Instagram、Pinterestを嚆矢とする「画像活用新時代」(Imagesphere)に向けて準備せよ
編集部注」本稿を執筆してくれたのはBob Lisbonne。画像内広告(in-image advertising)を提供するLuminateのCEOを務める。以前はMatrix PartnersのGeneral Partnerだった。Netscape CommunicationではVice Presidentの職にあり、ブラウザ部門でのGeneral Managerでもあった。
画像(イメージ)は、衝撃も歓喜も、そしてひらめきをも、うまく他人に伝えてくれる。文書(テキスト)とは違い、ひと目で人の感情に強く訴えかけることができるのだ。もしFacebookで画像を扱うことができなかったとしたら、ここまで成長することができただろうか。画像のおかげで、友だちが何をしているのかいちいち「読む」のではなく「見る」ことができるのが大きな魅力となっている。またEコマースにとっても画像は必須の要素だ。写真を見ずにセーターを買うことなどあり得ないことだろう。説明がどんなにすばらしくても、どのような商品なのかを見てみることなしに、カートに入れたりするようなことはないはずだ。
こうしたことも含め、オンラインエクスペリエンスにおいて、画像の果たす役割は非常に大きく、なくてはならないものとなっている。しかし、実は初期の頃は、画像を閲覧するやり方や、あるいは画像を使って何をするかという点を深く考えてみるという動きはあまり見られなかった。たとえば私は、インターネットというものが世間に広まり始めていた時期に、Netscape社のブラウザ部門を率いていた。当時は画像というのは単なる「アクセント」として扱われていたのだ。今では画像は「アクセント」どころの話ではない。人びとはFacebookだけに限っても1日3億枚の写真を投稿している。また、ソーシャルメディア全体でみても、利用者の行動のうち70%は画像関連のものとなっている。ヴィジュアルというものが重要視され、また多くの人がヴィジュアル情報を共有したいと考えている。この流れはさらに加速して進化していくことになるのだろう。
今の時代は、画像情報が爆発的に利用されるようになる途上であると定義できると思う。今では写真がどこかに掲載されていれば、すぐにその画像を共有できるようになっている。たとえば何かの記事を読んでいて、そこに理由はともかく大変に興味を惹く画像が掲載されていたとしよう。はFacebookやTwitter、ないし(もうそんな人はいないかもしれないけれど)メールで記事のリンクを送ったりする必要もなくなっているのだ。掲載されている写真をクリックして、すぐにその写真を共有することができる。
こういう話を聞くと、単にいろいろな技術が出てきて、画像の扱い方に幅が出てきただけだと考えてしまうかもしれない。しかし人びとの注目を集めることがビジネスに直結する時代にあって、画像共有技術の進化は、ビジネス情報の流量を飛躍的に増加させることに繋がったのだ。また、共有が簡単になったというだけではない。写真に掲載されているグッズを簡単に購入したり、あるいはグラミー賞授賞式の写真に掲載されているアーティストをクリックして、これまでにリリースした全楽曲を一覧するというようなこともできるようになっている。画像を巡っては真のイノベーションが起こりつつある。情報の提供者が、これまでよりもはるかに簡単に、かつ深く、消費者と結ぶ付くことのできる時代が訪れつつあるのだ。
印刷写真の延長線上にあった時代の終わり
以前は、印刷した写真を箱いっぱい持ってきて、それをいろいろと処理したり編集したりしてコンピュータ用に加工するというようなプロセスを踏んでいた。当時は、画像というのは検索エンジンによって解釈されないものだと考えられていた。検索エンジンは「読む」ことはできるが「見る」ことはできないものだとされていた。しかし、モバイルデバイスの誕生と普及が、画像関連のイノベーションに火をつけることとなる。
今や、誰もが、いつでも、カメラを持っているという時代になってきている。携帯電話を電話としてだけ使うのではなく、いつも面白い被写体はないかと目を光らせているような時代なのだ。Facebookもそうした時代を睨んで、それまでに存在していた写真保管サイトなどよりも、より簡単かつ楽しく写真を保存しておいたり共有したりする仕組みを提供し始めた。そしてInstagramが登場し、写真を巡る環境を一新してしまうようなこととなった。
また、Pinterestも画像のもつ可能性を広げていくこととなった。Pinterestは、自分で撮影した面白い写真などを共有するためのサービスではない。他の人が写した写真を集めて、いろいろと整理しておくためのサービスだ。これは、従来とは全く違う、インタラクティブなエクスペリエンスを提供することとなった。そしてこのサービスは多くのファンを獲得することともなった。結婚式を予定している女性や、あるいは授業のアイデアを探している先生などを含め、多くの人がPinterestを活用して情報収集を行うようになった。
このように、デジタル画像はアナログ画像の延長時代を飛び出し、まさにブレークスルーの時を迎えているわけだ。新たなイメージスフィア(Imagesphere)が生まれつつあるのだ。画像から引き起こされる、これまでになかったエクスペリエンスが期待される時代となっている。画像関連サービスは登場し始めたばかりであり、今後の可能性はといえば無限大だ。
新たな時代はコンシューマーおよびパブリッシャーの双方に利益をもたらす
コンシューマー側から見て、画像とのインタラクションの幅が広がるというのは、すなわちパブリッシャー側の可能性をも大きく広がることとなる。ひと目で頭に入る面白そうな画像の存在は、閲覧者の滞在時間を長時間化することにもなる。文字ベースで関連情報を提示したり、関連コンテンツに案内するよりも、面白そうな情報に目を留めてもらえる機会が増えることになるのだ。
また、どういう画像が利用者に人気となるのかという情報も多く集まるようになる。そしてビッグデータ時代の現在、画像に関するデータの蓄積は広告スタイルを変えることにも繋がるだろう。画像の持つ可能性を十分に取り入れることができれば、新しい広告モデルが生まれ、そしてマネーフローの仕組みにも変化が生まれてくるだろう。ビジネス界には、従来の4Pに加え、もうひとつ新しいPが加わることになるだろう。すなわちProduct、Price、Placement、そしてPromotionという従来の4つに、「Picture」が加わることになる。
ソーシャルやモバイル分野における画像の取り扱い方に注力している企業は、今後5年間に大きく時代の波に揺さぶられることとなるだろう。この波にうまく乗って行くことができなければ、動きの激しいインターネット時代、すぐに取り残されることとなる。
スティーブ・ジョブズが2007年にiPhoneを提示してきたとき、何千万もの人がブタに向けて怒れる鳥たちを発射して膨大な時間を過ごすようになるなどと予想した人はいなかった。iPhoneというプラットフォームに人気ゲームがぴたりとはまったように、「画像」というプラットフォーム上でで魅力的なサービスを展開すれば、Angry Birdsのような大成功を収めることもできるのだ。オンライン上に登場するイメージスフィアは、まさに次世代に向けた大きな動きなのだ。その全体像を写真のようにクリアに映し出せるところが、新世代の勝者となる。
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(翻訳:Maeda, H)



