新型コロナ禍で神戸市がMSと包括連携、Power Virtual Agentsでチャットボット、Twilioで音声自動案内を職員が構築

神戸市は6月4日、マイクロソフトとの包括連携についての記者発表会を開催した。新型コロナウイルス感染蔓延に関連する情報発信や特別定額給付金に対する市民からの問い合わせに迅速に対応する目的で、同社の業務アプリケーションプラットフォーム「Microsoft Power Platform」と、その他の企業のテクノロジーを活用する。なお各種サービスは業者に丸投げ発注せず、神戸市の職員自らが開発に携わったとのこと。

さらに、今回の提携によって神戸市が開発した新型コロナウイルス対策に関連するサービスは、すべてオープンソースとして公開される。ほかの自治体は、Microsoft Azureなどのクラウド環境を構築するコストは別途必要だが、神戸市と同様のシステムを無償で利用可能になる。

新型コロナウイルス関連の市民からの問い合わせ対応については、Microsoft Power Platformに含まれるチャットボット作成サービス「Power Virtual Agents」を利用して「新型コロナウイルス健康相談チャットボット」を開発。
感染したかどうか不安な市民が24時間いつでも受診先などを相談できるようになっている。現在のところ1日あたり100件ほどの利用実績があるという。

新型コロナウイルス関連の情報公開については、こちらもMicrosoft Power Platformに含まれるデータ分析サービス「Power BI」を利用したウェブサイトを構築。これまで市役所のウェブサイトや外部サイトに分散していた関連情報を1つのサイトに集約した。
集約したウェブサイトはダッシュボードタイプになっており、PCやスマートフォンなど視聴するデバイスごとに最適化されたレイアウトで情報をチェックできる。データの取得や加工、可視化などをすべて自動化したことで、常に最新の情報を参照できるとのこと。現在1日あたり1万件ほどのアクセスがあるそうだ。

誰もが気になる1人あたり10万円の特別定額給付金についても、Microsoft Power Platformに含まれるアプリ作成サービス「Power Apps」を利用した検索サービスを構築。検索サービスのウェブページで10桁の申請番号を入力することで、申請状況を確認できるようになっている。

ピーク時には1日4万件を超える電話問い合わせがあるなど窓口が逼迫していたが、検索サービスの構築後は電話の問い合わせは4万件から3000件に減少。一方で検索サービスのアクセス数は1日あたり3万5000件になったという。

さらに、PCやスマートフォンを使っていない市民に対しては音声による申請状況自動案内サービスを6月5日から提供する。こちらは米国サンフランシスコ拠点のTwilioのAPIを活用している。電話口で10桁の申請車番号を電話機のプッシュボタンから入力することで申請状況を音声で確認できる。ちなみにTwilioは、国内ではKDDIウェブコミュニケーションズが代理店となっている。

神戸市は今回のマイクロソフトとの包括提携により、新型コロナウイルス関連サービス以外にも、各種申請手続きのオンライン化や遠隔医療、遠隔教育、IoT機器や5Gを活用したモニタリングなどの施策を同社とともに進めていく計画だ。