今年(2012)のモバイルアプリ, ベスト20

編集者注記: Brad Spirrisonは、モバイルアプリ発見サービスAppoliciousの編集長だ。Twitterで彼をフォローするには、@spirrisonへ。
iPhoneの登場からもうすぐ6年になる今、モバイル向けのアプリケーションは成熟期にさしかかっている。2012年のモバイルアプリのベストたちも、注目に値する一部の例外を除いては、革命的というよりもむしろ、より磨かれた実用性がそれらの特徴だ。
だから今年のリストにはInstagramや Shazamのような新しい画期的なメディアはないが、類似作の中で群を抜いている新製品やアップデート製品が顔を揃えている。また、アルゴリズムの高度な複合的利用が主流になりつつある時代の中で、あくまでも人間的なタッチにこだわる作品にも、敬意を表しておこう。
個人が“ベスト”を選ぶ記事は、とかく疑念と議論の対象になりがちだ。100人が書けば、100種類の異なるリストができあがるだろう。
この記事で選んだアプリは、今年の1月1日から12月21日までにリリースまたは重要なアップデートが行われた製品だ。前に別のプラットホームにあって、2012年にiOSやAndroidでデビューした作品も選考の対象にしている。選んだ作品はすべて、完全にぼくの独断ではなく、Appoliciousの編集スタッフやコミュニティの評価も参考にしている。中でもとくに、10名あまりの編集スタッフが、各自のお気に入りをベストの候補として挙名した。またAppoliciousのサイトやアプリの熱心なユーザたちへの、アンケートも行った。ただし、アプリのダウンロード数とか一般的な人気は、考慮に入れなかった。だからこの、定量的ではなく定性的な評価は、もっぱら、製品の価値と有用性と、それらに込められているクリエティビティに基づいている。
それでは、始めよう。
Google Maps (iPhone, iPod touch, iPad, Android 無料)
Time誌の2012年「今年の人」でTim CookはObama大統領に次いで二位だが、われわれが選んだ「今年のアプリ」はAppleの天敵Googleの製品だ。Appleがそのビジネス的理由からiOS 6に自社製の地図を載せると決めたとき、Google Mapsに何か欠陥があったわけではない。iPhone 5が出たとき、iOSのMapsアプリを使おうとしたユーザは、ニューヨークのアッパー湾に自由の女神がないことに気づいた。これは、Apple Mapsの数え切れないほど多くのエラーの、ほんの一例に過ぎない。もちろん、巣でまだ卵をあたためている母鳥Appleを責めるべきではない。重要なのは、私たちがGoogle Mapsの信頼性と明快性と使いやすさを、日常的に当然視していることだ。製品とユーザのこれだけの理想的な状態を達成することは、非常に難しい。だからAppleが今月の初めに、iOS 6用のGoogle Mapsの完全に新しいバージョンを承認したことは、とっても嬉しい。Appleはもちろん、その地図機能を改良していくだろう。そしてAppleという地図の強敵が現れたGoogleは、すべてのデバイスに、これまで以上に最良の地図を提供していくだろう。
Camera Awesome (iPhone, iPod touch, iPad 無料)
今年の年央のチェックでは、2012年前半のベストアプリにCamera Awesomeが選ばれた。デベロッパのSmugMugは、その王座に安住しなかった。その後Camera AwesomeはすべてのiOSデバイスの上で可利用になり、iPadで写真と撮る人たちを感激させた。Camera Awesomeは、iPhone内蔵のカメラアプリや、そのほかのすべてのサードパーティ製写真アプリと比べても、優れている。それに、Tumblrを統合している。このアプリの“1-Tap Share” 機能(ワンタップで共有)は、今ではすべてのメジャーなソーシャルネットワークに使える。
Slices for Twitter (iPhone, iPod touch 4ドル99セント Android 無料)
ニュースの実況中継やスポーツ報道で使われるコメント、ハリケーンサンディのときの公共交通情報、今週末の友だちの予定、などなど、2012年のTwitterはニュースと情報のいちばん主な伝達/入手手段になった。しかし、何百万ものフィードをフォローし、その中から役に立つ情報を適確に見つけることは、Twitter使いの長年のベテランにも、そしてもちろん新人にも、等しく超難題だ。Twitter上の情報を分類してくれるサードパーティのアプリはたくさんあるが、スマートフォン用では今のところSlicesがベストだ。
Flipboard (iPhone, iPod touch, iPad, Android 無料)
この、ソーシャルに選択整理〜レイアウトされたニュースを提供するサービスの世界的リーダーは、2011年のお気に入りアプリに選ばれて以来、多忙な1年を過ごした。2012年の特記事項といえば、FlipboardのAndroidバージョンが出たこと。YouTubeとGoogle+を統合。そして画像に関するThe New York Timesとの提携だ。重要なニュースは、どこよりも、Flipboardで見るに限る、とぼくは言いたい。
