アップルに続きグーグルもGoogle Playへの「セーフティ」セクション追加を予告

Apple(アップル)がApp Store(アップストア)のアプリにプライバシーラベルを導入してから数カ月が経った今、Google(グーグル)も自社のモバイルアプリ用マーケットプレイスであるGoogle Play(グーグルプレイ)でこれに追随することを明らかにした。米国時間5月6日、Googleは2022年からGoogle Playに新たに「セーフティ」セクションを導入する計画があることを予告している。これによってアプリ開発者は、アプリが収集するデータの種類、保存方法、使用方法を明示しなければならなくなる。

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例えばアプリ開発者は、アプリが収集するユーザーの名前やメールアドレスといった個人情報の種類や、ユーザーの正確な位置情報、メディアファイル、連絡先などを電話機から収集するかどうかを、ユーザーに明らかにしなければならない。また、アプリはその情報をどのように使用するか(例えば、アプリの機能性を高めるためとか、パーソナライズのためとか)についても説明する必要がある。

すでに何らかのセキュリティおよびプライバシー対策を遵守している開発者は、アプリの表示画面でその旨を強調できるようになる。この点に関してGoogleでは、そのアプリがデータ暗号化などのセキュリティ対策を採用しているか、子どもの安全に関わるGoogleのファミリーポリシーに従っているか、アプリの安全性に関する項目が独立した第三者によって検証されているか、アプリの機能のためにユーザーデータを必要とするか、データを共有するかどうかをユーザーが選択できるか、ユーザーが当該アプリをアンインストールしたときに開発者がユーザーデータを削除することに同意しているかなどを示す要素を付け加えると述べている。

また、アプリにはプライバシーポリシーの提示も求められる。

これがアップルのプライバシーラベルから影響を受けていることは明らかだが、いくつか重要な違いもある。アップルのラベルは、トラッキングを目的としたデータやエンドユーザーに関連付けられたデータの収集に主眼を置いている。これに対し、Googleが新たに付加するセクションの目的は、収集されたデータが責任を持って取り扱われていると、ユーザーが信頼できるようにすることにあると思われる。そのために、例えば開発者は、データセキュリティに関する最善慣行に則っていることを、ユーザーに示すことができる。また、開発者はなぜデータを収集しているのかを、アプリのリストページ上で自ら説明することも可能になる(アップルがiOSに導入した「トラッキング要求」ポップアップは、開発者がアプリ内でユーザーデータにアクセスする許可を求めなければならない)。

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もう1つの興味深い点は、Googleがアプリのデータ収集に関するラベルを、独立した第三者機関に検証させるとしていることだ。この検証が信頼できる機関によって行われれば、ユーザーに開示された情報が嘘ではないことを伝えることができるだろう。Appleのプライバシーラベルに対する初期の批判の1つは、多くのアプリが不正確な情報を提供しており、しかもそれがまかり通っているというものだった。

Googleによると、この新機能の導入は2022年第2四半期以降になるとのことだが、開発者に十分な準備期間を与えるために、この時期に発表を行うことにしたという。

画像クレジット:Google

今回のGoogleによるアプリのプライバシーに関する発表には、当然ながら多くの皮肉が含まれていることがわかる。

Googleは、自社のiOS向けアプリにおいて、プライバシーラベルの表示を最も長く保留していた企業の1つであり、ラベルの内容と開示の見直し(度重なる見直し、だったに違いない)に奔走していた。当初はラベルを「間もなく」表示すると主張していたGoogleの主要アプリの多くは、App Storeのポリシーに準拠しなくなったため、アップデートされずに放置されていた期間が長く続いた

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期限が過ぎてから、Googleが主要アプリにプライバシーラベルを提供するまで、数カ月の期間を要した。そしてラベルが表示されると「Chrome(クローム)」や「Googleアプリ」が収集するデータの多さについて、プライバシー保護に特化した検索エンジン「DuckDuckGo(ダックダックゴー)」などの批判者から嘲笑されることになった。

Googleがセーフティセクションを自社のGoogle Playに追加する計画は、そんな状況を少しばかり変えるためのチャンスになる。

Googleの施策は、必ずしもプライバシーの押し付けではない。プライバシーラベルとも呼ばれていない。今回の変更は、アプリがそもそもデータを収集するべきではないという期待を持たせるのではなく、アプリの開発者が、自分のアプリにデータを任せてもよいとユーザーに信頼してもらうために、きちんと説明できるようにすることを目的としたものであると思われる。

これが消費者の心にどれだけ響くかは、まだわからない。アップルは自社がユーザーのプライバシーを大切にする企業であることをしっかりと主張し、ユーザーが自分のデータをコントロールできるような機能を追加している。これは現在のように、数え切れないほど多くのデータ漏洩が発生し、大手ハイテク企業による個人情報の取り扱いが粗略になり、政府によるスパイ行為が蔓延し、情報公開なしにユーザーデータを収集する権利があると感じている不気味なアドテク業界が台頭してきた時代にあって、反論することは難しい主張だ。

Googleによれば、この変更が実施されると、コンプライアンスに違反したアプリは、その違反を修正することが求められ、さもなくばポリシー執行の対象になるという。このプロセスがどのように処理されるのか、また、違反しているアプリの更新を一時的に停止するのかどうかについては、まだ詳細が明らかにされていない。

Googleは、自社のアプリでも同様に、情報とプライバシーポリシーの共有が求められると言及している。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleGoogle PlayプライバシーアプリApp Tracking Transparency

画像クレジット:Mika Baumeister / Unsplash

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)