Facebookの写真の顔認識テクノロジーは新たなプライバシーの侵害か?

Facebookの顔認識テクノロジーについてEU当局がプライバシー侵害の疑いで調査に乗り出している。そこで、まずはこの機能について事実を正確に確認してみよう。

〔略〕

ユーザーがFacebookに写真をアップロードすると、写真に友だちが写っていたらタグづけするよう促される。タグづけが実際に行われると、その友人には通知が送られる。プライバシーの設定状況次第で、相手の友だちは写真を見ることができる場合もあるし、できない場合もある。

この機能は実はFacebookとしては非常に古くからあるものだ。そもそもFacebookが大学のキャンパス(後に世界中で)で爆発的な人気を呼んだ理由の一つがメンバーの写真にタグづけができる点だった。Facebookには他の大手写真共有サイトに投稿された写真をすべて合わせたほどの写真が投稿されており、昨年12月現在、ユーザーは毎日1億件ものタグづけを行っている。

しかし写真タグは便利で人気があると同時にいろいろ面倒を起こしがちな機能でもあった。長い間、タグづけは完全に手作業で行わねばならなかった。写真の人物の顔をクリックし、人物の名前をタイプし、それをすべての人物に繰り返し、すべての人物を処理したら次の写真に進む、という具合で非常に手間がかかる作業だった。

そこでFacebookは顔認識テクノロジーを開発した。

最初のバージョンでは、多くの写真に写っている同一人物を同定することができた。例えば、友だちの誕生パーティーに参加したとして、どの写真にも同じ8人の友だちが写っていたとしよう。顔認識技術が導入された後は、Facebookはユーザーにそれぞれの人物の顔認識を行うことを促す。Facebookが顔を認識した後は、そのユーザーのアルバムに写っている人物に自動的にタグづけが行われる。

昨年12月にさらに進歩した顔認識技術が投入された。これは従来の機能を一歩進めたもので、ユーザーに写真の人物が誰であるか尋ねる代わりに、ユーザーFacebookの友だちのリストをスキャンして、写真に写っている人物の候補を選び出す。ユーザーはその候補が正しければ、確認するだけで自動的にタグづけが行われる(候補のサムネールが間違っている場合は×印をクリックすればよい)。これで大いに手間が省けるようになった。

これが事実である。一部で主張されているような、Facebookシステム全体にわたって自動的な顔認識が行われて、メンバーが独身者パーティーで無分別な振る舞いに及んだ写真が上司に検索されてしまうというような話ではない。単に従来からあるタグづけが多少省力化されただけである。全面的に自動化されたというのも誤りだ。

それではプライバシーに対する影響の検討に戻ろう。

Bloombergの on the EUの調査に関する記事によれば、EUの個人データ保護ワーキング・グループの指摘する第29項でルクセンブルグ代表のGerard Lommelはこう指摘している

「人物写真のタグづけは、当該人物の事前の承諾を得てから行われるべきで、それ以前に自動的に行われてはならない」とLommelは言う。そのような自動的なタグづけは「ユーザーに対して多大な危険をもたらすおそれがある」。EUのデータ保護に関する当局は「そうしたことが起きないよう、Facebookに事情の確認を求めるだろう」という。

Lommelの懸念はその限りで正当なものだ。現状ではユーザーはタグ付けされてからその事実を通知される。タグづけされた写真のアルバムや友だちのニュースフィードを見て初めて自分がタグづけされたと分かる。ユーザーはその後でタグを外すことしかできない。

ただし、このタグづけ方式はFacebookに写真のタグづけ機能が導入されて以来変わっていない(現在では写真に限らずあらゆるタグ付けがこの方式で運用されている。そのため、ユーザーが絶対に関連付けられたくないようなグループのメンバーに勝手にされてしまうといった問題が起きている)。Facebookはこれに対して、そうしたことが心配なら、プライバシー設定でタグづけされた写真を他のメンバーからかくしておけばよいと主張してきた。

言い換えれば、EUはFacebookに対し、「ユーザーがタグ付けに関して事前に諾否を与えられる」システムに変更するよう要求する可能性があるということだ。私はこれは悪い考えではないと思う(私自信、タグを使ったスパムにはいいかげんうんざりしている)。しかし、顔認識技術によって何か不気味な陰謀が企まれているというような噂は事実を誤解している。「オオカミが来た」という叫びはFacebookが本当に何か悪事を企み始めたときまでとっておこう。

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01)