Khan Academy (iPhone, iPod touch, iPad 無料)
タッチスクリーン製品は今後、教育に革命をもたらすだろう。2012年の初めにSalman Khanは、Khan Academyの3500あまりのビデオ教材を、iOSアプリにした。これらの分かりやすいビデオを見ることによって、ベンチャー資金の調達の仕方や、バロック期の美術史など、何でも勉強できる。講義の書き起こしもあるから、あとで要点をじっくり読むことも可能だ。
Songza (iPhone, iPod touch, iPad, Android 無料)
PandoraやSlacker、Spotifyなどのオーディオストリーミングサービスによって、音楽の消費の仕方が変わりつつある。アルバムや特定のプレイリストを聴くのではなく、今ではインターネットの上にある“放送局”をパソコンやモバイルで聴く。曲は主にアルゴリズムが選んでいるが、しかし今年はSongzaが、ユーザのそのときの気分や一日のうちの時間帯に合わせたプレイリストを提供することによって、人間的な味を加えた。とくにいいのは、ぼくなんかここですでに何百時間も音楽を聴いているが、これまで一度も広告を聴いたことがない。無料のサービスなのに。
Viggle (iPhone, iPod touch, Android 無料)
これからは、カウチに寝そべってテレビ漬けになることを、後ろめたく思う必要がない。Viggleでテレビを見れば、Amazon.comやStarbucksやGap などなどのポイントをもらえるのだ。ViggleはIntoNowやShazamなどが使っているような音声認識技術を利用して、ユーザが今見ている番組を同定する。何もせずに、テレビを見ているだけで、有名ブランドのポイントを稼げるんだからすごいね。
Brewster Address Book (iPhone, iPod touch 無料)
メールや電話番号やソーシャルネットワークなど、いろんなものに分散しているコンタクト(連絡先情報)を一元管理するのは、とても難しい。Brewsterはコンタクト管理の超人で、iPhoneのコンタクトリストだけでなく、TwitterやFacebook、LinkedIn、Gmail、それにFoursquareのシンクまでしてくれる。このアプリはシンプルだけど、インタフェイスのビジュアルがすばらしい。ユーザのコンタクトを画像と名前で表示し、その画面をスクロールできる。またユーザの利用状況をおぼえて、それに基づいて“お気に入り”を判断するから、より使いやすいコンタクトリストが自動的にできあがる。また、特定目的のコンタクトリストを作ることもできる。
Next Draft – 本日のもっともすばらしいニュース (iPhone, iPod touch, iPad 無料)
このアプリに技術的に画期的なところは何もないけど、諷刺家でイベント好きのDave Pellが‘日刊’しているメールによるニューズレターだ。それを読むと、毎日、自分がすこし賢くなったような、幸福な気分になれる。ニュースをユーザの関心に即して選択整理してくれるアプリは何百もあるけど、その日のもっともすばらしいニュース10点を毎日届けてくれるこのアプリは、Pellのユニークで機知に富んだ“芸”を楽しめる。
Action Movie FX (iPhone, iPod touch, iPad 無料)
プロデューサーのJ.J. Abrams (Lost, Super 8やStar Trekなど)のプロダクションが作ったエンタテイメントアプリ。何ができるかというと、iOS製品の上でビデオを録画しているときに、特殊効果を挿入できるのだ。このアプリは初期には不安定だったし、毎日使うアプリでもないけど、とにかく遊び心にあふれていて、とくにSkywalkerふうの音響効果は最高だ。
Collins地図帳 (iPhone, iPod touch, iPad 6ドル99セント)
Atlas by Collinsを使うと、あなたの指で全世界を操作できる。この堅牢な地図帳アプリは、衛星写真や地形図、地勢図(国、州など)、環境地図、人口統計、モバイルやインターネットの利用に関する統計などなどを総合的に組み合わせて、詳細な地理情報を見せてくれる。また、地図上のどの位置でもストリートビューが見られるし、各国の情報も詳しい。都市や街や重要な自然景勝地などのデータは20万以上もある。
Crackle – Movies & TV (iPhone, iPod touch, iPad, Android 無料)
Sonyが2012年に作ったこのビデオストリーミングサービスは、技術的な目新しさはないけど、独占番組がたいへんよろしい。8月にはJerry Seinfeldがスマホの小さな画面に戻ってきて、Crackle独占の“Comedians in Cars Getting Coffee”をネットから上映した。人気はNetflixやHuluが大きいが、SeinfeldがMel BrooksやCarl Reinerと話しながら、鶏のスープ煮を食べながら、Jeopardyを見る場面は、ここでしか見られない。
