イーロン・マスク氏がビットコインでのテスラ車購入停止を指示、ツイート後ビットコインは下落中

Tesla(テスラ)のCEOで、自称テクノキングのElon Musk(イーロン・マスク)氏が、Bitcoin(ビットコイン)に関する同社の姿勢を後退させ、同社の電気自動車をこの暗号資産(仮想通貨)で購入することを停止した。

姿勢の変化はツイートで発表され、それはテスラのCFOで「コインの達人」と呼ばれるZach Kirkhorn(ザック・カークホーン)氏が、乱高下はあるが同社はビットコインの長寿を信じている、と述べてからわずか数週間後のことだ。マスク氏のツイートでビットコインは4%ほど下がり、現在でも下がり続けている。結局その日はビットコインの価格が7%ほど下がったが、下落はマスク氏のツイートの前に始まっていた。

テスラはBitcoinを用いた車両の購入を停止した。我々は、ビットコインのマイニングと取引にともなう化石燃料、特に石炭の使用の急速な増加を懸念しており、石炭は中でも最悪の排出源だ。

暗号資産は多くの面で良いアイデアであり、私たちもその将来性を確信しているが、それは環境に巨大なコストを課すものであってはならない。

テスラは今後いっさい、ビットコインを売ることはないが、マイニングがより持続可能なエネルギーに移り次第、即座に商取引に採用する意思はある。我々はまた、エネルギーの使用量がBitcoinの1%にも満たない、その他の暗号資産に注目している。

2021年4月に行われた同社の決算報告でカークホーン氏は、テスラはこの四半期にビットコインに15億ドル(約1645億円)を投資し、その後そのポジションを10%削減したと述べた。その売りで1億100万ドル(約111億円)を獲得し、第1四半期の同社の収益性に「ポジティブなインパクト」をもたらしたという。

カークホーン氏によると、テスラはビットコインをキャッシュを保存し直ちにアクセスするための場所と見なすようになり、その間ずっと中央銀行が支える安全な避難所よりも良い投資リターンが得られたそうという。もちろん、デジタル通貨の乱高下がもたらす高い収益には、より高いリスクがともなう。

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この発表に衝撃を受けた人は、少なくないだろう。テスラは2021年3月に、米国でビットコインでの決済を受け入れると発表した。しかしテスラのテクノキングであるイーロン・マスク氏ともなると、をツイートするだけで暗号資産の市場に劇的な影響を及ぼすことができる。マスク氏が柴犬の画像をツイートするたびに、Dogecoinと呼ばれるジョークコインの手持ち値が高騰する。

マスク氏の出演が期待されたSaturday Night Liveでは、コインが1ドルに達すると多くの人が期待したが「Dogefather」がジョークでその通貨は不安定だと認めたら、コインの価格は30%下がった。

エネルギーを大食い

テスラが15億ドルのビットコインを購入したことが公開されると、投資家やアナリストや一部の大銀行のマネージャーらは、同社にとってリスクだと主張した。同社の評判が落ちる、と言った人もいる。

ビットコインは「Proof of Work(プルーフ・オブ・ワーク)」と呼ばれるコンセンサスにより機能しており、ネットワークはマイニングに依存して運用を続けている。ビットコインのマイニングはロシアと中国でその多くが行われている。TechCrunchが2021年2月に報じたように、今日では多くのマイニング業者が部分的に再生可能エネルギーを使っているとはいえ、一般送電網が脱炭素するまではビットコインのマイニングはダーティーなビジネスのままだ。ある投資家がTechCrunchの取材で語ったように、エネルギーの集約度という観点から見た取引あたりのコストは、ますます厳しくなるばかりだ。

マスク氏は、他の暗号資産を検討中だとほのめかしている。それらは、Ethereumのようなネットワークがそのエネルギー効率のために移行することを約束している「Proof of Stake(プルーフ・オブ・ステーク)」のコンセンサスメカニズムを使用するものである可能性が高い。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Teslaイーロン・マスクBitcoin暗号資産

画像クレジット:Bloomberg/Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)