正しい人材を採用するために―スタートアップのための6つのTips

we-are-hiring編集部注 Chris RickbornはUnrabbleのCOO兼共同ファウンダー。とくに草創期ビジネスを中心とした中小企業ビジネス向けの人材採用支援サービスを展開している。Unrabbleには@unrabbleのTwitterアカウントもある。

シリコンバレーやその他米国内でテック系産業が盛んな地域では、相互に激しい競争が繰り広げられている。数少ない優秀な人材を見付け出して採用するための戦いだ。この競争はとくに草創期企業で激しいものとなっている。つまり、このような激しい戦いの中、人材確保にあたって正しい判断をすることが、これまで以上に重要となっているのだ。

大切な判断を誤らないよう、6つのTipsを考えてみた。ご参考になれば幸いだ。

1. 人材を採用すべきタイミングを間違えるな

結局は誰かを雇うことになるとしても、いつ雇うのかがかなり重要な決断となる。多くの起業家はビジネスプランに人員拡充を記してあるからという理由で人材確保に走ろうとする。組織図上の抜けを補おうとしたり、重要な役職すべてにきちんと人材を配置していることばかりに気を取られ始めると、それがまさに最初の危機として現前してくることになりがちだ。「モデル」や「プラン」に基づいて資金を調達してビジネスを展開するのが起業家の仕事ではある。しかし人材採用についていえば、ときに「モデル」をゴミ箱に捨ててしまうことも大切なのだ。「プラン」通りの採用に固執するのではなく、現実をよく見つめて、人材採用が必要なときかどうかをしっかりと判断する必要がある。軍事の世界でもよく言われるように、「作戦が最高のものであるのは、最初の砲弾が発射されるまで」ということもあるのだ。

ともかく肩書きや、組織図上の抜けなど気にしないに限る。常に原則を放棄して、プランを窓から投げ捨てろなどということを言っているのではない。しかし多くのスタートアップ企業で、単に肩書きの抜けを補うために無用な人材を雇いいれて失敗するということを繰り返している。採用活動においては、とくにタイミングというものを重視したい。

2. 自らの時間を使ってしっかりと関与すること

まさに今が人材を獲得すべきタイミングであると判断したのであれば、自らもしっかり採用活動に携わることが大切だ。

好むと好まざるとにかかわらず、採用活動というのは時間のかかるものだ。時間を区切った採用活動というのは失敗に終わることも多い。スタートアップ企業においては、目まぐるしい速さで時間が流れ、皆がぎりぎりのところで仕事をしているという状況だろう。そんな中で、人材の候補を選んだり面接を行ったりすることはさらに時間を奪い取っていくものとなる。リクルーターを使った所で、さほど時間の節約にはならない。やはり自身でレジュメを読み、電話連絡などをする必要があるのだ。

最近、とあるCEOと話をした。ソフトウェア企業を経営する彼はマーケティング部門のVPを新たに採用しようと考えたそうだ。そこでLkinkedInに広告をうったところ216名の応募があったそうだ。これだけの候補者の中から優秀な人材を選べると考えれば良い話かもしれない。しかしそのCEOは候補者たちと実際に会うことなく選抜作業を行なっていた。機械的な作業のおかげで、優秀な候補者が見落とされてしまったということもあるに違いない。

採用しようと考えるならば、採用活動の時期は朝そして午後遅くに、採用活動のみにあてる時間を1時間ずつでもとっておくべきだ。こうして時間をかけることによってこそ、ビジネスの中でしっかりと役割を果たす人物に出会うことができる。時間を短縮しようと焦ってしまえば、単に肩書きを埋めるだけの作業になってしまいがちなのだ。

3. 募集広告を出す前によく考えよう

採用活動にはとにかく時間がかかる。そこで募集要件に見合わない人物をできるだけ排除して時間の効率化をはかろうというのはもっともな意見だ。そこで昔から、募集広告を打つ際には丁寧で詳細に渡った職務概要を記すべきだと言われてきた。そうすれば求める条件に適した人のみが応募してくるだろうというわけだ。こうした考えも、昔は通用したのだろう。今ではそのやり方は完全に時代遅れなものとなってしまった。

すなわち求職者側にもいろいろと考えるところがあるということだ。履歴書を書く際に、募集要件に記載されている事項を抜き出して、履歴書にうまく織り込むというやり方が一般的となっている。提出する履歴書と募集要項の間の関連性を判断して候補者を絞り込むシステムがあることを十分に意識しているわけだ。採用候補者として勝ち残るために、募集要項を入力すれば、それをうまく履歴書に織り込んでくれるウェブサービスまで存在するのだ。

こんな時代に、たとえば経営者がマーケティング部門のVP募集を行ったとしよう。すると、まさに求めるスキルを身につけている216人もの人が応募してくるだろう。スキルを身につけている、というのが本当なのであればこれほど幸せなことはあるまい。しかしそうではないのだ。こうした「アンマッチ」を防ぐには、募集広告には企業情報と経営者のビジョンのみを記すという方法だ。そして詳細なスキルや経験などの記載は応募者の側に任せてしまうのだ。この方式において、応募者の書いてきたスキルや経験がニーズにマッチしたならば、それは本当に求める人材が見つかったということになるだろう。

