Googleとプレミアリーグ所属マンチェスター・シティ主催のサッカーAIコンペで、日本人チームが5位入賞
quantum(クオンタム)は12月22日、同社データサイエンティストとしてquantum AIを支える大渡勝己氏を含むチーム「TamakEri」が、Kaggleコンペティション「Google Research Football with Manchester City F.C.」において、グローバルで1138チーム中5位に入賞したこと、日本人チームとして最高位を獲得したと発表した(2020年12月17日時点の公開プロフィール情報に基づく)。
Kaggleは、2017年にGoogleが買収。世界中の統計家、データ分析家、研究者などのデータサイエンティストが登録しており、分析手法を投稿し、お互いに競うプラットフォームの運営を行っている。コンペでは、主催者が投稿した課題に対し、参加者が最適なモデルを構築し競い合う。
Google Research Football with Manchester City F.C.も、同プラットフォームを利用し開催されたAIコンペのひとつで、2020年9月28日〜12日にかけて開催された。フットボール(サッカー)をプレイするAIエージェントの作成と研究加速を目的としており、プレミアリーグ所属の強豪サッカーチーム「マンチェスター・シティF.C.」とGoogle Researchがホストとなっている。
同コンペには、グローバルで活躍する大手企業や研究所などに所属する機械学習エンジニアからなる1138チームが参加。参加者が提出したAIエージェント同士による多数の試合(Google Research Football Environmentという実際のビデオゲームと同じような環境で動作)が行われ、その勝敗結果をもとに順位付け/レーティング計算が行われた。
大渡氏は、DeNAのデータサイエンティスト田中一樹氏と組んだチームで同コンペティションを戦い、並列強化学習を駆使して作成したAIエージェントで1138チーム中5位(入賞)、日本人のチームとして最高位を獲得する成績を収めた。
大渡氏は、「AIは状況に応じた反射的な判断は得意なものの、記憶、特に『長期的な記憶』に関してはまだ研究開発の途上。人間のプレイヤーの場合、過去の経験の蓄積からゲーム中に様々な判断を行うが、AIはまだそれが得意ではない。今後は、複数人での協調動作や長期的な記憶の利用による戦略変更などサッカーの強化学習を通してその長期的な記憶に関わる領域を紐解くことで、AI技術の進歩に寄与できると考えている」とコメント。quantum AIでは、長期的な記憶を獲得できる手法を研究しているという。
またquantum AIリーダーを務めるquantum代表取締役副社長 及部智仁氏は、「選手の動き、チームの動きを模倣する深層模倣学習の研究を進めることで、他のチームスポーツはもちろん、スポーツ以外の様々な新規分野へも応用できると考えている。今回のコンペでの経験を糧とし、強化学習技術を用いたAI研究開発や新規事業への応用に引き続きチャレンジしていく」とした。quantum AIは、新規事業でデータサイエンスを導入する企業向けに、アカデミアによるAI研究から機械学習の開発・運用までを一気通貫で提供していくという。
quantumは、未来のビジネスを生み出すことにこだわるスタートアップスタジオ。同社quantum AIは、機械学習システムの開発と実装支援をするプロジェクトチーム。AIを導入する企業向けに、アカデミアによるAI研究から機械学習の開発・運用までを一気通貫で提供している。
電気通信大学との産学連携で高速演算処理対応のコンピューティングを備えるquantum AIのラボを運営し、ビジネス上の課題と機械学習をマッチングさせるフルスクラッチAI開発を可能としている。ビジネス上の課題を解決する機械学習システムを開発するために、アカデミアの知見を軸に機械学習アルゴリズムをプラットフォームロックなくゼロから開発する。
また、複合的な視点で機械学習システムを設計・実装できるメンバーが在籍。アカデミアのAI研究者、機械学習のデータサイエンティスト、データエンジニア、AI系スタートアップの起業経験者、AI系の新規事業開発経験者の視点で、機械学習システムを設計する。
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