アマゾンがインドでアプリ内無料ビデオストリーミングの提供を開始
Amazon(アマゾン)は長らく、ビデオストリーミングサービスPrime Videoで買い物アプリでの売り上げ増進を図ってきた。そして今、同社はビデオストリーミングサービスを直接買い物アプリに持ってくるとどうなるのかテストしている。
広告が入るストリーミングサービス(IMDb TV)を2年前に米国で立ち上げたAmazonは米国時間5月15日、Amazon Indiaアプリ内で広告が入る「完全無料」のビデオストリーミングサービスMiniTVを立ち上げた。MiniTVは現在、インドのユーザーだけが利用できる、と同社は述べた。
関連記事:アマゾン傘下の無料ストリーミングサービス「IMDb TV」がスマホ対応
Amazonによると、MiniTVは「差し当たって」ウェブシリーズ、コメディ番組、そしてテックニュース、食べ物、美容、ファッションに関するコンテンツを扱う。現在利用できる一部の番組は、インド最大のウェブスタジオであるTVFとPocket Acesの2社が制作したか、Ashish Chanchlani(アシシ・チャンクラーニ)氏、Amit Bhadana(アミット・バダナ)氏、Round2Hell、Harsh Beniwal(ハーシュ・ベニワル)氏、Shruti Arjun Anand(シュルティ・アルジュン・アナンド)氏、Elvish Yadav(エルビッシュ・ヤダブ)氏、Prajakta Koli(プラジャクタ・コリ)氏、Swagger Sharma(スワッガー・シャルマ)氏、Aakash Gupta(アーカッシュ・グプタ)氏、Nishant Tanwar(ニシャント・タンワー)氏といったコメディアンによるものだ。
MiniTVのカタログの多くは古いコンテンツで、一部のコンテンツはパートナーが元々他のプラットフォームのために制作したか、自前のYouTubeチャンネルで公開したものであることがレビューでわかった。例えばAspirantsはTVFがオンライン教育スタートアップUnacademyとのコラボで制作したものだ。
「テック専門のTrakin Tech、ファッションと美容の専門家であるSejal Kumar(セハル・クマール)氏、Malvika Sitlani(マルビカ・シトラニ)氏、Jovita George(ジョビタ・ジョージ)氏、Prerna Chhabra(プレナ・チャブラ)氏、Shiv Shakti(シブ・シャクティ)氏らが最新のプロダクトやトレンドについて視聴者に情報を提供します。食べ物好きな人はKabita’s Kitchen、Cook with Nisha、Gobbleのコンテンツを楽しめます。MiniTVは今後さらに多くの新しい独占ビデオを追加します」と同社は付け加えた。ただし今後の計画は示さなかった(Amazonは2年以上前に密かにインドの買い物サービスにレビューや他のウェブクリッピングの統合を開始した)。
MiniTVは現在、AmazonのAndroidアプリで利用でき、数カ月内にiOSアプリとモバイルウェブでも使えるようになる、と同社は述べた。
Amazonの動きは、インドにおける同社の最大のライバルであるWalmart傘下のFlipkartの似たような取り組みに続くものだ。Flipkartは2019年にアプリ内でのビデオストリーミングサービスを開始した。近年はZomatoやPaytmといったインドの数多くの企業がアプリへのビデオサービス追加を模索してきた。
Amazonはここ数四半期、インドで積極的にPrime Videoの提供を拡大してきた。
月額1.22ドル(約130円)の新しいモバイル限定(ユーザー1人限定、SD画質)サービスの立ち上げでインドの通信ネットワークAirtelと提携したAmazonはこのほど、インドでクリケットの試合を放送する権利を獲得した。同社はまたインドでAmazon Primeサブスクの一環としてPrime Videoを提供している。年間料金は999インドルピー(約1490円)で、ここにはAmazon Musicと通常よりも迅速な配達の利用も含まれる。
モバイル調査会社App Annieの幹部がTechCrunchと共有したデータによると、Prime Videoの同国での4月の月間アクティブユーザーは6000万人超で、Netflixの4000万人を上回った。2019年と2020年にインドのコンテンツ制作に約4億2000万ドル(約460億円)を注いだNetflixは「2021年ははるかに上回る額を」インドに投資する、と3月に述べた。同社の直近の決算会見で、創業者でCEOのReed Hastings(リード・ハスティングス)氏はインドでの投資は他のマーケットでのものよりも「投機的」だと語った。
広告入りのストリーミングサービスを同様に展開しているTimes InternetのMX Playerの4月のユーザー数は1億8000万人超で、DIsney+ Hotstarは約1億2000万人だった。こうしたサービスのインドにおける最大のライバルはYouTubeで、YouTubeの月間アクティブユーザー数は4億5000万人超にのぼった。
An average Android user in India spends ~7 hours on YouTube app in a week. pic.twitter.com/1NxkubKFp4
— Manish Singh (@refsrc) March 15, 2021
しかしビデオストリーミングサービスはインドで競争以外の別の問題にも直面している。2021年3月下旬にAmazonはインドで、オリジナルの政治ドラマシリーズで9パートのミニシリーズに含まれたいくつかのシーンが一部の人の宗教的な感情を傷つけたとして、稀にみる謝罪をユーザーに行なった。
Amazonの謝罪は、インド政府がオンデマンドのストリーミングサービスとソーシャルメディアの企業に課す新たなルールを発表してから数日後に表明された。
関連記事
・Amazonがドラマ番組を巡りインドで異例の謝罪
・インド政府がソーシャルメディアやストリーミングサービス企業に厳しい新規制を発表
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazon、インド、動画配信
画像クレジット:TechCrunch
[原文へ]
(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi)