VWのTratonグループが中国TuSimpleと自動運転トラック開発で提携、スウェーデンで実証実験へ

VW(フォルクスワーゲン)の大型トラック事業を手掛けるTraton(トラトン)グループは、自動運転(自律運転)トラックの開発に関する合意の一環として、中国の自動運転トラックのスタートアップであるTuSimple(トゥーシンプル)に少額出資した。

両社ともパートナーシップの財務条件や少数株主持分の割合は明らかにしていない。この取引に詳しい情報筋によると、TratonグループはTuSimpleに直接資本投資を行ったという。現物出資が含まれていたかどうかは不明だ。なお今回のTratonの投資は、シリーズEラウンドで2億5000万ドル(約262億円)の調達を目指すTuSimple(未訳記事)の最近の資金調達ラウンドとは異なる。

両社は9月23日、TuSimpleの自動運転車技術を搭載したTratonのScaniaトラックを使用する開発プログラムを発表した。テストはスウェーデンのSödertälje(セーデルテリエ)とJönköping(ヨンショーピング)の間のルートで開始されるという。最終的にTratonは、スウェーデン、ドイツ、その他の国の道路で、ドライバーレストラックのテストを計画している。

なお、Tratonブランドのトラックのレベル4自動運転(特定の場所ですべての操作を完全自動化)を開発するために「緊密に協力」する計画を発表した以外、両社はプログラムの範囲やスケジュールの詳細は明らかにしていない。しかしTratonは「これらのトラックにレベル4の能力を持たせることを目標としており、定められた走行条件の下で、人の手を借りずに完全な自動化を達成し、すべての市場に適用する」と表明している。

Tratonによると「自動運転による走行は、中期的に増加するドライバー不足に対抗する手段として機能する可能性がある」と述べている。そして「最初の導入事例は、特別に区切られたエリア以外の場所で、特に頻繁に利用されるハブ間のルートで実施される可能性がある」と続けた。

この提携によりTuSimpleの自動運転事業は、米国と中国を超えて欧州にまで拡大することになる。Sina、NVIDIA、UPS、そしてTier 1 (ティア1)サプライヤーであるMandoの支援を受けているTuSimpleは、米国で40台の自動運転トラックを運営しており、すでにアリゾナ州とテキサス州の間のテストや貨物輸送に使われている。2015年創業の同社は、中国、カリフォルニア州サンディエゴ、アリゾナ州ツーソンで事業を展開中だ。

今回の提携は、Traton、TuSimple、Navistarの関係をより強固なものとする。TuSimpleは7月、Navistarと提携して2024年までに自動運転型セミトラックを開発し、生産を開始する計画を発表した。計画では、TuSimpleが現在使用しているNavistar Internationalの商用トラックを改造するのではなく、自動運転に特化設計したセミトラックを開発するとしている。戦略的パートナーシップには、NavistarがTuSimpleの非公開株を取得することも含まれている。

一方のTratonは、2016年9月に2億5600万ドル(約268億円)相当で取得したNavistarの16.6%の株式を保有しており、両社は最終的により連携を深める可能性がある。というのも1月にTratonは、所有していないNavistarの残り株を35ドルで買い取るという敵対的買収提案を発表している。そしてTratonは今月、そのオファーを1株43ドル、約39億ドル(約4093億円)に引き上げたという(Bloomberg記事)。

カテゴリー:モビリティ

タグ:VW Traton TuSimple 自動運転

画像クレジット:Traton Group

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(翻訳:TechCrunch Japan)