あれはバブルではない、バレーウッドだ

編集部注:Bob Buchはスタートアップ2社のファウンダーであり、DiggおよびAOLで事業開発担当副社長を務め、現在は次の会社を立ち上げるべく働いている。彼のTwitterアカウントは@bobbuch。

シリコンバレーでしか存在しえないタイプの企業がある。バレー外の人たちは、どうして売上も明確なビジネスモデルもない会社が成功と呼ばれるのか困惑している。ましてや10億ドルの価値があるなど。

しかし問題は、そもそもわれわれが、インターネットやモバイルの製品をビジネスであると誤解していることにある。そうではなくテレビ番組と捉えてみてはいかがだろうか ― そこでは成功や失敗は、売上ではなく視聴率決められる。Instagramは、Oracleよりもアメリカン・アイドルに近くはないだろうか。それは何百万人もの人々を毎日数分間楽しませてくれる ― たぶんそれで十分。おそらくシリコンバレーは、新しいビジネスモデルを開拓しているのだろう。そこでは目標は売上ではなく、流通とエンゲージメントが最重要になる。

ニューメディアの巨人たちは、常に新しいエンターテイメントに飢えている流通チャンネルを持っている。彼らは飢える野獣たちを食べさせなければならない ― しかし、十分な速さでイノベーションを起こすことができない。彼らは、PinterestやInstagramやPathの力を借り、自分たちの顧客が楽しめるたまり場を与えなければならない。巨大企業はイノベーションに長けているとは言えず、もちろんスタートアップのように効率良く素早く動くこともできない。それでも彼らは試みることをやめないが、私から彼らへの率直なアドバイスは、イノベーションは諦めなさい(えっGoogle+?)。自分たちの強み ― 収益化と流通 ― に集中し、弱点は丸投げする。巨大な映画スタジオになるのだ。彼らが作るのはブレア・ウィッチ・プロジェクトではない、作るのは月面と燃えさかる地球中心部で撮影する、ジェームズ・キャメロン監督予算7億ドルのアクション映画だ。

これをGoogleに当てはめよう ― 自動運転カーと拡張現実メガネを追究せよ。他に誰もそれが出来る人材もお金も持っていないのだから。そして何らかの形でジェームズ・キャメロンに入ってもらえないか考えてみてほしい。

巨大メディア会社が得意としているのは広告を売ることだ。テレビネットワークを思い浮かべて欲しい ― NBCは番組を作っていない、彼らは番組を買い、それと共に広告を売っている。流通チャンネルと関係を持っていれば、視聴者の目の前にエンターテイメントを届けることができ、それを巨大メガブランドに売ることができる。小さな制作会社にはこれができない。小さな写真共有スタートアップも同じだ。私がDiggにいた頃、ビッグブランドから7桁[百万ドル台]の提案があるだけでラッキーだったし、それを勝ち取れることなどめったになく、ユーザー数は4000万人だった。AOLではその程度は当たり前だった ― インターネット業界でトップ5にいると、広告主はもし十分なリーチを得たければそこに広告を出さなければならないのだ。巨大企業は収益化と流通に集中し、クールなものを作ることはInstagramたちに任せるべきだ。

これは、どのインターネット・スタートアップもこの道をたどるべきだと言っているのではない。Diggは、あまりに早く大きくなったために、自らがネットワークになることを目指した。もしテレビ番組からネットワークに変わりたければ、自分で広告製品を持つ必要がある。そのためにわれわれが考えたのがDiggAdsだった ― ニュース記事のように振る舞い、それに対して投票もできる広告だ。われわれには、これをオンラインニュース業界の収益化の苦しみに対する答にする強い願望があった。スタートは良かった。この広告は驚くほどの成功を収めた ― それは、TwitterのプロモーテッドツイートやFacebookのスポンサー広告が真似るほどの成功ぶりだった。DiggAdsの早期成功にもかかわらず、Diggは映画スタジオにはなれなかった。主な理由は、人々がうちの番組を見なくなったからだった ― われわれはネットワークを作らなかったので、ただ一つの番組に頼るしかなかった。

バレーウッドへようこそ。ここは才能ある創造的な人たちが、大企業が決して賭けに出られないクレージーなアイディアを思いつき、もしそれがヒットすれば見返りを手にすることができる場所だ。われわれはこのモデルを推奨すべきだと思う ― おそらく大企業が会社ごと買うことなく参加できる方法もあるはずだ。スタートアップたちは実験室となって、複数の製品を生み出し、支持者を集め、いずれ大会社にライセンスするだろう。Y CombinatorやTechstarsのようなインキュベーターは、ミニ・メジャー映画会社になるか、すごい独立プロダクション会社になるのかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi)