ハッカー文化:将来の繁栄への鍵

編集部注:このゲスト寄稿のライターは、SpeedDateのファウンダー、Dan Abelon。同氏はWorldStartups.orgで国際的スタートアップの問題についてブログを綴っている。

21世紀初期で最も楽しみなトレンドの一つが、世界中で急速にハッカー文化が広まっていることだ。ここで言うハッカーとは、コンピューターネットワークのセキュリティーに脅威をもたらす人々のことではない。テクロジーを利用して有用な製品を作る人々という意味だ。いくつかの理由により、今後数十年は世界中で史上最も多くのハッカーが生まれる時代になるだろう。ハッカーは、そのスキルによって起業家となり企業を設立する上で他に類を見ないポジションにいる。ハッカーが誰でも起業家になりたいわけではないが、なろうとすれば世界中の殆どの場所で、そのための訓練を受け資金を得る機会は多い。もし、ハッカーから起業家への道筋を整備することができれば、世界は計り知れないイノベーションと繁栄の鍵を開くことができるだろう。

わずか数年前、われわれは少人数の開発者が短期間に世界中で何百万人ものユーザーを集めるサービスを作ったという話に、毎度驚かされていた。今、われわれはFacebook、Skype、Dropboxy等、数多くの事例を挙げることができる。しかし、実のところまだ何も起きてはいない。目を見張るべきなのは、もはやそうやって成功したハッカーが存在することではない ― 膨大な数のハッカーがあまりにも急速に増えているという事実である。

クラウドやオープンソース技術のおかげで、ウェブベースのサービスを作る費用は下がり続けている。ソーシャルメディアによって、人気のあるサービスはすぐに広めることができ、新たなイノベーターたちが参入する機運を引き起こしている。世界的で中産階級が増えるにつれ、益々多くのエンジニアたちが教育を受けられるようになった。中国だけでも年間60万人のエンジニアを卒業させている。さらに、CodeacademyやKahn Academyなどの無料の教育機関によって、新しいテクノロジーを学ぶ機会は増えている。

ハッカーは役に立つ製品を作ることができるが、多くの場合、初期の進展を大規模な世界的に普及するサービスへと成長させるためには、良き助言と資金が必要だ。ベンチャーキャピタル業界は、大そうな資金を提供しているが、その構造は主として信頼関係に基づく地域ネットワークを活用するものとなっている。ベンチャー活動は、カリフォルニア北部をはじめとする世界で数えるほどの都市に極端に集中している。しかし、時間とともに、膨大な可能性を秘めたハッカーたちが、限られた主要ベンチャーハブ以外の場所から飛び出してくるようになる。トルコのアンカラに住む若くて賢いハッカーが起業家になるチャンスは、カリフォルニア州パロアルトのハッカーと同じであってしかるべきだ。

インターネットはこうした問題を解決するためにある、と思うだろう。ハッカーたちをベンチャーキャピタルや良き指導者と結びつけるために、出会い系モデルを使えばいいだろうと。答えはそこまで単純ではない。誰かが最高のハッカーたちを見つけ、厳しく吟味する必要がある。また、才能あるデベロッパーやデザイナーたちは、しばしばごくわずかな経済援助と経験者からの個人的な助言の恩恵を受けることで、ベンチャーキャピタルがさらに資金を出してもいいと思う会社を立ち上げている。そのような支援サービスを提供することによって、ハッカーが起業家になる道を拓く最前線にいるのが、Y CombinatorやTechstarsなどの「アクセラレーター」や、Founder Instituteなどの教育機関だ。

たしかに進展は見られるものの、するべき仕事はまだある。例えば、優れたハッカーが数多く出現し始めている世界の地域に、既存のアクセラレーターの手が届いていない。ただし私は、あらゆる都市にアクセラレーターが存在すべきだとも、シリコンバレーのベンチャーキャピタルが常に世界中を駆け巡るべきだとも言っていない。

しかし私は、各国の政府に代わって、各国の健全な経済は、ハッカーが会社を設立する道がきちんと整備されているか否か強く依存し始めていると認識している。公的、私的いずれの機関も、こう自問すべきだ。「この国には、起業家候補やエンジェル投資家のための優れた教育プログラムが存在するか? この国の才能あるハッカーたちに、比較的近くにある質の高いアクセラレーターに参加する現実的なチャンスはあるか? 会社の設立や会社への投資は簡単か? この国には信頼性の高いインターネット環境があるか?」

世界中の国々はハッカーを貴重な資源であると認識すべきだ。21世紀のイノベーションと世界の繁栄は、この資源をいかにうまく育くむかに直接かかっている。どこにいるハッカーでも、起業家として成功するチャンスが得られるために最適な解は何であると、あなたは考えるだろうか。

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(翻訳:Nob Takahashi)