Google AnalyticsはちゃんとCookieがなくなった後に備えている
プライバシーをめぐる消費者の姿勢が変わり、オペレーティングシステムやブラウザーがその変化に適応するにつれて、ユーザーの行動を追跡する手段としてのCookieの時代が終わろうとしている。それを悼む人もあまりいないが、広告主やマーケターたちは、自分の努力が売上にどれだけ反映したかを知りたい。またパブリッシャーも、コンテンツの人気などを知りたいだろう。そのことをよくわかっているGoogleは、機械学習を利用して、Google AnalyticsのようなツールをこのポストCookieの未来に向けて準備しようとしている。
関連記事:グーグルはChromeでのサードパーティCookieのサポートを2年以内に段階的に廃止
2020年同社はGoogle Analyticsにいくつかの機械学習ツールを持ち込んだ。当時の焦点は例えばユーザーが今行っているキャンペーンのパフォーマンスに大きな変化が生じた場合、それを警報することだった。今回、同社はそれをさらに進めて、Cookieが使えないときのユーザーの振る舞いを機械学習を使って把握する。
この変化を過小評価することはできないが、しかしIBMからAmazonに移って長年在籍し、2年前にGoogleの広告購入と広告効果担当副社長兼ゼネラルマネージャーになったVidhya Srinivasan(ヴィディヤ・スリニヴァサン)氏にとっては、それが進むべき唯一の道だ。
Google移籍後初のメディアインタビューで「先にお話した今後の広告効果測定技術の原則は、消費者の期待とエコシステムのパラダイムの変化がそのベースにあります。最重要事項は「同意に基づく未来」です。それには規範があり、サードパーティーではなくファーストパーティーです。それこそが、弊社の次世代のプロダクトとソリューションの指針となるものです」と述べている。
現在はまだその初期であり、多くのユーザーがまだ自分のデータの追跡や、何らかのかたちでの共有に関して同意したりオプトインしている状態だ。しかし初期でありながらも示されているのは、そうやって同意やオプトインしているユーザーが、ごく少数のユーザーであることだ。当然ながら、ファーストパーティーデータや同意したユーザーからGoogleが集めるデータは、今のやり方ではますます希少なものになっていく。
そのためにGoogleは現在、その「同意に基づくデータ」をもっと容易に扱えるようにし、またGoogle Tag Managerのようなツールの統合を改善して、より良いファーストパーティーデータを作ろうとしている。
2020年にGoogleがローンチしたConsent Modeは、広告主がそれを使い各国のデータ保護法やユーザーの選好に基づいてCookieの動作を管理できる。EUや英国の広告主はConsent Modeにより、ユーザーの選択に基づいてGoogleが付けるタグを調整できる。近くGoogleはTag Managerをダイレクトに統合して(Consent Modeを経ずに)、タグの変更やカスタマイズをさらに容易にできるようにする。
おそらくもっと重要なのは、新たにConsent Modeが、Cookieに同意しないユーザーに対してコンバージョンモデリングを使うことだ。Googleによると、Cookie不可によって広告主にとって失われてしまった、広告クリックからコンバージョンへの過程の、約70%を回復できる。
さらにGoogleは、ファーストパーティーデータを、プライバシーを重視しながらGoogle Analyticsにもっと容易に持ち込んで、測定とその方式を改良できるようにしている。
スリニヴァサン氏は次のように述べている。「長い歴史があり、広く使われているプロダクトを改造しようとすると、それに対してあらゆる人に自分の意見があります。それは、よくわかっています。しかし私たちが強く感じているのは、Google Analyticsが、変わりゆく消費者行動にとって有意義であり続けることと、Cookieのない世界に対応すべきことです。現在、そのための構築をしています。Googleが長年投資してきた機械学習とその体験を生かして、この技術を支えるモデリングを動かしていきたい。市場の信じるに足るインサイトと報道も重視したいと考えている。市場の信頼のためには測定が重要であることも、理解しています。これまで成し遂げた進歩で満足することなく、さらに努力を続けて確実にスケールしたく考えていますが、何よりも重要なのは、ユーザーの信頼を最優先することです」。
関連記事:グーグルが「Cookie廃止後、それに代わる他のユーザー追跡技術を採用するつもりはない」と発言
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Cookie、Google、Google Analytics、広告、プライバシー
画像クレジット:choness/Getty Images
[原文へ]
(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)