運転席に誰も乗っていなかったテスラの事故、Autopilotは作動していなかった可能性があると国家運輸安全委員会
Tesla(テスラ)の先進運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」は、2021年4月にテキサス州で同社のModel S(モデルS)が事故を起こし、乗員2名が死亡した道路上では、作動していなかった可能性があることが、国家運輸安全委員会(NTSB)が米国時間5月10日に発表した予備報告書で明らかになった。
米国時間4月17日に起きたこの事故は、炎上した車両の運転席に誰も座っていなかったと警察が報告したことから、Autopilotの作動中に事故が起きたのではないかという憶測を呼び、広く注目を集めていた。今回発表された報告書は、この事故にまつわるいくつかの謎の解明に役立つ。
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NTSBによると、事故が起きた路上ではAutopilotの機能の一部で、車両のアクセルおよびブレーキを自動制御するアダプティブ・クルーズ・コントロールのみが作動していた可能性があるという。もう1つの機能で、車両が車線からはみ出さないようにハンドル操作を自動制御するオートステアは、この道路の区間では使用できなかったと、報告書は述べている。この予備報告書は、テスラの車両エンジニアリング担当副社長であるLars Moravy(ラース・モラビー)氏のコメントを裏付けるものだ。同氏は、この車両が衝突する前にアダプティブ・クルーズ・コントロールが作動し、時速30マイル(時速約48キロメートル)まで加速していたと、決算説明会で述べていた。
NTSBは、車内には2人の乗員しかいなかったことも確認している。事故後に2人の遺体が発見されたとき、1人は助手席に、もう1人は後部座席にいたことから、Autopilotが作動していたのではないかという憶測を呼び、3人目の乗員がいたのではないかという陰謀論さえ巻き起こっていた。
「車両所有者の自宅に設置されている防犯カメラの映像には、所有者が車両の運転席に乗り込み、同乗者が助手席に乗り込む様子が映っていた」と、報告書にはある。「この車両は発進して約550フィート(約168メートル)ほど走行した後、カーブで道路を逸脱し、縁石を乗り越え、排水溝や張り出したマンホール、立ち木に衝突した」。
依然として不明なのは、運転手が事故の前または後に運転席から別の座席に移動したかのかどうかということだ。
NTSBによると、今後もデータを収集して、衝突時の動態、死後の毒物検査の結果、シートベルト着用の有無、乗員脱出の可能性、電気自動車火災などについて分析していくという。NTSBでは、この事故のすべての側面が引き続き調査中であると述べている。
NTSBの予備報告書には、事故を起こしたテスラ モデルSは木に衝突して炎上したため、車載記憶装置は破壊され、乗員拘束制御装置が損傷していたことも指摘している。この2つの部品は事故原因に関する重要な情報を提供する可能性があった。車両に搭載されている乗員拘束制御装置は、車速、ベルトの状態、加速度、エアバッグの展開に関連するデータを記録できる。NTSBによれば、事故車両の乗員拘束制御装置は回収されたものの、火災の被害を受けているとのこと。NTSBはこの装置を記録装置研究所に持ち込み、評価を行っている。
NTSBは、テスラと米国道路交通安全局の支援を受けて、この事故を調査している。また、ハリス郡テキサス州第4管区の保安官事務所でも個別に並行して調査を行っている。
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カテゴリー:モビリティ
タグ:Tesla、Autopilot、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)、自動運転、アメリカ、Model S、テキサス
画像クレジット:Tesla
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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)