ピンクでも良いんじゃない?!:女性を意識したテックプロダクトを生み出すいくつかの方法
編集部注:本記事は、利用者に近くのファッションショップを案内するサービスを展開しているSnapetteのCEO兼共同ファウンダーであるSarah Paijiによる寄稿。Paijiは500 Startups Acceleratorの卒業生で、共同ファウンダーのJinhee Ahn KimとともにフルタイムでSnapette業務を行うためにハーバードビジネススクールをドロップアウトした。Snapetteのマーケティング部門DirectorであるSanby Leeも本記事の執筆に協力している。
ファッションについての話なら、もともと男性用のものであっても女性用として利用することは容易だ。J.Crewのカタログを見てみればボーイフレンドデニム(訳注:彼氏から借りたようなルーズなデニムファッションを指すらしい)やボーイフレンドブレザー、ユニセックスなアンクルブーツ、あるいはスキニーなジーンズに似合いそうな男モノのTシャツなど、女性でも使えそうなものがいろいろと見つかる。
ではテック系のプロダクトについてはどうだろう。女性が興味を持つようなものは少ないようだ。圧倒的に男性の多いテック系世界において、プロダクトも通常は男性によって、まず男性のためにデザインされることが多い。女性は一般的にデザインについて男性とは違った好みを持ち、ニーズも異なることが多い。ウェブやソーシャルメディアについても、男性と女性は利用法が異なるのだという調査結果もある。
実のところ、デザイナーや開発者はプロダクト制作時に利用者のジェンダーによる差異を見過ごしてしまい、大いにチャンスを失ってしまっていると思うのだ。規模の大きなソーシャルネットワークを見てもわかる通り、女性は消費者動向の80%を決定し、利用者全体の意思決定にも大きく寄与している。女性利用者にスポットライトをあてて成功したGilt Groupe、Learnvest、InDinero、OneKingsLane、あるいはソーシャルゲームなどの成果を見ても、女性消費者に注目する価値は十分にあると思うのだ。
では、利用者の多くが女性である(あるいは女性に集まって欲しいと考えている)ようなサービスにおいて、デザインはどのようなものであるべきだろうか。私たちは、女性の立場から女性のためのデザインを行なってきた。その経験から学んだことをお伝えしたいと思う。
1. プロダクトがピンクでもいいんじゃない?
文字通りにピンク色を使ってデザインすべきなどということを言っているのではない。ただプロダクトがまるで「女性向け」のようになっても気にしないで良いのだ。外見的にもブランド的にも「女性向け」はどんどんアピールしてかまわない。たとえば私たちのつくったモバイルショッピングアプリケーションについても、名前もカラーもすべて「フェミニン」なものを選択した。男性からは、使っていてどうにも落ち着かないだとか、女性ばかりのコミュニティで居心地が悪いという意見も確かにあった。
しかしそれはまさに狙い通りのことだった。男性メンバーが増えることは望んでいなかった。私たちの土俵はクラウドソーシングによるソーシャルショッピングであり、また強力なコミュニティ意識であった。そのような方向性の中「女性向け」であると強調するのは狙い通りのターゲットを集めるのに寄与し、そしてエクスペリエンスの面でもプラスに作用した。
2. 「多機能」呪縛からの脱却
ジェンダーに関わらず、「できるかぎりシンプルに」というのはプロダクトデザインの肝ではある。しかしプロダクトを女性用に開発する際には、このことが一層重要になってくるのだ。女性は一般的に時間のかかる、また配慮の必要なタスクをいろいろと抱えているという状況がある。よってアプリケーションの機能を探ったり、新機能を探したりすることに時間を割くことはできないのだ。たとえば私たちの提供しているプロダクトでは、利用者の多くが母親であり、アプリケーションを立ち上げてみるのは何かしら用足しの最中であったり、スーパーのレジ行列に並んでいるときであったり、あるいは子供たちが野球に興じるのを見ているときであったりするのだ。
女性ばかりが忙しいというわけではなかろうという見解もあろうが、未だに働く女性は男性と比して2倍の家事を行い、育児については3倍もの時間を費やすという現状がある。こうした中、女性向けを言いつつ新機能をウリにしても受け入れられるものではない。むしろ理解に時間のかかるようなものは全く無視されることになるわけだ。
3. 鍵となるインフルエンサーの発見
女性向けにマーケティングを行う場合、ソーシャルな情報共有という観点が男性向けの場合よりも一層重要なものとなる。たとえばブランドロイヤリティを測るEndorseは15,000名のベータユーザーを獲得した。そしてそのうち90%は女性だ。Endorseはベータユーザーを獲得するのは、まず5人を採用して、そこから口コミで情報を広げていったとのことだ。
あるいはジュエリーを扱うスタートアップのStella & Dotは既存利用者に対してプライベートパーティーを開催するなどして、友人間で買ってみようかという機運が広がるのを待っている。以前あったAvonレディー(化粧品販売員)や、タッパーウェア・パーティー(訳注:何十年も前に日本でもはやりましたね)のやり方を思い出す方も多いかもしれない。女性のオフラインネットワークの力はくれぐれも軽んずべきではない。92%の女性が買物情報を友だちとの会話を通じて交換しているのだ。
4. 「発見」の要素をなくさないこと
女性は男性に比べて、新プロダクトを使うのにも抵抗感が少ないようだ。男性はひとつのものが気に入ると、ずっとそればかりを使う傾向がある。Wharton Business Schoolの調査もこの傾向を裏付けるものだ。すなわち、女性はショッピングの際、ショッピング自体をエンターテインメントの一貫として捉える傾向が高いのだ。つまり目的のものを見つける行為自体が楽しいのだ。一方の男性はというと目的のものに一直線に進み、そして目的を果たすとすぐに出ていってしまう。
BirchboxやRent the Runwayなどのサービスも、いろいろな商品を低価格で試すことができるという楽しみもあって、女性の間で人気を高めていった。デパートのフロアをあちこち見て回ったり、洋服を試着してみたり、あるいは香水を少しつけてもらうといったオフラインでのやり方をオンラインでも楽しめるようになっているのだ。
5. チームに女性をいれよう
男性には女性用デザインができないと言っているわけではない。女性にインタビューしたり、調査をおこなっていけば、きちんとニーズを探りだすことができるだろう。しかしとくにスタートアップ企業である場合、各自の時間を含めたリソースは非常に限られている。そのような中、調査に割くことのできる時間も限定的であるのが一般的だろう。
結局、チーム内にターゲットユーザーを配置することが時間の節約にもつながる。女性らしく考えるのは、もちろん女性の方が得意に決まっているだろう。Snapetteの設計を行なっていく際にも、私たち自身の経験が大いに役立った。キャンペーンでどちらの靴をフィーチャースべきかといったことや、あるいは新機能が本当に役に立つのかどうかという判断にも、これまでに培った女性としての経験が大いに役立つこととなった。
いろいろと書いてみたがいかがだっただろうか。何か「これぞ女性向け」と思いつくテック系プロダクトをご存知だろうか。デザインが素晴らしくても女性向けとなれば興味を失ってしまうという方もいらっしゃるだろうか。いろいろな方の考えを、ぜひ聞かせてもらいたいと思っている。
Image credit: Ruth Graham/TheGrindStone
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(翻訳:Maeda, H)


