSequoia Capitalからの投資を受けなければ、両人がより多くの報酬を得られたとも思えない。自己資金運用が常に最善解であるわけでもないのだ。

(注:Cisco Systemsで実際にどのようなことがあったのかは知らない。二人を辞めさせるのにいろいろと良からぬ動きもあったようだが、結果から見てそれがどうだったのかと判断するのも難しい)

外部からの投資家の資金を受け入れる際には、少なくとも自分の振る舞いについての算段を立てておくことが大切だ。もしいろいろな準備にも関わらず退陣に追い込まれてもリベンジの機会はあるはずだ。但し拙速な反撃は控えたい。自らの価値を高め、そして自身の生み出した企業との繋がりをたち切ってしまうことなく、雌伏の時を過ごすこともときには必要となる。いずれ、スティーブ・ジョブズのように華々しいカムバックを遂げることができるかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H)