革新的デザイナーがソフトウェア業界に身をおくべき理由
編集部注:本稿はFuture SimpleのCEO兼ファウンダーのUzi Shmiloviciによるもの。Future SimpleはBase CRMというサービスを運営している。
1919年、ヴァルター・グロピウス(Walter Gropius)がドイツにバウハウスを設立した。工芸およびデザインに関する学校のような施設で、歴史上最も重要でかつ影響力もあったムーブメントを生み出した。そのムーブメントは「モダニズム」(Modernism)と呼ばれている。このときグロピウスが考えたのはデザインとエンジニアリングは密接に融合すべしということだった。もって注目に値するプロダクトを作り出そうとしたわけだ。1950年代になって、Braunがこのバウハウスの流れを引き継ぎ、素晴らしいプロダクトを数多く生み出した。作品の多くは大ヒットとなり、人々の生活に大きな影響を与え、博物館に保存されるようにさえなった。
Appleのデザインにおけるエートスを知りたければ、Braunのデザインをチェックしてみれば良い。これこそまさに全てが始まったところということができる。但しAppleもBraunからデザインを借用しただけではない。プロダクトデザインの考え方についてもきちんと学習している。つまり、Appleのデザインプロセスもまた、エンジニアとプロダクトデザイナーの緊密な共同作業によって成り立っているのだ。この共同作業のおかげで魅力的なプロダクトが生まれてくる。ソフトウェア関連のスタートアップにも、こうした動きを踏襲しようという動きが出ている。そして確かに今はそうした行動を起こすべきときだ。但し、そのためには、まずデザイナーたちが現在のあり方をよく考え直してみる必要がある。
今日のデザイナーの抱える問題点
いつの頃からか、ちょっとおかしな世界に入り込んでしまっているところがある。デザイン教育のせいなのか、あるいは60年代の広告人気といったものが原因なのか、詳細はわからない。しかしいつの頃からか、デザイナーがプロダクト自体の魅力をデザインで示そうとするよりも、目先のウケやマーケティングのためにするデザインというものを行い始めた。おかげさまで別に大したこともないプロダクトが、大々的な広告キャンペーンで送り出されるようなことも起こり始めた。これは稼げるというのが理由なのだろう。
加えて、素晴らしいデザインでインパクトを与えようと努力する代わりに、仲間内の評価や賞などに興味を持つようになった。「ベスト」なデザイナーたちを集めて、その仲間たちの間のみで通じるデザイン論を弄ぶようなことをするようになってしまった。これにより、有能なデザイナーたちも「カルト」とでも言うべき仲間内での評価向上に汲々とし、一般の人にとって価値のある仕事ができずに時間を無駄に過ごすようになってしまったのだ。
ウェブの世界に移ったデザイナーたちの多くも、こうした動きに悪影響を受けてしまっている。おかげでプロダクトデザイナーはいなくなり、細かなスタイルばかりを気にする人があふれることになった。グラデーションやアイコン、影の付け方についてばかり熱心に議論する人ばかりが増えた。またこういう人たちはデザインコンテストなどを組織して、賞をばらまくことにも熱心だ。しかし、こうしたことを時間の無駄と考える人も、全くいないというわけではないようだ。
ソフトウェアスタートアップに参加しよう
18世紀末に生きていたほとんどの人は、自分たちが産業の激変期を生きているとは認識していなかったはずだ。それもそのはずで、その時代が確かに革命的な時期であったと評価され、そして「産業革命」などという名前を付けられるのは何十年も経ってからのことだからだ。今現在、私たちが暮らしている時代についても、50年後には革新的な時代であったと評価されることになるかもしれないと思うのだ。
現在では、ソフトウェアプロダクトが生活に革新をもたらすようになった。一般の人々がコンピュータを使って情報を検索したり、仲間と集ったり、あるいは新製品の購入を行ったりということができるようになるとは、20年前にはなかなか想像もできなかったことだ。そう、そう、ソフトウェアが世界を席巻しつつあるのだ。
この事実をしっかり認識すべきだ。デザイナーたちは既得権のある、慣れ親しんだ場所から、現実の世界に出てくるべきだ。意味のないプロジェクトで時間を無駄にするのはやめた方が良い。そして、素晴らしいプロダクトを生み出して、多くの人々の生活を改善しようと考えているソフトウェアスタートアップに加わるべきだと思うのだ。マーケティング部門のエグゼクティブなどと仕事をするより、はるかに意味のある時間を過ごせるはずだ。優秀なエンジニアたちと、ともに未来を創っていくことができるのだ。
Image Credit: Alex Roberts (Bovinity), Accessed on Flickr
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(翻訳:Maeda, H)