4. スタートアップで働くということ

スタートアップ企業で働いてみたいと考える人は結構多いようだ。もちろん理由はさまざまだ。給与アップを望んでくる人もいれば、新しいことに挑戦してみようという人もいる。また自分の力が直接響くような規模の企業で仕事をしたいと考えている人もいる。動機はいろいろとあってしかるべきだが、スタートアップ時期には独特のルールがあることも知ってもらわねばならない。

これまでにもスタートアップ企業で働いたことのある人を雇うのなら問題にはならないかもしれない。しかし雇う人の全てが以前にどこかのスタートアップ企業で働いていたというのは、あまりあることではない。スタートアップ企業で働こうとする人には、自分でやらなくてはならない範囲を伝えておくことが大切となる。たとえば以前の仕事で、新しく人を雇った最初の日のことだ。業務開始時間を30分過ぎてから、その採用した人物が私のオフィスにやってきた。そして「自分のオフィスの整理ができていない」と言ってきたのだ。それに対してこちらの回答は「ここにいる二人のうちのどちらかがしなければいけないことだね」だったと記憶する。彼にとっては掃除から何からすべて自分でするというのは初めての体験だったのだろう。以来、やらなければいけないことについては細かく伝えるように気を配っている。つまりスタートアップ企業で働くのであれば、スタートアップ風に働く必要があるのだ。

5. 買ってくるのか育てるのか

人材を採用する際、即戦力なのか、それとも育てていくつもりなのかを考える必要もある。とくにスタートアップ時期には大事なことになる。すぐに大切な仕事を任せたいのか、それとも訓練を経て戦力になってくれれば良いのか。これは採用者側の規模、時期、提供しているサービスの種類などによっても変わってくることだろう。もちろん、採用活動を開始する前に、「買ってくる」のか「育てる」のかをきちんと判断しておく必要がある。

また、組織内に業界知識を持った人が大勢いるのなら、業界外から人を雇うのも良いだろう。意外な観点から物事を見ることができるし、それが思わぬ価値を与えてくれることもある。先日仲間のひとりが、自分の書いた募集要項を見せてくれた。そこには業界での経験を10年以上積んでいることという記述があった。彼の会社には既に十分な業界知識を持った人がいるはずなのだ。そこそこの知識を持った人が大勢集まっているのだ。

そこで私は彼に「逆育成路線」を提案してみた。これ以上「そこそこ」の人を雇い続けるのではなく、とにかく最も優秀で経歴も優れている人を雇えと提案したのだ。その人物の持つ知識を、社内の人材で吸収するよう心がければ良い。こうした「逆」の育成路線も十分考慮に値すると思う。

6. 求職者とのコミュニケーション

人材採用の際に目にする最も大きなミスというのは、採用に至るまでの過程で候補者と十分コミュニケートしないというものだ。どうやら採用活動については「コミュニケーション」よりも「ふるい落とすこと」(Screening)が強調されすぎているように思う。

スタートアップ企業を経営しているか、あるいはスタートアップ企業のマネジメント職を務めているとしよう。そして採用にあたってのスクリーニング(ふるい落とし)を他の人に依頼したとしよう。すると良い人が残ってくるかどうかはまさに運次第ということになってしまう。採用に関しての責任者という立場であるのなら、採用候補者たちとは十分なコミュニケーションをとる必要がある。よくある短い電話のやり取りによる判断というのはコミュニケーションに入らない。求職者側も電話応対の練習をつんでいて、生のコミュニケーションができないのだ。電話による選別を行なってから、残った人と対話をはじめるというようなスタイルは捨てさって良いのではないかと思う。履歴書審査でさほど魅力的に思えなくても、これまでの職歴などに興味がわけば直接コミュニケーションの対象に加えるべきだと考えている。何かしらのサービスを使って、履歴書だけ完璧なものに仕上げて自分を高く見せるような人を雇いたいわけではないのだ。

たとえばUnrabbleの場合、電話での絞り込みをせずに10人の候補者に質問を投げかけてみた。うち2名は通常の電話連絡を望み、また3名は対話の継続を自発的に拒否してきた。そして結局5名と対話が続くこととなった。いくつかメッセージのやり取りをして、短い電話連絡をしたこともある。さほど長いやりとりをすることもなく、誰がこちらの望む人物であるかは明らかになった。

誰かを雇うということはすなわち、その相手は社内にいる他のメンバーや顧客、あるいはビジネスパートナーともコミュニケートするようになるということだ。慎重な選別を経た人や、スキル的には問題のない人も、コミュニケーション能力のせいで失敗するような事例をいくつも見てきた。コミュニケーション能力もしっかりと見極めておきたいものだ。

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(翻訳:Maeda, H)