テスラはすべての家庭を分散型発電所にしようとしている
Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、同社の製品だけを使ってすべての家庭を分散型発電所にし、エネルギーの生成、保存そして電力の電気会社への売り戻しさえできるようにしたい、と考えている。
同社はもう何年も前から太陽光発電や蓄電製品を販売しているが、太陽光発電と蓄電製品を組み合わせて販売するという新たな方針と米国時間4月26日のマスク氏の発言を電力会社にアピールすることで、Teslaによるこれらの事業の拡大戦略を明らかにしている。
マスク氏は投資家向けて「これはテスラにとっても、電力会社にとっても繁栄する未来だ。それができなければ、電力会社は顧客への奉仕に失敗するだろう」と述べた。その際、彼は2020年夏にカリフォルニア州で計画された停電や、最近、テキサス州で起きた停電を例に挙げ、電力網の信頼性に対する懸念が高まっていることを証拠として示している。
先週、同社はウェブサイトを変更し、顧客が太陽光発電と電力貯蔵製品である「Powerwall」のみを購入するのではなく、代わりにシステムとしての購入を勧めた。その変更を発表するツイートでマスク氏は「太陽光発電はPowerwallにのみ供給される。Powerwallは電力会社のメーターと家のメインブレーカーパネルの間にのみ接続され、設置が非常にシンプルなものとなり、停電時に家全体をシームレスにバックアップすることができる」と述べている。
マスク氏の主張は、電力会社自身が再生可能エネルギーとストレージを使って脱炭素しようと思ったら、今よりももっと多くの送電線と発電所と変電所が必要になるというものだ。それに対してテスラの製品を使う分散居住地区システムならもっと良い方法を提供できる、と彼は考えている。マスク氏の主張は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の最近の研究にも裏づけられている。MITの研究では、米国は送電容量を2倍以上増やすことでゼロ・カーボン・グリッドに到達できるとしており、プリンストン大学の研究では、ネット・ゼロ・エミッションを達成するには2050年までに送電システムを3倍にする必要があるという。
マスク氏は、現在のCalifornia Independent System OperatorやElectric Reliability Council of Texasといった独立した事業者により集中的に管理・運営されているものとは根本的に異なる電力網システムを思い描いている。これは官僚主義とロジスティクスな課題が多いビジョンだ。電力会社と規制当局は、住宅の屋根に設置されたソーラーパネルなど、いわゆる「分散型エネルギー資源」が大量に流入した場合に、どのように対処するかを解決する必要があるが、これは電力会社の長年のビジネスモデルとは相反するものだ。
さらに重要なのは、再生可能エネルギーとストレージの組み合わせでエネルギーグリッドの脱炭素化が可能かどうか、議論の余地があることだ。
多くの専門家は、自然エネルギーの土地利用の問題、貯蔵の必要性、断続性の問題などから、自然エネルギーが国の主要な電力供給源となることは夢物語だと考えている。しかし、マスク氏は以前から自然エネルギーと蓄電のモデルに強気で、2020年7月には「物理学的には電気輸送、定置用蓄電池、エネルギー生成には太陽光や風力が有利だ」とツイートしている。
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カテゴリー:EnviroTech
タグ:Tesla、再生可能エネルギー、イーロン・マスク、電力、Powerwall
画像クレジット:Tesla
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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)