Vyclone (iPhone, iPod touch, iPad 無料)
Vycloneはビデオの撮影にソーシャルな要素を持ち込み、次世代のビデオ編集アプリをねらっているようだ。Vycloneを使ってビデオを撮っていると、近くで同じくビデオを撮っている人を見つけ、合体編集をするから、たとえば同じ場所を異なるアングルから見た場面を簡単に作れる。スポーツやコンサートやお祭りなど、大きなイベントで使うと、効果的だ。そう、Vycloneは、撮る〜編集する人たちがソーシャルな関係になるビデオ撮影/編集アプリなのだ。
Stitcher Radio (iPhone, iPod touch, iPad, Android 無料)
ポッドキャストとモバイルアプリは同じ文化に属してはいないが、でもデジタルオーディオファイルはトークラジオのファンにはありがたいし、一般の人もお話が好きな人なら嬉しいだろう。This American LifeやWait Wait…Don’t Tell Me!の‘バックナンバー’、The NerdistやWTF with Marc Maronのようなコメディ、あなたの好きなスポーツコメンテーターの長時間インタビュー、などなど、ポッドキャストには、人間のあらゆる関心に訴えるあらゆる番組がある。Appleが今年初めに出したポッドキャストアプリにはバグがあり、しかも気をつけていないとストレージを大食いする。だからiOSとAndroidの上でポッドキャストの良番組を見つけるためには、今年のバージョンで第五世代エディションとなるStitcher Radioでキマリだ。
Highlight (iPhone, iPod touch, iPad, Android 無料)
Highlightは、Facebookの友だちや、同じ関心を共有する人が近くにいたらアラートしてくれる。3月にSouth By Southwestでデビューしたこのアプリは、この種のアプリの中ではいちばん成功した。その後Highlightは大きく改良され、ユーザが近くの人たちにグループメッセージを送れたり、友だちのプロフィールにコメントできるようになった。このアプリの通知システムも、大改造された。
Clear (iPhone, iPod touch, iPad 99セント)
Clearは、何百もあるタスク管理アプリの中でも傑出している。使いやすいし、デザインが美しいのだ。最近のアップデートによってiCloud対応になったから、たとえばMacBookとiPhoneのあいだでタスクをシームレスに共有できる。そのほか、リストの切り替えが速くなり、またテキストをペーストするとリスト中へ自動的にフォーマットしてくれるようにもなった。
Pocket (iPhone, iPod touch, iPad, Android 無料)
iOS 6の登場(Safariで記事をオフラインで読める)でPocketは死ぬ、と言われた。しかし今なおこのアプリは、すべてのiOS製品とAndroidの上で最良のモバイル版“Read it Later”だ。このアプリからコンテンツにアクセスするのは、楽しい。テキストのサイズを変えたり、そのほかのいろんなサービスと共有できたり、完成したコンテンツをアーカイブできる機能は、どれもシンプルで分かりやすい。
Showyou (iPhone, iPod touch, iPad 無料)
Apple TVが完動製品になるのは、半年以上先だ。でも、Apple TVとAirPlay Mirroringのおかげで大型画面での視聴ができる良質なビデオ発見アプリは、すでにいくつかある。その中でベストは、Showyouだ。今年ShowyouはiPhoneアプリを完全に改作し、FacebookやTwitterなどで共有しているビデオが見つけやすくなった。検索機能やディレクトリの整理機能もある。Showyouが類似アプリに比べて優れているのは、お利口なアプリ内メッセージングと、活発なコミュニティのせいだ。
Paper by FiftyThree (iPad 無料)
このデザインの良いお絵かきアプリは、アマチュアにもプロにも好まれる。Appleがこれを、2012年のベストの一つに選んだほどだ。MicrosoftでCourierを作った人たちの作品であるPaperは、お絵かきツールを「物」ではなく「機能」で名付けているのがエライ。たとえば、「鉛筆」ではなくて、「スケッチする」なのだ。無料バージョンのままでも十分に楽しめるが、アプリ内から有料ツールを買うこともできる。
Zinio (iPhone, iPod touch, iPad, Android 無料)
2009年にiOS上にデジタル雑誌アプリとして登場したZinioは、最近では広告や記事の中の製品をタッチスクリーンデバイス上で消費者がどうやって買うか、という方面に力を入れている。ShopAdvisorとの提携により、読者は、製品を買うだけではなく、関心のある製品についてより詳しく知ることができる…同一のページ内にいるままで。Zinioには5500あまりのネット出版物のリストがあり、ユーザはそれらをどんなモバイルあるいはデスクトップ機からでもシームレスに読むことができる。Zinoは、雑誌コンテンツとeコマースの合体であるところが、新しい。


